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くだらないテーマに真剣に取り組む技術者たちが織り成す筋書きのない“青春ドラマ”

2021年08月16日 15時00分更新

文● 原田健

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 7月13日に「第11回 衛星放送協会 オリジナル番組アワード」の最優秀賞が発表され、バラエティ部門では「魔改造の夜」(NHK BSプレミアム)が受賞した。

 同番組は、超一流エンジニアたちが極限のアイデアとテクニックを競う、全く新しい技術開発エンターテインメント番組。日本を代表する3組の技術者チームが、子どものおもちゃや日常使用の家電に、度を越えたパワーにする大人気ない改造“魔改造”を施し、その成果を競う。

 最高学府の頂点「T大」、下町工場の星「H野製作所」、世界的自動車メーカーの巨人「T社」の3チームが、トースターで焼きあがったパンをどこまで高く飛ばせるかを競う「トースター高跳び」と、おもちゃの犬が25mを走るタイムを競う「ワンちゃん25M走」の2種目に挑戦。

 パンを高く飛ばすことやおもちゃの犬を速く走らせるなど、「何のために?」と思わず突っ込んでしまいたくなる競技内容がバラエティならではで興味をそそられるし、そんな誰も得しないことに“知”の精鋭たちが真剣に取り組むというのが否応なしに期待感を抱いてしまう。そんな中で、参戦するチームがそれぞれのフィールドのトップランナーであることが醍醐味だろう。どのチームが勝つのか予想がつかないし、何よりそれぞれがどのようなアプローチをするのかなど、さまざまな見どころを生み出している。

 詳しい内容は触れないでおくが、彼らの挑戦を通して、三者三様の発想、アプローチ、改造風景、試行錯誤する様子、予想を超えた結果など、“ものづくり大国・日本”の高い技術力に圧倒させられ、日常生活では見られない開発風景を垣間見ることができる、「学び」「笑い」「驚き」「感心」などがある珠玉のエンターテインメントとなっている。

 しかしながら、それだけではないところが受賞した理由だろう。それは、ひとつの目標に向かって苦悩しながらも挑み続ける彼らの楽しそうな顔であり、チームを支える仲間との絆であり、他チームの“魔改造”を興味津々で見詰める目だ。学生や社会人などそれぞれ立場が違えど、技術開発に携わっている時は全員が少年の目になっており、アスリートや高校球児などを彷彿とさせる“青春”がある。

 バラエティならではの醍醐味を堪能しつつ、オリンピックや甲子園のような筋書きのない“青春ドラマ”を味わってほしい。

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