テレビメーカーにファーウェイといった企業も
大画面でスマホ用ゲームを動かすという市場に取り組んでいる
ライバルは最近の新しいスマートテレビとなる。ファーウェイの「HarmonyOS」を搭載したスマートテレビ「華為智能屏」は、複数のスマートフォンのゲーム画面をそれぞれミラーリングして表示できる。また「華為智能屏」上でもさまざまなスマートフォン向けゲームをプレイできる。さらにTCLからも複数人同時対戦を考慮したディスプレーが発売されている。
テンセントはゲームの新しい遊び方として居間の大画面で複数人でわいわい遊ぶ習慣を作りたいと考えている。テレビメーカーやファーウェイのような企業も、同じようにスマートフォンを繋げて、みんなでゲームを楽しめるテレビ/ディスプレーを売ろうとしている。
中国が得意なのはソフトウェア
その強味を活かせるクラウドゲーミングで状況が変わる!?
テンセントは2015年頃に、レノボと提携して自宅のテレビでAndroidのゲームが遊べる、「TencentOS」なるOSを搭載した「mini station(微遊戯机)」というコンセプトのハードを発売していたものの売れている様子を見たことはなく、現在はサイトが表示できない状況である。
ゲーム機に限らず、中国の独自ハードは弱い。中国が得意なのはソフトウェアで、爆速でどんどんブラッシュアップし、ダメな部分を直し、いい部分を伸ばしていく。しかし、ハードウェアは簡単に交換できないし、実際に販売したところで独自タイトルを用意できるわけではないので売れた試しがない。とはいえ、クラウドゲーミングであれば、将来的にもアップデートが効くのでこれまでよりは売れそうな要素はある。
なかなか売れない中華ゲーム機を見るに、今後も売れる製品が出るのは難しいと考えがちだ。売れないハードで失敗し続けながらも、それでも「出してみるか」と謎ハードが出てくるのが中国の魅力である。もしかすると、その時代の既存の技術を組み合わせた、他国でできないゲーム機が出てくるかもしれない。あるかもしれない可能性を求めてウォッチし続けるのもよさそうだ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で、一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」(星海社新書)、「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「中国S級B級論 発展途上と最先端が混在する国」(さくら舎)などを執筆。最新著作は「中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本」(星海社新書、Amazon.co.jpへのリンク)
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