回転数ごとのノイズをチェックしてみた
「P120 PWM」と「P140 PWM」をファンコントローラー経由で接続。回転数800rpmから200rpm刻みで最大回転までファンコントローラーを使って変更。各回転時の騒音値を、吸気側軸部分から20cm離れた位置で計測している。
計測環境のPCはファン回転数の確認のため、アイドル状態で動作させており、CPUクーラーファンなどが最低限だが動作している。環境音の少ない田舎なので暗騒音値は32dBA前後と低いが、アイドル状態でPCを動かしているので計測時の騒音値は34dBA前後になっている。
騒音値 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
P12 PWM | P14 PWM | |||||
回転数 | 騒音値 | 回転数 | 騒音値 | |||
800rpm | 35.8dBA | 800rpm | 35.7dBA | |||
1000rpm | 36.2dBA | 1000rpm | 36.5dBA | |||
1200rpm | 36.7dBA | 1200rpm | 37.7dBA | |||
1400rpm | 37.2dBA | 1400rpm | 39.2dBA | |||
1600rpm | 38.1dBA | 1500rpm | 41.3dBA | |||
1800rpm | 39.6dBA | 1700rpm | 42.7dBA |
静音性は優秀で、120mm径「P120 PWM」は最大回転時でも40dBAを切っている。1500rpmを超えてくると、ブーンという風切り音はそれなりに耳につくようになるが、軸ブレなどによる耳障りな音はとくに感じなかった。個体差はあると思うが、製品特有の気になる音は大丈夫そうだ。
140mm径も静かだが、さすがに1200rpmを超えてくると、わずかだがブーンという音が耳に入るようになり、1400rpmに達すると、それなりの大きさになる。とは言え1000rpmでも排気側に手を置くと、しっかりと風を感じられる風量なので、40dBAを余裕で切っている1000~1200rpmあたりで運用するのが良さげだ。
オールインワン水冷ユニットと組み合わせて冷却性能を確認
続いては「P120 PWM」と「P14 PWM」の冷却面を確認していこう。テスト環境のRyzen 9 5900Xをオールコア4.55GHz動作にオーバークロックした状態で、「OCCT Pro V9.0.2」の「CPU」テスト(データセット:大、テストモード:エクストリーム、負荷タイプ:一定など)を30分間実行。CPU温度を「HWiNFO64 Pro v7.07-4505」を使って記録し、テスト中の最高温度に加え、テスト後半5分間の温度推移をグラフ化するとともに平均値を出している。
CPUクーラーには、280mmサイズラジエーターを採用するARCTICのオールインワン水冷ユニット「Liquid Freezer II」を使用し、120mm径「P120 PWM」は140mm→120mm変換ブラケットのNoctua「NA-SFMA1」を介して取り付けている。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | AMD「Ryzen 9 5900X」@4.55GHz (12コア/24スレッド、3.7~4.8GHz) |
CPUクーラー | ARCTIC「Liquid Freezer II 280 Rev.4」 (簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | MSI「MEG X570 UNIFY」 (AMD X570、ATX) |
メモリー | G.SKILL「F4-3600C16D-32GTZNC」 (DDR4-3600 16GB×2) |
ビデオカード | Palit「GeForce RTX 3080 Ti GamingPro」 (GeForce RTX 3080 Ti、GDDR6 12GB) |
HDD | Western Digital「WD Blue SN550 NVMe SSD WDS100T2B0C」 (PCIe3.0 NVMe、1TB) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W」 (80PLUS PLATINUM、1000W) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro」64bit版 (Windows10 May 2021 Update適用) |
静かに十分な風量、静圧を確保 冷却性能に不満なし
ファン回転数はマザーボードのBIOSから%で指定しているが、回転数は結構ブレていた。「P120 PWM」は1200rpm想定時(68%)で実回転1198~1248rpm、1500rpm想定(85%)で1470~1612rpm、最大回転の1800rpm想定時(100%)が1744~1862rpm。「P140 PWM」は1200rpm想定時(70%)が1146~1190rpm、1500rpm想定時(88%)1434~1493rpm、最大回転の1700rpm想定時(100%)が1612~1679rpmでテストしている。
回転数ごとの騒音値はラジエーターに取り付けた2基のファンの中間から20cm離れた位置で計測している。
騒音値 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
P12 PWM ×2基 | P14 PWM ×2基 | |||||
回転数 | 騒音値 | 回転数 | 騒音値 | |||
68% 1198~1248rpm | 39.1dBA | 70% 1146~1190rpm | 39.2dBA | |||
85% 1470~1612rpm | 43.8dBA | 88% 1434~1493rpm | 42.8dBA | |||
100% 1744~1862rpm | 45.4dBA | 100% 1612~1679rpm | 46.1dBA |
さすがに最大回転数時は、ともに平均温度は60度台を下回り、140mm径の「P140 PWM」は55.83度までに抑え込んでいる。PCケース内に収めた状態なら、まず風切り音は聞こえなくなるだろう、騒音値35dBA程度の回転数1500rpm想定のテスト時も「P120 PWM」で平均60.62度、「P140 PWM」なら59.92度と、十分な風量、静圧を生み出している。
価格に見合わない高性能を発揮するARCTIC「P」シリーズ
1000円台の価格以上のパフォーマンスを発揮するARCTICの「P120 PWM」と「P140 PWM」は、間違いなくコストパフォーマンス抜群と言える。最大回転は動作音が耳につくので、マザーボードのBIOSなどで最大回転を80~85%程度に設定しておけば、あとはPWM制御で静かかつ十分なエアフローを確保できる。
空冷CPUクーラーや水冷ラジエーター、PCケースと用途を選ばずに使えるだろう。あとは、海外で販売されているホワイトモデルを、日本国内でも扱ってくれればなお良しなのだが。
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