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有効成分の発生量が旧タイプ比100倍。パナソニックが新「ナノイー X」発表

2021年09月02日 19時00分更新

文● 貝塚/ASCII

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パナソニックは、山形大学の東山 禎夫名誉教授と共同で、新「ナノイー X」デバイスを開発

 パナソニックは、山形大学の東山 禎夫名誉教授と共同で、新「ナノイー X」デバイスを開発したことを発表した。円周状に放電する「ラウンドリーダ放電」へと進化し、従来型の「ナノイー X」の10倍、「ナノイー」の100倍のOHラジカル生成量を実現しているという。

そもそも、ナノイーとは?

 ここで一度、ナノイーデバイスの基本的な仕組みを確認しよう。「ナノイー」は、霧化電極(※)をペルチェ素子(※2)で冷却し、空気中の水分を結露させて水を生成する。霧化電極と向き合う対極板の間に高電圧を印加することで、OHラジカル(※3)を含んだ、約5~20nmの大きさの「ナノイー」を発生させる。

OHラジカルは強い酸化力を持っている

 OHラジカルは強い酸化力を持っている。ナノイーデバイスによって空気中に放たれると、物質や菌に対して速やかに反応し、変質させるという。具体的には、菌などの持つ水素(H)を奪い、水(OH+H=H2O)へと変える。これが、脱臭や殺菌につながる基本的な仕組みである。

菌などからHを奪い、H2Oになる

 OHラジカルは、反応性が極めて高いため、不安定で、空気中で長時間、その姿を保っておくことはできない。しかし、「ナノイー」の技術では、霧状の細かな水の粒子の中にOHラジカルを閉じ込めて飛ばすため、高い酸化力を保ったまま、OHラジカルを飛ばすことができるのだという(OHラジカルの超寿命化)。

※水を霧状の細かい微粒子にするための電極
※2直流電流によって熱移動を起こす半導体
※3強い酸化力を持つ活性酸素の一種

新たな「ナノイー X」 技術のポイントは?

「ナノイー」は2003年、空気環境の改善を目的として開発された

 「ナノイー」は2003年、空気環境の改善を目的として開発された。2016年にはOHラジカルの生成量を「ナノイー」の10倍に高めた「ナノイー X」デバイスに進化させるなど、同社は、長年にわたって「ナノイー」技術を追求している。現在では、エアコンや空気清浄機などの家電製品だけでなく、自動車や鉄道といった移動空間、病院やホテルなどの公共空間で「ナノイー」「ナノイー X」デバイスが利用されている。

円周状に放電する「ラウンドリーダ放電」を採用することで、OHラジカル生成領域を増加させた

 今回発表された新「ナノイー X」デバイスの、最も大きな技術的特徴は、円周状に放電してOHラジカル生成領域を増加させた「ラウンドリーダ放電」に進化させている点だ。

 4本針形状の対極板を採用していた従来方式(マルチリーダ放電)とは異なり、新「ナノイー X」では、ドーム形状の対極板を採用。放電距離を短くすることで、円錐状に無数のリーダ放電を形成できる。結果的に、電子密度の高いOHラジカル生成領域が拡大し、OHラジカル量の増加につながったという。

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