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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第147回

適切な保管方法は? 充電器は専用でないとダメ? 意外と悩みがちな充電式電池のこと

2021年08月10日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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みんな悩んでいる? 充電式電池のこと

 在宅勤務が増えたことで、マウスやキーボードの電池の消耗が速くなっているのではないでしょうか。特に筆者はフリーランスなので、PC周りの周辺機器だけでなく、乾電池の使用量も多めです。仕事で使うワイヤレスマイクのトランスミッター(送信機)やフラッシュライト、趣味のDIYで使うテスター、ゲームのコントローラーなど……。「単に、ガジェット好きなだけ」というだけかもしれませんが……。

 というわけで、よく充電式の電池を買い足しますが、いつも悩みに悩んで購入しています。なぜなら、筆者が愛用しているエネループや充電式エボルタ(どちらもパナソニック)だけでも、いろいろなグレードがあるからです。たとえば、容量が多い「ハイエンド」、充電回数が多い「お手軽(旧:エントリーモデル)」、その中間スペックの「スタンダード」などがラインナップされています。

 たとえば、電池容量で比べると、「エネループ ハイエンド(2500mAh)」>「エネループ スタンダード(1950mAh)」>「エボルタ お手軽(1000mAh)」となります。まさに名前の通りですね。

 しかし、充電できる回数は「エボルタ お手軽(1200回)」>「エネループ スタンダード(600回)」>「エネループ ハイエンド(150回)」と、名前のイメージとは逆になっています(新JIS規格による繰り返し可能充電回数)。

 つまり、一度充電すると長く使えるのが「ハイエンド」。電池として、トータルで長寿命なのが「お手軽」というわけです。筆者は家電量販店の店頭やショッピングサイトの画面を眺め、いつも悩みながらグレードを選択しています。

 こんな悩みは、けっして筆者だけではないはず。というわけで、今回は、そんな充電式乾電池にまつわる疑問や不思議を考察していきます。

四角い9Vの充電式電池は「ある」

 少し専門的な分類では、「積層電池」と呼ばれる9Vの四角い電池。ギターやエフェクターなど、ミュージシャン御用達の電池です。型番なら「006P」の名称で、その名前の通り内部に6個の1.5Vの電池が入っていて、1.5V×6個=9Vが公称電圧です。

 店頭などではあまり見かけませんが、東芝が「インバルス」のブランドで販売しているほか、ショッピングサイトで検索すると、外国メーカーの充電式「006P」がいくつかヒットします。

筆者が使う006P形の充電池。サイズが通常タイプより少し大きいのが難点

充電器は必要なく、マイクロUSBで直接充電できるのが特徴

 しかし、充電式の場合、1.2Vの小さな充電池を7個を内蔵しているせいか、公称電圧は8.4Vのタイプがほどんど。電圧にシビアな、9V向けの機器の場合は動作しないことがレビューなどで報告されています。

 さらに、通常の乾電池よりもややサイズが大きく、電池ケースに入らなかったり、取り出しにくくなったりということも。このあたりが、あまり量販店の店頭などで充電式の006Pを見かけない理由かもしれません。

充電式ボタン電池は「ある」

 自作PCが趣味の人ならご存知でしょうが、ボタン型の充電池も存在し、コンピューター内部のメモリを維持するために使われています。ただし、一般製品向けのボタン電池は多種多様。現在のところ、使い捨てのボタン電池で需要と供給バランスが取れているので、ほとんど一般小売店では販売されていないのが実情でしょう。

ブランドごとに専用充電機を使わないといけないのか

 乱暴に説明するなら、有名メーカー製の充電器であれば、ほとんどの充電池が充電できるはずです。しかし、電池と充電器のメーカーが異なる場合、メモリー効果防止など、充電池の本来の性能が発揮されない可能性があります。

 その理由は、充電池のタイプごとに充電の特性が違うから。自動停止機能がうまく働かなかったり、過度の発熱や過充電で電池の寿命を縮めることもあります。筆者は、同じブランドでも世代が変わるごとに、専用の充電器がセットになっているタイプを購入することにしています。

 とくに電圧が基準値を下回った充電池を「不良電池」として診断されたときでも、「BQ-CC83(パナソニックの充電池の場合)」など、高機能の充電器なら再充電されることがあります。長い目で見れば、同じブランドで高機能タイプを利用すると、充電池を長く使えることになるのでオススメです。

ベストな保管方法は「適切な温度」と「乾燥した場所」

 「満充電がいい」「放電してから」「冷蔵庫で保管した方がいい」など、様々な意見があります。

 エネループや充電式エボルタなど、ニッケル水素電池なら満充電で保存し、1年に1回ほど充電が推奨されています。リチウムイオン電池なら、容量の半分〜2/3ほどの充電量で保存とメーカーは説明しています。どんな種類でも、10〜30度ほどで、乾燥した場所で保管するのが良く、冷蔵庫での保存は、取り出したときの結露がサビの原因になるのでNGです。

電池の残量を鼻の光で知らせてくれる「eneloopy(エネルーピー)」。生産終了していますが、我家では活躍中

火災や爆発を防止するために

 電池を混在して保管していたことで、火災になったケースが複数あると、東京消防庁は警告しています。具体的な原因は、パッケージから出したボタン電池と角型電池(006P)がショートして破裂、出火したと分析。電池の保存や廃棄には、電極にテープを貼るよう指導しています。

 他の電池よりも電圧が高いこともあり、筆者は006Pの電池は専用の電池ケースに入れて、金属のケースなどに保存しています。

006P電池は電圧も高くショートしやすい形状なので、ケースに入れ、不燃の箱に保存している

 Amazonでモバイルバッテリーなどを購入したときも、後日「就寝中は充電を控える……」などと書かれたメールをもらうほどの注意喚起です。

 余談になるかもしれませんが、子供向けの玩具には、充電池の使用を説明書で禁止しているものもあります。その理由は、おそらく、破損によるショート時や、電池を入れっぱなしで放置してしまうリスクを考えたものだと想像していますが、意外ですよね。

 繰り返し使える充電池は、エコでリーズナブルな便利な製品ではありますが、取り扱いは少々複雑……。そんなふうに覚えておくといいかもしれません。

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