新会社の資生堂インタラクティブビューティーには、もうひとつの役割がある。
それは、資生堂自らが、生産性が高い、新たな働き方を取り入れることだ。
既存システムのクラウド移行をはじめとする「クラウドファースト」の施策を展開。IT機能の拡充と柔軟なシステム基盤を構築して、資生堂の IT 投資およびメンテナンスコストの効率性を高め、事業スピードの向上、データによる迅速なビジネス判断を実現する。
これと同時に、アクセンチュアの人材育成ノウハウを活用して、資生堂全体のデジタル・IT能力の向上を図る。
資生堂が強化したいと考えるデジタル・IT人材像をもとに、専用の教育プログラムを共同で開発し、デジタル・ITに関する高度なスキルを持つ社員を育成。外部からの人材獲得も積極的に行うという。
「アクセンチュアと手を組んだ理由は、広いスコープと、デジタル能力を持ち、豊富な人材と経験、成功事例があること。そして、なによりも、感銘を受けたのは、世界を良くしたいと考え、社員が社会全体の改革、改善に取り組み、そのためにデジタルはツールとして存在しているという考え方だ。人にフォーカスして、会社経営をしている点は、資生堂と同じ価値観である。会社同士の価値観の共有が、合弁会社の設立に踏み込んだ理由になっている」とする。
そして、「アクセンチュアは、ITの会社であるという先入観があったが、言い換えを変えれば、デジタルをベースとする世界最大の広告会社ともいえるだろう。ITシステムのコンサルティングだけでなく、新たな事業モデルの構築など、地に足が着いたコンサルティング力がある。そして、広告のプランニング、クリエイティブ機能も持つ。数年前のイメージとはまったく異なる企業になっている」とする。
これに対して、アクセンチュアの江川昌史社長は、「DXの実現には、多種多様なスキルが必要である。100種類のスキルと、30種類の職種が必要であり、アクセンチュアは、いち早く、それらの人材を集めて、日本のデジタル化を推進してきた。いまではビジネスの70%がデジタルである」とし、「アクセンチュアがビューティー業界に取り組むのは初めてである。資生堂に対しては、約3年前に提案したものが、検討を重ね、今回の合弁会社の設立につながった。大胆かつ画期的なビジョンや戦略、顧客体験を提供し、卓越したデジタルとIT専門性、優れた人材と育成プログラムも提供する。日本のビューティー業界、世界のビューティー業界を発展せる活動につなげたい」とする。
新会社は約250人でスタート。DX本部、IT本部、企画管理部の3部体制とし、資生堂の事業や戦略に貢献。「すべての人生を健やかでリッチに。デジタルとテクノロジーを駆使して、一人ひとりの明日のビューティー体験を創造する」ことをミッションに掲げた。
社長に就任する高野篤典氏は、「社名のインタラクティブビューティーには、双方向の関係性を、デジタルやテクノロジーを用いて、様々なつながりをよりよいものにし、ビューティー体験や価値を創造したいという思いを込めた」とする。
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