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遠藤諭のプログラミング+日記 第89回

第1回はNECのパソコン事業の原点「PC-8001」

あのパソコン、あのゲーム機、「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」つくり方の動画講座はじまります!!

2021年06月24日 09時00分更新

文● 遠藤諭(角川アスキー総合研究所)

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最初に使ったパソコンが8分の1になった

 リモートワークで自宅にいる時間がふえてはじめたことの1つだった。以前も、ナノブロックを使ってプラハの街にある「火薬塔」(Powder Tower)を作ったことはあった。カッコいいしチャペックの小説にも出てくるのに、お土産の置物になかったからだ。

 今回は、気が付くとパソコンやエレクトロニクス系のガジェットを中心に100個も作ってしまっていた。いずれも自分で愛用していたりその当時にあこがれていたモノばかり。そこで、それぞれにまつわるお話をしゃべりながら、毎週、ブロックの組み立て方を見せる「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」という動画番組がはじまることになった。

 いちばん最初に作ったのは、私が、アスキーに入社するのと前後してはじめて買ったパソコン「Apple IIc」である。

Apple IIcはこんなマシン。CC BY 3.0

 1979年に発売されて世界的にヒットした8ビットコンピューターが初代Apple II。Apple IIcは、教育市場をはじめより広い層に広がったのを受けて1984年に発売されたモデル。初代Macintoshと同じ年なのだが、フロッグデザインによる白で包んだカジュアルなデザインがすばらしい。

私のApple IIcとブロックのApple IIc。綿の肌着すら思わせるスリットや斜め線を基調とした外装。

本物は縦横それぞれ30センチほどに対してブロックでは縦横38ミリほどになる。ほぼ8分の1モデルといえる。

発売時も白ではあったがまったく真っ白ではなかった(スノーホワイトと表現されたが)。ブロックでは色も記号的になってしまう。

 さすがに、ファンの多いApple IIcやMacintoshは、レゴでもすばらしい作品がすでに作られている。しかし、コンピューターを愛する者としては「ピクセル」(ドット絵)っぽくしたいと思った。そこで、なんとなく自分にルールとして課したのが、最大でも64ピースを超えないうよにすることだった。

 Apple IIcに関していえば、全体のフォルムやETモニターと言われたディスプレイとの関係など。その形を説明するときに言語的に伝えることがギリギリ入っているくらいが楽しい。ということで、次に作ったのが、任天堂のファミリーコンピューターである。

任天堂のファミリーコンピューターは赤と白のわかりやすいデザインだが。

 世界の家庭内エンターテインメントを激変させたハードウェアが任天堂のファミコン(海外ではNES)。発売された頃、コンピューターの仕事をしていたが、ひとめ見て「これはやばい!」と思ったのをありありと覚えている。アスキー入社前に『スコラ』(スコラ・講談社)でゲーム記事を書かせてもらった(まだゲームが100本かそこら200本ない頃)。ブロックで作っている最中に、開発者の上村雅之さんにうかがったお話を思い出した。

 米国で発売するときいわゆる十字ボタンのコントローラーが受け入れられるか心配だった。米国ではジョイスティックが定着している。ところが、あのコントローラーでないと『スーパーマリオブラザーズ』はうまくプレイできない。実は、ソフトとハードが不可分だったのだ。といいつつ、ブロックでは十字ボタンまでは表現できていないのだが(写真で後に置いたゲームボーイではまんま十字ボタンだが)。

 など相応に葛藤したり思いをめぐらしながら作ったガジェットくんたちだが、はやめに番組で見せたいと思っているものをここで紹介しておくことにしよう。

ポラロイドが1977年に発売した「Polaroid Land Camera 1000」。これ一個でカメラであり現像所って凄くないですか。ウーンと唸って、どこか生き物みたいな魅力もある。

テキサス・インスツルメンツ(TI)が1978年に発売した「Speak & Spell」。喋る機械はあまりに衝撃的でした。映画『ET』に出てきたのでご存じですよね?

1986年に登場して世界的にラップトップコンピューターを流行らせた東芝の「T3100」(国内ではJ-3100)。これは、私の仕事のなかでも思い出深いシリーズ(その後、編集部で東芝を担当したのだ)。

1983年にヤマハが発売した「DX7」。FM音源による世界最初のデジタルシンセサイザー。色ちがいは1987年にヤマハ100周年を記念して発売された「DX7II Centennial」。

1978年にシャープが発売した「MZ-80K」(左)。これでマイコンはじめましたという人は業界では本当に多い。富士通の「FM-7」(右)。タモリのコマーシャルを覚えている方もいるはず。

モトローラーの「International 3000」。これでもデジタル携帯で編集部主催の香港ツアーにて購入。ジャッキー・チェンは、みんなが小さい携帯になってもテーブル中央にこれをドカンと立てないき気が済まなかったとゴールデンハーベスト(映画会社)の方から聞きました。

1982年にトミーが発売した「アームトロン/ARMTRON」。モーター1個で産業用ロボットそっくりに動く、とてもオモチャとは思えないすごい製品です。現在でも熱烈なファンがいる。

ソニーのHitBitやパナソニックのA1が印象的なMSXだが、これは、ソニーの「HB-F1XD」(1987年)。同社が推進していた3.5インチフロッピーのドライブを内蔵。右は、「ASCII STICK II Turbo」。1986年、最初に台湾に行ったときこれ作っているチームの方にいろいろ聞いてでかけた。

1985年にエポック社が発売した日本最初の家庭用ゲーム機「テレビテニス」。私のは、高円寺でなにげなく買った野球盤が超レアな第二世代でエポック社さんと交換したもの。東京おもちゃショーなんかで展示されてるのも元ボクのものなはず。

1987年にシャープが発売した「X68000」。ペケロクなどの愛称で限りなく親しまれたマシン。AMIGAやMacintosh IIも同じ頃に登場。このあとコンピューターはマルチメディアに向かっていくわけだが、グラジウスや生中継68をやりまくった記憶が。

1972年にアタリが発売した最初期のアーケードゲーム「Pong」(左)と1980年に登場したナムコの「Pac-Man」のつもりのテーブル筐体。

1999年、HandSpringが発売したPalm OS搭載のPDA「Visor」。背面スロットにGPSカートリッジを入れてニューヨークの街を歩いたり、GSMカートリッジでスマホにしたり。楽しすぎた。iPhoneが登場するのは8年後の2007年だ。

コンピューターというものを換骨奪胎したといってよいシングルボードコンピューターRaspberry Pi(左上)。同じようにこの領域を盛り上げてくれたArduino(左下)、レゴ Mindstorms RCX(右下)、レゴMindstormsの原型になったMITのProgrammable Brick(右上)。

世界最初のマイクロプロセッサであるインテル「4004」を生み出すきっかけになった日本のビジコン社製電卓「Busicom 141-PF」。1970年代はじめの日本の工業デザインそのものでもあり。

 ということで、だいたいこのあたりの路線のガジェットを作っているわけなのだが、まだ作りたいものが結構あったりする。仕事で使ったDECのVAX-11/780や端末のVT100もあるのだが、そこ入っていくと、ホントに無限にありますからね。作ったものすべてではないが、Instagramでin64blocksにポストもしているので、ご興味のある方はご覧いただければ。

これは作っておかなければならなかったPC-8001

 さて、こんなふうにして作ってきたブロックを紹介する動画番組の「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」。第1回は、1979年にNECが発売した「PC-8001」である。これの担当者だった渡辺和也さんにインタビューしたことがあるが、当時のNECにおけるコンピューターの位置づけというものがよくわかる(「TK-80、PC-8001、NECのパソコンはこんな偶然から始まった」)

第1回は日本のパソコン市場を席捲することになるNECのパソコン事業の原点PC-8001。

 当時のマイコンは、それまで企業や大学の研究室にしかなかったコンピューターを個人が所有できるというだけで凄かった。BASICで知的作業の能力は拡大するしゲームも作れる。PC-8001もそういうマシンではあるのだが、NECにはビジネスや産業を変えてしまうというのがあった。いまコンピューターの個人利用が一巡して、IoTやAIやセンサーやロボティクスが注目されているのを見ると、1979年頃のマイコンを何に使ってやろう?といっていた時代に戻っているような気分になる。

 そんな40年ほど前の歴史的なコンピューターを、40個ほどのピースを組み合わせて作る。難易度★。動画ではナノブロックのベージュで作っているが、色は、プチブロックのカーキが近い。ただし、キーボード部分をたてかけた部分(すいません動画見ないとわかりません)がピースの違いから違ってきて難易度★★になる。

なんとなく飴細工のオジサンになった気分。

作っていく過程をもらさず紹介している。

あきばお~のターンテーブルにのせて完成!

 番組は、こちらから=> 「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」https://youtu.be/rrrInq-pyZ4

 再生リストは、こちら=> https://www.youtube.com/playlist?list=PLZRpVgG187CvTxcZbuZvHA1V87Qjl2gyB

 Instagramは、こちら=> 「in64blocks」https://www.instagram.com/in64blocks/

 

遠藤諭(えんどうさとし)

 株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。

Twitter:@hortense667
Facebook:https://www.facebook.com/satoshi.endo.773

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