どんなバイクでも安全に乗れるように
それが大型二輪教習
プロテクターにゼッケン、そしてヘルメットを身に着けて、いざ教習へ。なお写真ではすべて黄色のタバードを着用していますが、レインボーモータースクール和光では段階によって色や番号が変わります。黄色のタバードは初回教習のもの、になります。
「普通二輪の免許を持っているということは、基本的にはバイクが運転できる」ということ。運転ができるということは、技術面でも法規面も問題はナシ、というのが教習所側の基本認識です。では大型二輪の技能教習はなぜ行なうのかというと「どんなバイクでも安全に操作できるようになるため」といえるでしょう。アメリカンだろうが、スポーツ系、はては旧車と種類を問わず操作できるようになりましょう、というわけです。
ですので、普通二輪では最初にバイクの操作方法について事細かに説明しますが、大型二輪では結構アッサリだったりします。それが普通二輪と大型二輪で2時限分異なるのは、その違いがあるから。操作説明はソコソコに、早速バイクを倒して「はい、起こして」というお約束を実施。バイクを起こすのは、普通二輪教習以来。これがとんでもなく重たくてビックリ! 一発で起こせたものの、いきなり大型バイクの洗礼を受けます。
ちなみに左側に倒れた時はそのまま持ち上げて、最後にスタンドを起こしますが、右側に倒れた時は最初にスタンドを立ててからバイクを起こします。
早速乗ってバイクを走らせましょう、という流れになるのですが、乗降時に「まずは後方を確認して」といった指導が。そして跨ってエンジンをかける時、フットブレーキをしていない等、色々と……。しかも乗車したら基本的に右足を地面につけてはならず、停止時は右足ブレーキペダルを踏んで左足で接地。右足をつけていいのは、停止時にギアチェンジをする時のみ。つまり普段「いかに我流」で乗車していたのか、ということを痛感します。この我流が最後まで私を苦しめるのでした。
まず乗り出して最初に感じたのは、車体の重さとトルクの太さ。2気筒エンジンらしい鼓動と共に、力強さや頼もしさを感じさせます。アクセルはソコソコ回さないと進まなかったり、そもそもシフトインジケーターがないので何速に入っているのかイマイチわからず。何より車重の重さによる安定感の高さに驚かされます。直線は30km~40km/h、コーナーでは15km/hが教習所内のルール。コーナー手前ではしっかり減速し、2速アイドリング状態で走行し、その後加速して3速、また減速して、というのを繰り返します。こうして初めての大型二輪は終了。あっという間の50分間でした。
悪いクセが抜けず一本橋に大苦戦!
1段階2時限目は、いきなり「坂道発進、スラローム、一本橋、制動」といった課題の教習です。スラロームと一本橋は普通二輪の時でも苦しんだ私としては、また始まるのかと思うとゲンナリ。レインボーモータースクール和光では、外周を取り囲むように、これらが順に並んでおり、教習生は最外周を何度も回りながら習熟を目指します。
坂道発進は1速ローギアでリアブレーキをかけた状態で、アクセルを少しかけて半クラッチ。リアブレーキをリリースして発進するだけです。頂上についたら2速に。下り坂はエンジブレーキを使って降りていきます。速度が出過ぎていたらブレーキを使って速度コントロール。これは普段からやっているので問題ナシ。
スラロームは2速15kmで進入し、4回切り返しをします。バイクが重たくなるので難易度は大幅に上昇。さらに卒業検定における通過タイムも普通自動二輪車の場合は8秒以内、大型自動二輪車の場合は7秒以内と厳しいものになります。早く通過しなきゃ! と直線的に行こうすると、逆にコントロールしづらく、大回りした方がラクな様子。切り返す時にアクセルを少し入れるのがポイントなのですが、上手にコントロールできずに転倒する人の姿が。目の前で転倒したライダーを目にすると、怖さが倍増して上手くできません。
一本橋は、長さ15m、幅30㎝、高さ5㎝の鉄板の上を10秒かけて渡り切るというもの。一般道で一本橋を見たことがないのですが、これはバランス感覚を養うために必要なこと。ギアは1速、アクセルを少し入れて半クラッチ。リアブレーキで速度をコントロール。しっかりニーグリップをして、目線を前に、とわかってはいるのですが、体が言うことを聞かず、足をつけてしまいます。
制動は停止状態から3速40kmまで加速。パイロン通過と同時にフルブレーキングして11m以内に停車するというもの。普段バイクに乗車しているので、これは簡単なのですが、ついシフトダウンもしてしまい、指導員から注意が。そう、制動の場合3速ホールドのまま停止なのです。そして停止状態で1速に落とさなければなりません。普段エンジンブレーキ併用しながらの運転ですので、このクセがまったく治る気配がなく。
さらに不幸は続きます。筆者は普段の走行中、何かあること怖いので、常に右手の人差し指と薬指をフロントのブレーキレバーにかけているのですが、これがダメの見本だそうで。ブレーキをかける時は指4本、何より普段は指をかけてはいけないとのこと。ですが、つい指がフロントブレーキの上にあり、幾度となく注意を受けます。これも分かっているんです。いるんですが、治らないんです。こうして2時限目終了。
この日を境に、CBR250RRに乗る時は、右足はつかない、渋滞時は一本橋の練習をするようになりました。ただ、ブレーキレバーに指をかけてしまうのと、シフトダウンしながらのブレーキングだけは、どうしても治らず……。エンジンブレーキ併用で停まらないと停止線をオーバーランしてしまうのです。いや、もっと手前からブレーキングすればいいだけなのですが。
3時限目は、AT体験教習。これは普通に大型スクーターに乗るだけ、と思いきや、これが想像を超えた難しさ! ニーグリップができず、車体が安定しないのです。さらに難しいのが低速走行。これはアクセルを少し回しながら左手のリアブレーキを同時に使用するのですが、左手はクラッチという認識の私には、つい右手で……。さらに一本橋の走行体験もしたのですが、ただでさえ苦手な一本橋。渡ることができませんでした。
4時限目はS字とクランク。いずれも2速で走行するのですが、S字がクラッチを使い速度コントロールするのに対し、クランクは半クラッチのままリアブレーキをかけ続けて走行します。S字は楽勝だったのですが、クランクが……。一本橋もですが、トルクのあるバイクですから、アイドリングで走った方がラクじゃないか? という疑問が頭に浮かびます。ですが実技教習は「どんなバイクでも運転できるように」というのが目的ですので、ここは指導員の言われる通りに実践。私は「ゆっくりした速度でバイクをコントロールする」のがとにかく苦手。一本橋は普通に走れば通過できるのですが、10秒という壁を破ることができず。クランクも速い速度ならラクなのですが、ゆっくり走ろうとすると、パイロンに接触したり。
5時限目は1段階のみきわめ。坂道発進、スラローム、一本橋、制動、S字、クランクを規定通りクリアできないと2段階へ進むことができません。ここでひっかったのが一本橋。どうしても10秒の壁を突破できないのです。8秒は楽勝なのですが、欲張るとバランスを崩してしまい、足をつけてしまいます。ここでも指導員から「ニーグリップ! ニーグリップ!」との指導が入ります。力を入れているのですが「いまだに開いている」とのこと。どうやらつま先が逆ハの字に開いているのが原因なのですが、ここでハの字を意識すると、なんかシックリこない。結局10秒以上橋の上にいることができず。さらに制動でも止まる直前にシフトダウンしてしまう悪癖が出て、またしても指導が。結果、みきわめ不良。
あまりの悔しさに、マイバイクに乗っている時、渋滞時などで一本橋を練習。その甲斐あってか、再試験は合格。こうして1段階は1回落として修了となりました。次から2段階に移るのですが、新たなる「年齢との戦い」が始まるとは、この時知るよしもなかったのです。