このページの本文へ

レーザーで床のほこりを見やすくする「Dyson V12 Detect Slim」:

掃除機のダイソンが「レンズ」を作ったワケ

2021年05月31日 11時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Dyson V12 Detect Slim
直販価格8万6900円から
5月26日発売
ダイソン

https://www.dyson.co.jp/dyson-vacuums/cordless/dyson-v12-detect-slim.aspx

 ダイソンは5月26日、緑色のレーザーを照射して床のゴミやホコリを見やすくする新型スティック掃除機「Dyson V12 Detect slim」を発表しました。ダイソンといえば自社開発のモータが強みですが、今回は開発にあたってレンズも自社開発しています。掃除機にレンズというのは謎ですが、それには理由があるのです。

Detectシリーズは「検出」がテーマ

 Dyson V12 Detect slimは「検出」がテーマ。ごみやほこりを見えるようにするレーザーに加えて、吸いこんだごみやほこりのサイズを分類して背面LCDに表示する機能も備えます。Detectiveなら探偵だから「ごみ探偵」と言えるかも。フツーの掃除ならロボットにまかせられてしまう昨今、自分の手足で徹底的に掃除をすることの満足感を高めた高級MT車のようになった印象です。

 最大の特徴はレーザーを照射する「Laser Slim Fluffy Head」。ダイソン担当者は「競合でLEDを使ってるところはあるが、見えづらいことがある。懐中電灯のような光では全体が照射されてしまい、床の表面にある微細なホコリが見えない」といい、効率良くゴミを見つけるためのレーザー照射システムを開発したと話していました。

 プロトタイプから導かれたのは、レーザーの照射角を1.5度、高さを床上7.3mmにすると、床面と最適なコントラストが生まれ、見えなかったホコリが可視化できるという結果。初期段階では既製レンズを複数枚重ねてプロトタイプを作っていましたが、それでは光学面が合わさることでズレが出てしまうため、より照射角を正確にするため1枚のレンズを自社開発することにしたそうです。

 開発した0.11gの極小レンズは「ダイソン史上最も開発を要した部品のひとつ」(担当者)。これがあることでほこりがどこにあるかだけではなく、しっかり吸えたかもわかるようになります。実際に手にしてみるとコンタクトレンズのように小さく、スマホカメラ向けレンズといわれても納得しそうなサイズ感でした。中央にある屈曲でレーザー光の角度を整え、正確に照射しています。

 もう1つの特徴はごみやほこりのサイズ分類。これにはピエゾセンサーを使っています。ピエゾセンサーが掃除機に吸い込まれてくる粒子の音響振動をもとにした信号をプロセッサーに送信。集められたごみやほこりが5段階の捕集設計を通過すると、検知アルゴリズムが量とサイズを測定・分類します。測定回数は毎秒1万5000回。これでごみを吸っているとき背面のLCDディスプレーに「どのごみがどれだけあるか」を表示できるようになっています。

 さらに新製品ではふとんやシートの掃除に使えるミニ モーターヘッドを見直し、髪やペットの毛がからみにくい構造に改良しました。ブラシをコーン(三角錐)状にすることでからみついた髪や毛を頂点部分から抜けるようにしています。デモでは長いリボンを吸い、すべてがからまずクリアビンにおさまったところを見せていました。

 ちなみに競合ではパナソニックがコーン状ブラシを採用した毛がらみの少ないヘッドを開発しています。これからはコーン状ブラシ搭載モデルが「ペット対応」をうたう掃除機のスタンダードになっていくのかもしれません。

吸引力はパワフルだが意外と軽い?

 新製品「Dyson V12 Detect Slim」を、実際に体験会で試してみました。

 質量は2.2kgとそれなりですが、スタンドから持ちあげたときは意外と軽い印象でした。

 電源は最近ダイソンが搭載しているボタン式スイッチ。慣れないうちは操作に違和感がありますが、トリガー式と違って押しつづける必要がなく疲れにくいです。

 それならボタン式スイッチを右手の親指の位置にもってくればいいのにと感じますが、そこには基板や画面があるので……ということになっています。難しいですね。

 ハンドルを右手で握り、電源スイッチを左手で押すと、「ブーン」と独特の運転音を立てながらモーターが回りはじめます。

 ソファの下にごみに見立てた重曹の粉を散らし、メインヘッドにあるレーザーボタンをオンにすると、緑色の光がパッと粉を照らし出しました。

 運転モードをオートに設定していたので、粉を吸いこみはじめると自動的に吸引力がアップ。背面のディスプレーを見ると、棒グラフが伸びていくのがわかりました。

 吸引力は軽量モデルの「Dyson Digital Slim」から50%増し。オートモードのままでも、重曹はあっという間に吸いつくされてしまいました。

 ただし吸引力では同時発売の「Dyson V15 Detect」が現行最強クラス。Dyson Digital Slimに比べて130%増しという圧倒的なパワーを誇ります。

 Dyson V15 Detectの電源ボタンは昔ながらのトリガー式で、サイズも大きめ欧米仕様。日本を含めたアジア圏ではコンパクトなV12を推していくようです。

 次に試したのは毛がからみにくくなったミニ モーターヘッド。軽くて使いやすかったです。ちなみに今回のヘッドはどちらも単品販売がありません。

 掃除を終えたらクリアビンからごみを捨てます。ごみの容量は0.35L。パイプをはずしてハンドルを引き、ごみ箱にバサッとごみを落とします。

ごみ探偵を名乗れるほどのお掃除好きにおすすめ

 これでダイソン掃除機ラインナップは3つの構成になり、新型のDyson Detectシリーズが最上位機種となりました。

 1. Dyson Detectシリーズ
 2. Dyson Digital Slimシリーズ
 3. Dyson Micro 1.5kg、Dyson Omni-glide

 価格的には松竹梅ですが、仕様上はハイパワーモデルと軽量モデルという区別です。自分の家や掃除の仕方にふさわしいモデルはどれかというのを売り場で持ち比べて判断するとよさそうですね。

 今回のDyson V12 Detectシリーズは、家具の下など細部の掃除にこだわり、強い吸引力を求め、長い髪やペットの毛に悩んでいる人におすすめのモデル。値段は結構張りますが、画面に表示されたごみの種類と量を見て「よしよし」とほくそ笑むことができます。「ごみ探偵」を自称できるほどのお掃除好きはぜひご検討ください。

 

書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ。4歳児と0歳児の保護者。アスキーキッズで「ほぼほぼ育児」「ベビもの」連載。Facebookでおたより募集中

人気の記事:
谷川俊太郎さん オタクな素顔」「爆売れ高級トースターで“アップルの呪縛”解けた」「常識破りの成功 映画館に革命を」「小さな胸、折れない心 feastハヤカワ五味

アスキーキッズメルマガ 毎週土曜に配信中

 アスキーキッズは毎週土曜、一週間ぶんの記事をまとめて読めるメールマガジンを配信中。人気連載「ほぼほぼ育児」をはじめ、ニュース、イベント、プログラミング教育入門、みんなの子育て体験談など、子育ての参考になる情報満載です。ご登録はこちらから。

カテゴリートップへ