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鉄板&今が旬なパーツを性能検証!! 第37回

【鉄板&旬パーツ】価格以上の性能を発揮するARCTIC製静圧重視ファンに注目

2021年07月27日 13時00分更新

文● 藤田 忠 編集●北村/ASCII

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回転数ごとのノイズをチェックしてみた

 「P120 PWM」と「P140 PWM」をファンコントローラー経由で接続。回転数800rpmから200rpm刻みで最大回転までファンコントローラーを使って変更。各回転時の騒音値を、吸気側軸部分から20cm離れた位置で計測している。

 計測環境のPCはファン回転数の確認のため、アイドル状態で動作させており、CPUクーラーファンなどが最低限だが動作している。環境音の少ない田舎なので暗騒音値は32dBA前後と低いが、アイドル状態でPCを動かしているので計測時の騒音値は34dBA前後になっている。

騒音値
P12 PWM P14 PWM
回転数 騒音値 回転数 騒音値
800rpm 35.8dBA 800rpm 35.7dBA
1000rpm 36.2dBA 1000rpm 36.5dBA
1200rpm 36.7dBA 1200rpm 37.7dBA
1400rpm 37.2dBA 1400rpm 39.2dBA
1600rpm 38.1dBA 1500rpm 41.3dBA
1800rpm 39.6dBA 1700rpm 42.7dBA

 静音性は優秀で、120mm径「P120 PWM」は最大回転時でも40dBAを切っている。1500rpmを超えてくると、ブーンという風切り音はそれなりに耳につくようになるが、軸ブレなどによる耳障りな音はとくに感じなかった。個体差はあると思うが、製品特有の気になる音は大丈夫そうだ。

 140mm径も静かだが、さすがに1200rpmを超えてくると、わずかだがブーンという音が耳に入るようになり、1400rpmに達すると、それなりの大きさになる。とは言え1000rpmでも排気側に手を置くと、しっかりと風を感じられる風量なので、40dBAを余裕で切っている1000~1200rpmあたりで運用するのが良さげだ。

オールインワン水冷ユニットと組み合わせて冷却性能を確認

 続いては「P120 PWM」と「P14 PWM」の冷却面を確認していこう。テスト環境のRyzen 9 5900Xをオールコア4.55GHz動作にオーバークロックした状態で、「OCCT Pro V9.0.2」の「CPU」テスト(データセット:大、テストモード:エクストリーム、負荷タイプ:一定など)を30分間実行。CPU温度を「HWiNFO64 Pro v7.07-4505」を使って記録し、テスト中の最高温度に加え、テスト後半5分間の温度推移をグラフ化するとともに平均値を出している。

 CPUクーラーには、280mmサイズラジエーターを採用するARCTICのオールインワン水冷ユニット「Liquid Freezer II」を使用し、120mm径「P120 PWM」は140mm→120mm変換ブラケットのNoctua「NA-SFMA1」を介して取り付けている。

鉄板120mm径高級ファンのNoctua「NF-A12x25」向け変換ブラケットの「NA-SFMA1」を活用

テスト環境
CPU AMD「Ryzen 9 5900X」@4.55GHz
(12コア/24スレッド、3.7~4.8GHz)
CPUクーラー ARCTIC「Liquid Freezer II 280 Rev.4」
(簡易水冷、280mmラジエーター)
マザーボード MSI「MEG X570 UNIFY」
(AMD X570、ATX)
メモリー G.SKILL「F4-3600C16D-32GTZNC」
(DDR4-3600 16GB×2)
ビデオカード Palit「GeForce RTX 3080 Ti GamingPro」
(GeForce RTX 3080 Ti、GDDR6 12GB)
HDD Western Digital「WD Blue SN550 NVMe SSD WDS100T2B0C」
(PCIe3.0 NVMe、1TB)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W」
(80PLUS PLATINUM、1000W)
OS Microsoft「Windows 10 Pro」64bit版
(Windows10 May 2021 Update適用)

静かに十分な風量、静圧を確保 冷却性能に不満なし

 ファン回転数はマザーボードのBIOSから%で指定しているが、回転数は結構ブレていた。「P120 PWM」は1200rpm想定時(68%)で実回転1198~1248rpm、1500rpm想定(85%)で1470~1612rpm、最大回転の1800rpm想定時(100%)が1744~1862rpm。「P140 PWM」は1200rpm想定時(70%)が1146~1190rpm、1500rpm想定時(88%)1434~1493rpm、最大回転の1700rpm想定時(100%)が1612~1679rpmでテストしている。

 回転数ごとの騒音値はラジエーターに取り付けた2基のファンの中間から20cm離れた位置で計測している。

テスト後半5分間のCPU温度推移(単位:℃)

CPU温度(単位:℃)

騒音値
P12 PWM ×2基 P14 PWM ×2基
回転数 騒音値 回転数 騒音値
68% 1198~1248rpm 39.1dBA 70% 1146~1190rpm 39.2dBA
85% 1470~1612rpm 43.8dBA 88% 1434~1493rpm 42.8dBA
100% 1744~1862rpm 45.4dBA 100% 1612~1679rpm 46.1dBA

 さすがに最大回転数時は、ともに平均温度は60度台を下回り、140mm径の「P140 PWM」は55.83度までに抑え込んでいる。PCケース内に収めた状態なら、まず風切り音は聞こえなくなるだろう、騒音値35dBA程度の回転数1500rpm想定のテスト時も「P120 PWM」で平均60.62度、「P140 PWM」なら59.92度と、十分な風量、静圧を生み出している。

価格に見合わない高性能を発揮するARCTIC「P」シリーズ

 1000円台の価格以上のパフォーマンスを発揮するARCTICの「P120 PWM」と「P140 PWM」は、間違いなくコストパフォーマンス抜群と言える。最大回転は動作音が耳につくので、マザーボードのBIOSなどで最大回転を80~85%程度に設定しておけば、あとはPWM制御で静かかつ十分なエアフローを確保できる。

 空冷CPUクーラーや水冷ラジエーター、PCケースと用途を選ばずに使えるだろう。あとは、海外で販売されているホワイトモデルを、日本国内でも扱ってくれればなお良しなのだが。

「P」シリーズのホワイトモデルはかなり欲しいのだが、個人輸入だとせっかくのコスパが台無しに……

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