ドコモから、5Gネットワークを固定回線的に使える「home 5G プラン」と対応ルーターの「home 5G HR01」が登場した。月4950円で通信量に制限なし、5Gで接続できる環境なら下りは最大でギガビットクラスのデータ通信が可能。これだけを見れば、光回線はもう不要なのでは? と思えてしまう。そこで、本当に便利な回線なのか、なにか落とし穴がないのか、さらに格安SIMならばもっと安く実現できるのかを考えた。
月4950円で高速かつ通信量の制限なしはかなりの魅力
モバイル回線を固定回線的に利用することを前提に、MVNOの格安SIMや3大キャリアの新プランなどを探してみても、ドコモの「home 5G プラン」と「home 5G HR01」の組み合わせで実現される、高速で通信量制限無しといった内容のものは見当たらない。速度と容量の両方で「home 5G プラン」は唯一無二の存在であると言える。
光回線は戸建て向けで月5000円以上という例が多いことを考えると、料金設定もかなり競争力がある。しかも工事は不要で、買ってきた「home 5G HR01」を設置すればいいだけという手軽さだ。ドコモの5Gエリアは現在急ピッチで拡大しているが、5Gの圏外でもLTEで接続できるため(速度は遅くなるが)、自宅の近くまで光回線が来ていないといった条件に縛られず、ほぼ全国で使えると考えてよさそうだ。
一応注意書きには「データ利用量が特に多いお客さまは、それ以外のお客さまと比べて通信が遅くなることがあります」といった記述が見られるが、これはどのサービスも同じ。現在のところ、制限内容が明記されてはおらず、規制は緩いのではないかと期待されている。
デメリットとしては速度面。モバイル回線だけに特に上りの速度が遅い可能性があることだ。home 5G HR01のスペックは5Gで上り最大218Mbpsだが、実際には最大速度が出るとは考えられず、光回線のように上りで数百Mbpsが安定して出ることはないだろう。クラウドストレージの頻繁な利用や動画投稿といった用途では厳しいかもしれない。
また、端末代金も当然必要だ(3万9600円、1100円×36回)。「home 5G プラン」では分割払い相当額を毎月割り引く「月々サポート」によって、“実質0円”を実現している。ただし、36回払いの途中で解約した場合は残金を支払う必要がある。
こうした端末の実質0円は、モバイルネットワークで固定回線的な利用を可能にしている「UQ WiMAX」や「SoftBank Air」もほぼ同じ。それらは料金プランに2年契約があったり、機器代金がもっと高かったりするため、ドコモの「home 5G プラン」は少し有利とも言える。
利用する期間が短かったり
月20GBで済むならもっと低い金額で利用が可能
通信量無制限は確かに便利だが、普段は仕事や学校で外出しているし、動画は使い放題系プランに契約しているスマホで見る、自宅の回線はスマートスピーカーやIoT機器を接続するくらいにしか使わないというのなら、月20GBで収まるケースも考えられる。格安SIMなどをうまく活用すれば、月2000円以下で済ませることも可能だ。
たとえば、IIJmioやmineo、イオンモバイルならデータ専用の20GBのプランが月2000円弱。しかも、使い切れなかった容量を翌月に繰り越せるので、もう少し余裕を持った使い方もできそうだ。
ahamo/povo/LINEMOといった3大キャリアのオンライン専業の新プランは、月20GBで2000円台なので、据置型のモバイルルーターなどに挿入して使えば、通信量の翌月繰り越しには対応しないものの、MVNOの格安SIMよりは良質な固定回線が実現する。
中でもpovoは、1回220円を払うことで月20GBの通信量とは別に、課金から24時間の使い放題が実現する。クラウド利用の多い日や朝から晩までオンラインミーティングをする日だけ課金すれば、通信量を気にせずに使えそうだ。
また、楽天モバイルを活用する方法もある。楽天モバイルのRakuten UN-LIMITは、楽天回線ならばどんなに使っても月3278円。短期間に大量に通信すると速度制限がかかるものの、一度に集中しないように使えば高速でかなり使えるはず。エリア内に住んでいる人は選択肢に入りそうだ。

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