M1搭載Macとしての標準的なベンチマーク専用プログラムの結果
今回のパフォーマンス評価も、大きく2種類の方法で実施した。1つは、専用のベンチマーク用アプリを使ったもの。そしてもう1つは、日常的によく使うアプリを使った実行時間を計測するものだ。前者としては、一般的によく使われて、他のプラットフォームとも比較しやすいGeekbenchとCinebenchを使った。後者は、Finderによるフォルダーのコピー、XIP形式で圧縮されたファイルの展開、Safari上でのウェブアプリの実行、iMovieによる動画ファイルの変換だ。ウェブアプリを除けば、Mac同士の比較にのみ適したものとなる。
まず、前者のベンチマーク専用アプリの結果から見ていこう。今回の主役、iMac 24インチモデルと比較する対象としたのは、いずれも昨年発売されたiMac 27インチモデル(3.6GHz 10コア第10世代Intel Core i9プロセッサ)と、3機種同時発売となったM1チップ搭載モデル(MacBook Air、MacBook Pro、Mac mini)だ。このうちMacBook Airは、同じM1チップでも、7コアGPUを搭載したエントリーモデルとなっている。
結論から言うと、ベンチマークアプリで計測したiMac 24インチのパフォーマンスは、M1搭載の先行機種と、ほとんど同等と言える。ただしテストしたiMacは、8コアGPUモデルなので、GPU性能に関しては同じ8コアGPU搭載のMacBook Pro 13インチモデルや、同Mac miniと同等であり、7コアGPU搭載のMacBook Airよりはやや速い。なお、今回のベンチマークテストの中で、GPU性能を評価できるのは、GeekbenchのComputeテストだ。Metalを使ってテスト結果をグラフで比較しておこう。
以前にM1搭載機種のベンチマーク結果についての記事でも述べたように、7コアGPU搭載モデルでは、8コアGPU搭載モデルに対して、GPU性能がほぼ7/8となっていて分かりやすい。これから類推すると、iMac 24インチのエントリーモデルの7コアGPU搭載機の性能は、この表のMacBook Airと、ほぼ同等のものになると考えられる。家庭用としての一般的な使い方では、それで十分な場合が多いと考えられる。
同じM1チップ搭載モデルのCPU性能だけを比べても、微妙な差まで考慮すると、なんとなく、MacBook Air<MacBook Pro<iMac 24<Mac miniという序列が見えてくる。これも以前にも述べたことだが、各マシンの冷却性能が結果に影響している可能性が高い。なぜならCPUの負荷が上がって温度が高くなってくると、それ以上の温度上昇を避けるために空冷機構が働くが、その能力を超える温度上昇は、CPUのクロック周波数を低くすることによって抑えるしかないからだ。冷却性能がパフォーマンスに影響することは、MacBook Airの製品概要ページに「アクティブクーリングで、驚異的に速いパフォーマンスを。」という記述があることからも明らかだ。
その点、あえて空冷ファンを内蔵しないMacBook Airがいちばん不利だ。それ以外のモデルは、すべて空冷ファンを内蔵する。それらの中では、差はわずかながら、やはり本体内部の空間に余裕があるほど、冷却性能が高く、それがパフォーマンスに現れると考えられる。やや乱暴に言えば、MacBook ProとiMac 24とMac miniの本体の厚さが、冷却性能に反映されていると考えていいだろう。CPUに関するテスト結果をグラフで比較する。なお、iMac 27インチモデルのCinebenchの結果は、旧バージョン(R20)のもので、直接比較できないので、グラフからは省いている。
次に、iMac同士を比較してみよう。CPUやGPUの性格がまったく異なるので、単純に比較してどちらが優れているというのは難しい面もあるが、ベンチマークの数値を信じれば、CPU性能は、24インチモデルが27インチモデルに肉薄していると言って良い。少し細かく見ると、CPUのコア1つの性能では、24インチモデルのM1チップが、27インチモデルのCore i9を上回っている。しかし、M1のCPUが8コアなのに対し、このCore i9は10コアなので、マルチコアの性能では、後者に軍配が上がるというわけだ。
それに対してGPU性能では、さすがに独立したGPU(Radeon Pro 5700 XT/16GBのGDDR6メモリ)を搭載する27インチモデルに遠く及ばない。iMac 27インチモデル自体には「Pro」という呼称は与えられていないものの、このGPUはプロ用の領域で使うのに何の不満もないもの。それと現状のM1チップのGPUを比較するのは酷かもしれないが、CPU性能はともかくとして、GPU性能に関しては、まだまだ差があることは否めない。
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