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四本淑三の「ガレージ・ギークス!」 第8回

ガレージがないならヘッドホンを買えばいいじゃない クルマいじりにGRADO「GW100」

2021年06月05日 09時00分更新

文● 四本淑三 編集● ASCII

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■外音導入機能のあるノイキャンで代用

 そこで去年はソニーのノイズキャンセリングヘッドホン「WH-CH710N」を使っていた。環境音を拾うマイクで外音を導入できるから、周囲の物音もしっかり聞こえる。どうせ水や油のついた手で扱うのだから、気兼ねなく使える1万円台半ばという価格も良いし、装着感も音質もさすがソニーというクオリティだった。

 ところが頭を動かすたびにパキポキ音を立てる。筐体を覆う樹脂パーツがヤレた車の内装のように軋むのだ。ノイキャンなのに本体が低級騒音を発してはいかんだろうと思うが、これが再生音より大きい。通勤通学時のように直立不動でつり革に捕まっていればいいのかもしれないが、腰を落として屈んだり、横を覗き込んだりするたびにパキポキ鳴ってしまう。

■立川シネマシティの爆音上映風サウンド

 やっぱり普通の開放型があったら欲しい。そこでGW100だ。

 昨年マイナーチェンジしたらしく、Bluetoothはver.5.0になり、 ストリーミングコーデックはapt-XやAACに対応。充電コネクターも近代的なUSB-Cとなったそうだ。

 GRADOといえばハウジングが木だったり、ぱっと見ボロいのに値段が高かったりで、世間的には風変わりなブランドのように思われているかも知れないが、アンプの能力次第で良くも悪くもなる、昔ながらのスピーカーみたいなところが私は好きだった。そのGRADOが作るBluetoothヘッドホンも、やはりチープそうに見えて、そこそこお高い2万8800円。これも伝統だ。

 納得づくでエイヤとポチったところ、届いたものがオンイヤー型で驚いてしまった。GRADOはフルサイズでアラウンドイヤーだとばかり思い込んでいたのだ。

 オンイヤー型は振動板が耳に近く、低域がよく伝わる代わりに歪率も強めに感じる。私は昔からこれがあまり好きではなかった。名作と言われるゼンハイザーのHD25ですらちょっと苦手だ。開放型でもそうした音の傾向は似たところがある。目的から言って音はどうでもいいのだが、3万円も払うなら音も好きなタイプであって欲しかった。

 実際に鳴らしてみると良くも悪くも伝統のPorta Pro似だった。低音は元気だけどミッドハイに独特のコンプレッション感があって、開放型なのに空間再現に窮屈さがある。が、ある程度音量を上げると気持ち良く鳴り始め、おかげで細かいことは気にならなくなる。これもPorta Proに似ている。つまり細かいことが気にならなくなるまで聴けば、この問題は解決するのだ。

 だったらPorta Pro Wirelessでも良かった気はするが、こちらの設計は新しく再生レンジが広い。これはもしかして、ちょっと良い買い物をしたのではないか?

 使い始めて3日も経つと、このヘッドホンで気になるのは、ちょっとザラザラして耳触りが悪い上にすぐヘタリそうなイヤーパッドのスポンジ程度になってくる。YouTubeに上がっているオーケストラや、感極まった歌手の涙声だって、立川シネマシティの爆音上映で観ているようにリアルだ。空間表現は解像感だけがすべてではなかったのだ。

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