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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第627回

3D積層技術Foverosを進化させて集積化と発熱低減を狙う インテル CPUロードマップ

2021年08月09日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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Foverosの新技術となるFoveros Omni

 さて次がFoveros Omniであるが、これは「2つのチップ」を高効率に積層するための技術である。簡単におさらいすると、下図が昨今のチップの作り方である。

Flip-Chipと呼ばれる昨今のチップの作り方

 Flip-Chipと呼ばれることもあるが、要するにダイのすぐ裏にトランジスタの回路層があり、その下に配線層がある形だ。この結果として、2つのチップをそのまま貼り合わせることはできない。

Flip-Chipは配線層があるため、2つのチップをそのまま貼り合わせられない

 どうしてもやりたければ、回路層の裏のシリコンを貫通するようにTSVを構築して、配線層を裏側まで引っ張らないといけないのだが、当然これはコストがかかるし、そのTSVがある部分には回路を入れられないためダイサイズ的にも効率がよろしくない。AMDの3D V-Cacheの模式図で、中央にTSVを集中的に配しているのは、ダイ全体にTSVを設けるのは面積的に不利だから、という非常に現実的な理由である。

3D V-Cacheの模式図

 ただ、2チップに限って言えば、下図のような方法が取れる。配線層同士が向かい合うように、Base dieを上下反転させれば、配線長を最短にできることになる。

Base dieを上下反転させれば、2つのチップを貼り合わせられる

 Foveros Omniは、要するに下図のような構成になっていると思われる。

Foveros Omni。Base dieとTop dieで直結できるところはTSVを使って最短距離で接続され、それ以外(おそらく電源など)は、インターポーザー経由でパッケージ裏面に接続されているように見える

Foveros Omniの構成予想図

 もちろんこれだけでは3チップ以上の積層は不可能だが、そうしたニーズは従来のFoverosと同じくチップの外側にViaを設け、これでインターポーザー同士を接続するようにすればよい。つまり2ダイづつ重ねる方法だ。

チップの外側にViaを設け2ダイづつ積んでいけば、3チップ以上でも積層は可能だ

 もう1つ、複数のチップを並行に並べながら向かい合わせにする方法も考えられる。発熱が多いチップの場合、あまり縦積みにすると放熱が非常に厳しいことになる。そうした場合、下図のように水平方向に展開する方が効果的かもしれない。

複数のチップを並行に並べながら向かい合わせにすることでも貼り合わせられる

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