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Windows Info 第281回

Windows 11は古いPCやWindowsと一旦線引きするのが1つの役目か

2021年06月27日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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 Windows 11が発表された。すでにAndroidやmacOSは2020年にバージョン11になっているので、1年遅れでの「イレブン」である。Microsoftは、このWindows 11と関係が深そうなWindows 10Xを昨年末にSurface Neoとともに出荷する予定だったことを考えると、Windows 10Xの発表時、つまり2019年時点での計画ではWindows 11は、今春の予定だったのではないかと思う。

Windows 11にアップグレード可能かどうかの条件はかなり厳しい

 つまり、今春のWindows 10のアップデートにほぼ新機能がなかったのはそのためではないだろうか。Windows 11が出る予定だったので、Windows10は不具合の修正のみしか予定してなかったのだと考えられる。

 ちなみに春のアップデートである21H1のタイミングで、「ニュースと興味」の配布が始まったが、20H2などにも配布されており、21H1の新機能とは言いがたい。しかも、この「ニュースと興味」、Windows 11では早くも廃止予定である。その代わりによく似た内容のものが「ガジェット」として搭載予定なのだが。

 さて、Windows 11の詳細についてはいろいろと記事が出ているのでそれらを参照してほしい。ここでは、Windows 11について少し掘り下げた話をしたい。

そもそもMicrosoftがなぜWindows 11を出す必要があるのか

 MicrosoftがWindows 11として、Windows 10とは違うバージョンのWindowsをなぜ出すのかというと、Windowsを再スタートさせる必要があるためだ。Windows 10の前バージョンとなるWindows 8.1のメインストリームサポートは終了しており、有償の延長サービスを除けば、一般ユーザー向けのWindowsはすべてWindows 10になった。

 もちろん、サポートが切れても古いWindowsを使い続けているユーザーは残るが、サポートがないのでMicrosoftから見れば、存在しないのも同然である。また、Windows 7や8は、Windows 10が登場した時点で、新しいハードウェアには対応しないことになったため、最新のハードウェアにインストールされることもない(プロセッサードライバーなどが提供されていない)。

 ところがWindows 10は、Windows 7からのアップグレードを無償としたことで古いハードウェアが多数残っている。こうした世の中にあるPCに対して、1度線引きをするというのがWindows 11の1つの役目なのだと思われる。

 Windows 11のシステム要件は、Microsoftのページを見る限り、そう高くないように見えるので、多少古いPCでも動かせそうに感じる。しかし実際には、インテルCPUでいえば、2017年末から2018年にかけて出荷された第8世代Coreシリーズが最低限のラインになっている。大ざっぱな目安的には2018年以降のPCのみがWindows 11にアップグレードできる可能性がある(あくまでも可能性である)。

●Windows 11 の仕様
 https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/windows-11-specifications
●Windows 11 Supported AMD Processors
 https://docs.microsoft.com/en-us/windows-hardware/design/minimum/supported/windows-11-supported-amd-processors
●Windows 11 Supported Intel Processors
 https://docs.microsoft.com/en-us/windows-hardware/design/minimum/supported/windows-11-supported-intel-processors

 世の中のPCは、Windows 11にアップグレードできるものとそうでないものに分かれる。そしてアップグレードできないPCは、Windows 10を使い続けることになる。なお、一般ユーザー向けのWindows 10(HomeおよびProエディション)は、2025年10月14日(あと4年ある)まで年2回のアップデート(半期チャンネル)が提供される予定だ。

●Windows 10 Home and Pro
 https://docs.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/windows-10-home-and-pro

 Windows 11は2018年以降のPCのみを対象とし、それ以前に出荷されたPCは、Windows 10で2025年までのサポートとなる。これにより、Windows 11では、古いPCを考慮する必要がなくなり、2025年になればWindows 10のサポートが終了して、Microsoftは2018年以前の古いPCの面倒を見る必要がなくなる。

Windows 11はどこまでWindows 10Xの仕様を継承したのか?
デスクトップアプリを仮想マシンで動かすことは諦めた!?

 結局登場することがなかったWindows 10Xだが、概要や特徴は発表されており、それがどこまでWindows 11に含まれるのかは興味が湧く。Windows 10Xの開発が放棄されたのは、なんらか問題があったと考えられ、Windows 10XがそのままWindows 11になることはないだろう。とすると何が入って、何が捨てられたのか。

 一番気になるのは、Windows 10Xではデスクトップアプリを「Win32 Container」(仮想マシン)で動作させるとした点だ。

Windows 10Xは、Win32アプリケーションを仮想マシンである「Win32 Container」内で動作させ、RDPを使って画面表示をするとしていた

 このあたりについては、以前の記事を参照されたい。

●Windows 10Xはなぜかアップデートが90秒で終わるらしい
 https://ascii.jp/elem/000/004/003/4003881/
●アプリ互換性を維持しつつ生まれ変わったWindows 10Xでタブレット市場を挽回できるか
 https://ascii.jp/elem/000/004/004/4004590/

 Windows 10Xは、Windows 10のバリエーションとしてなら、Windows 10Sのように制限のあるものという位置づけで問題はないかもしれないが、広く使われるWindowsとしては互換性に生じそうな気がしていた。Windows 10Xが放棄されたのも、このあたりが原因で動かないアプリが大量にあったなどの理由が潜んでいたのかもしれない。

 Windows 10Xにおいてすべてのアプリを仮想マシンで動作させることは、短時間でWindowsのアップデートを実行する機能とも関連していた。仮想マシン内で動作させることで、Windowsとアプリケーションは完全に分離できるからである。反面、システムの一部となって動作するようなアプリケーションはまったく動かなくなる可能性が出てくる。

 もし、デスクトップアプリの仮想マシン内での動作を諦めたとすると、90秒以下でWindows Updateが終了する機能もお預けになる可能性は高い。Windows 11の発表ビデオではWindows Updateに関しては、

Let's just Windows updates are 40% smaller, and they're more efficient as they happen in the background.

(筆者訳)Windows Updateについては40%小さく(40% smaller)、バックグラウンドで行なわれるため、より効率的であると言っておきましょう

としている。「40% Smaller」とは何がどう小さくなったのかは不明である。Windows 10Xでは、アップデートは「90秒以下」とビデオで言っていたが、40%小さくなったところで、Windows 10のアップデート時間を考えると90秒以下にはならないだろう。とすると、Windows Updateの改良は限定的で、それゆえ、Windows 10Xの特徴の1つである高速アップデートは断念した、つまりデスクトップアプリを仮想マシンで動かすことは諦めたのではないかと思われる。

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