第2回 読んでおきたい、SokoPの「Google Cloud 実践ガイド」

データの集計と可視化だけでなく、自動化されたアクションでデータドリブンなビジネスを実現

BI機能を兼ね備えたデータ分析プラットフォーム「Looker」を理解する

文●SokoP(浦底博幸)/Google Cloudパートナーエンジニア

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 みなさん、こんにちは。Google Cloud のパートナーエンジニア「SokoP」こと浦底(@urasoko)です。

 前回からだいぶ期間が開いてしまいましたが、今回の「読んでおきたい、SokoPの『Google Cloud 実践ガイド』」は、Google Cloudプロダクトの1つとなったビジネスインテリジェンス&データ分析プラットフォーム「Looker」が備える特徴を解説させていただきます。みなさんがデータから深いインサイトを得て、よりスマートなデータドリブンビジネスを実現するためのガイドになれば幸いです。

データの集計と可視化にとどまらないBI&データ分析プラットフォーム

 みなさんは「ビジネスインテリジェンス(BI)」と聞いて、どのようなイメージをお持ちになられるでしょうか。BIという言葉をご存じない方々も含めて、少し古いですがこちらのASCIIの記事をご参照ください。

 記事にもあるとおり、BIの目的は「ビジネス上の経営判断などにデータを用いること」です。それにはデータだけではなく、データ自体を判断の指標とするためのさまざまな機構が必要です。わかりやすい例を挙げると、データを各種グラフ化する「レポーティング」、そこからデータを深堀りしていく「ドリルダウン」、それらを機能として提供する「ダッシュボード」などです。

 それでは各判断のタイミングに合わせて、必要なデータにアクセス、集計、可視化できる手法だけが提供されれば、BIは実現されたと言えるでしょうか。この問いに対し、Lookerはさらに広く深い観点から本質を定義します。それが「データ分析プラットフォーム」という呼び名に込められています。

 とはいえ、可視化がBIの大切な要素であることも間違いありません。そこでまずはLookerで「ビジュアリゼーション」と呼ばれている機能からご紹介してまいります。

可視化、分析、そしてアクションにつなげるビジュアリゼーション

 Lookerには、データをより詳しく理解しインサイトを得るための各種「ビジュアリゼーション」が揃っています。Looker標準で提供するものも多数ありますし、サードパーティから提供されているものもあります。また、Javascriptを使ってユーザーが独自にカスタムして作成する手段もあります。

 これに加えて、Lookerの特徴的な機能が、インサイトから得られた結果を次に活性化させるための「アクション」になります。

 みなさんも、目に見えるインサイトからの意思決定後、もしくはそこに至るまでに、さまざまな視点やステークホルダーを交えて各種アクションを取られると思います。データの詳細について担当に確認をとる、議論のための会議を設定する、対象データの顧客へフォローアップメールの施策をとるなど、実際の業務においてはデータを可視化するだけで意思決定が完了することは皆無ではないでしょうか。

 Lookerはこの「アクション」の概念を、データを軸にした自身のデータ分析プラットフォームに取り入れ、意思決定を含めたビジネスサイクルを「データを軸にしたワークフロー」として定義しています。正確なデータから的確にアクションをつなげて、ワークフローを実現できるわけです。

 旧来の紙ベースでの意思決定では、データの正確性もアクションの迅速性も損なわれていました。ただし、データをデジタル化したからといって、データの読み取りやそこからのアクションがアナログ作業と属人的判断に依存しているならば、同じく正確性と迅速性に欠ける結果になることは容易に想像できるでしょう。Lookerは、こうしたデータドリブンなビジネスの実現に求められるさまざまな要素を、汎用的に活用可能なプラットフォームとして提供しています。

 Lookerは、各種ビジネス要件における分析用途にあわせて、ビジュアライゼーションとアクションであらかじめ構成されたアプリケーションを提供しています。みなさんがLookerを導入後、分析したいデータへのアクセスを設定するだけで、即時ビジネスに有益なアプリケーションを利用できます。

自由自在に組み合わせ可能なBlocks、アプリケーションに組み込む分析

 さらに、独自のワークフローに向けて拡張したい場合には、Lookerが提供する「Blocks」の機能が活きてきます。

 「Looker Blocks」は、みなさんのワークフローに組み込んで分析を高速化できる、あらかじめ用意されたコードのビルディングブロックです。先に挙げたビジュアライゼーションやアクションも、このブロックという単位で公開されてます。また、各種データソースの利用や、データのモデル、各種分析手法やツールなど、多岐に渡るブロックが存在します。ビジュアライゼーション同様、各ブロックも独自のものを作成可能ですし、既存のブロックを基にカスタマイズすることもできます。主要なものはMarketplaceからインストール可能です。またGitHubにコードが公開されているものもあります。

 ブロックには「組み込み型」という種類が存在します。組み込み型のブロックはLookerが提供するインサイトを他のアプリケーションに組み込むことで、アプリケーションのUXをインテリジェントなものにすることに加え、アクションをアプリケーションから直接発動可能とさせることで、より迅速でシームレスなワークフローを実現させます。APIも備えているため、各種オペレーションにおいて部分的にもLookerを活用し、ワークフローに組み込むことも可能とします。

 各個人がそれぞれ直接ダッシュボードを参照したり、それぞれがツールを用いて分析作業をしたりすることなく、すべてのユーザーが共通かつ正確なデータを基にしたワークフローを実現できる「データ分析プラットフォーム」の可能性をご実感いただけましたでしょうか。

常に最新のデータをチームで共有するために、データはあるべき場所で

 こうした豊富なブロックとアクションは、Lookerが、旧来のデータベースやデータファイルに蓄積されているような「データ」の範疇を超え、より広い意味でのデータを統合したインサイトを得るための思想に基づいて設計されていることを示しています。そしてその思想は、対象となるデータソースの扱い方にも反映されています。

 Lookerでは、分析対象のデータをLooker自身で抱えることはせず、最新のデータを各データベースから取得します。もちろん不要不急のアクセスを防ぎ、スピーディな分析を可能にするキャッシュ機構も存在します。各ユーザーのツールの使い方によって、データの精度にばらつきが出る可能性がある時点で、どんな粒度や頻度で分析を行っていたとしても、見えているどのデータを信用すべきか判断がつき難い“混沌(カオス)”に陥ります。これは、データ利活用を進めていく企業様が必ずぶち当たる壁のような課題と言っても過言ではないでしょう。

 データ利活用前の企業様がよく口にされる課題が「データのサイロ化」です。これはBIにあたる洞察やワークフローさえも、同じ目標に向かう同一企業内で縦割りされてしまっている状態です。サイロ化されたデータを統合的に分析したいのであれば、前回ご紹介したBigQueryに分析基盤を集約することが得策でしょう。一方で、各種業務との関連が強いデータ群はそれに特化したシステムで処理されるべきです。顧客情報はCRMで、在庫情報はERPで処理されるべきですし、それぞれのデータを生み出し利活用する業務が個別に存在するはずです。

 Lookerでは、先にご紹介したアクションと組み込みアプリケーションがその業務フロー自体の中でデータドリブンを実現する仕組みとなっているのと同様に、しかるべき形で分割されている各種データを適切に処理します。それが50を越えるデータソースに対応している理由です。対象をご覧いただくとおわかりのとおり、データベースだけではなくさまざまなデータを生み出すソースが対象となっています。

* * *

 いかがでしたでしょうか。すべてを一箇所に集めて管理、データを操作し可視化する、単なるビジネスインテリジェンスを超え、データの価値と効果をすべてのユーザーに向けて民主化する「データ分析プラットフォーム Looker」の真価が伝わったのであれば幸いです。

 なお、今回ご紹介した「データの民主化」の実現に必要な管理機構と技術要素もLookerには存在します。ただし、字数が多くなってまいりましたので、続きは次回「データの混沌から民主化を実現するLookerのデータモデリング(仮)」と題して、間髪入れずにお送りしたいと思います。

 前回ご紹介したBigQueryならびに今回のLookerともども、Google Cloudパートナーのgrasysからサービスとして提供されています。技術に尖ったところもあって、多くの実績のあるパートナーです。フットワークも軽い会社なので、一度、お気軽にお問い合わせください。

※注:筆者からの要望により、タイトルなど一部表現を改めました。(2021/06/18 16:00 編集部)

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