X570 AORUS MASTERと新旧比較 ホントにファンレスで大丈夫なの?
静音化&ストレージ周りが強化されたAMD Ryzen対応マザー「X570S AORUS MASTER」の実力を試す
独自ツールも“自動インストール”対応
X570S AORUS MASTERの便利機能を司るGIGABYTE製独自ツール「App Center」も使い勝手が向上している。すでに流通している同社製Z590マザーと同様にWindowsをセットアップするとポップアップが出現し、App Centerのインストールを勧められるようになった。App Centerをインストールしてしまえば(要ネット接続)マザーのドライバーも一気に導入できるので、セットアップの手間を省きたければぜひ活用しよう。
ファンの回転数制御も機能を追加
GIGABYTE製マザーに搭載されている冷却ファン制御機能「Smart Fan」はX570S AORUS MASTERでは6世代目にあたる「Smart Fan 6」となった。これまでよりグラフがより見やすくなったほか、ファンの回転数制御が線形モード(Slope)に加え非線形モード(Stair)が選択可能になった。線形モードだと温度上昇にともない徐々にファン回転数が上がるが、非線形モードだと指定した温度間隔の中では一定の回転数に保たれる。
手動オーバークロックとPrecision Boost Overdrive 2の
良いところどりをした独自機能「Active OC Tuner」
X570S AORUS MASTERのBIOS設定を探ると「Active OC Tuner」なる機能が実装されていることに気がつくはずだ。これは手動オーバークロックとAMD公式のオーバークロック手法である「PBO2(Precision Boost Overdrive 2)」の良いところどりをしようという機能である。なお、PBO2については簡単な解説記事があるので、そちらを参照してもらいたい。
マイルドな手動OCだとマルチスレッド性能は伸びるがシングルスレッド性能は控えめになり、PBO2はシングルスレッド性能が伸びやすいがマルチスレッドがあまり伸びないという関係があるが、アクティブコア数が少ない時はPBO2を使い、アクティブコア数が増え全コアを使うような状況になったらPBO2ではなく手動OC設定に切り替わるという機能である。
この機能を利用するには大前提として手動OC設定とPBO2のそれぞれで動く設定を詰めておく必要がある。その上でActive OC Tunerを有効化し、切り替えのトリガーとなる値を調整する。
シングルスレッド性能重視のPBO2からマルチスレッド性能重視の手動OCへ切り替えるトリガーになるのはCPUに流れる電流(A)で、CPU Current Limitが設定値以上になれば手動OCモードに切り替わる。だがCPU温度がCPU Temperature Limitを超えるとクロックが下がるので性能は出なくなる。ちょうどいい塩梅の設定値を見つけるのは大変だが、うまく利用すればシングルもマルチも伸びるOC設定が見つかるかもしれない。