授業では使われているが、一部で難しくて使いたくないという声も
GIGAスクール構想によって整備された端末の利用シーンは、「授業での利用」が最も多く、57%を占めた。端末を配布済みとした回答者だけをみると、90%以上の児童、生徒が、すでに授業で端末を活用しているという。
端末の利用頻度では、「毎日授業で利用している」と回答した児童、生徒は12%となり、端末配布済みを対象にした集計では19%となった。また、「1 週間に2~3 回程度」では全体で27%、端末配布済みを対象にすると43%を占めた。
一方、学校教育における端末やクラウドなどICT 活用の賛否については、保護者の89%が「賛成」と回答。子供の学年に関係なく、同様の回答傾向がみられたという。
賛成理由としては、「将来的に必要とされる一般的なITスキルを習得させたい」、「プログラミング等高度なIT スキルを習得させたい」といった子供のITスキル向上に期待する声が上位にあがった。児童、生徒の回答でも、「授業で端末を使いたい」が88%を占め、利用に対しては前向きな姿勢が示された。児童、生徒からは、「端末を使うことが楽しい、面白い」、「インターネットを使える」、「すぐに調べられる」といった声が聞かれた。
これに対して、「端末を授業で使いたくない」との回答は12%。理由としては、「使い方がわからない」、「(操作などが)難しい、慣れない」という習熟度の問題があがっており、デジタルデバイドの解決が、小中学校の現場においても課題であることが浮き彫りになった。
新型コロナ対策への活用も期待されるが……
注目しておきたいのは、端末の持ち帰りの状況についてだ。
端末の持ち帰りに「賛成」としたのは、保護者の81%を占め、また児童、生徒の74%が「賛成」と回答している。
保護者からは、学校教育における端末の活用に賛成する理由として、「コロナ禍の休校時でも学習が継続できる安心感がある」といった声があがっている。
だが、同調査では、授業以外のパソコンの利用シーンとして、「家に持ち帰って使う」という回答は28%に留まっており、これを端末配布済みに限定しても44%と半数を下回った。
保護者や児童、生徒の期待と、利用実態が乖離している結果になったといえる。
国内で猛威を振るっているデルタ株は、10歳以下の子供への感染が急速に広がっており、2学期以降の学習に頭を悩ませている教育現場や保護者の声もある。
文部科学省が7月に発信した「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等に向けた夏季休業期間中における取組について」と題した事務連絡においては、「夏季休業期間に、オンライン登校日や緊急時の自宅等でのオンライン学習を想定した試行を行うことや、説明会や端末利用の体験会等の保護者や地域の理解や協力を促進する工夫をすること」、「通信環境が整っていない家庭の児童生徒に対し、ルータ等の貸出しに必要な整備のための補助として実施している『家庭学習のための通信機器整備支援事業』を活用すること」などを盛り込み、オンラインを活用した在宅学習の環境整備に取り組むことを示している。
出口が見えない版型コロナウイルスの感染拡大の動きのなかで、小中学校におけるオンライン授業の活用は、さらに加速する必要があるだろう。2学期以降の学習環境を検討する上で、いま一度、在宅学習を含めて、整備した端末の積極利用を視野にいれる必要がありそうだ。