オーディオ機器としても満足できる音質
実機を手に取ってみるとピアノブラックフィニッシュのハウジングが大変美しいことに気がついた。これは普通のヘッドホンにも欲しい素敵なカラーリングだ。側圧は少し強めでしっかりと固定される。
ATH-EP1000IRは、トランスミッターとヘッドホンの二つの部分に分かれている。トランスミッターは机に置く想定で、ヘッドホンの充電クレードルも兼ねている。電源はACアダプターから取る。また、3.5mmステレオミニ端子の入力があり、ここにソース機器(楽器やプレーヤー)を接続すると、その音がワイヤレスでヘッドホンに飛ぶ仕組みだ。本体には3.5mm - 3.5mmケーブルが付属しているので、3.5mmのヘッドホン端子を持ったiPadや携帯音楽プレーヤーなどをつなげる。以下では、iPadと組み合わせてみた。aptX LLなどには対応しないが、OSのサウンド処理などプラットフォーム自体の遅延は大変に少ない。
まずは、ヘッドホン自体の音質を確かめるため、トランスミッターを介さず、付属ケーブルを使用してヘッドホン部を直接iPadのヘッドホン出力に有線接続してみた。
やや能率は低めだが、iPadのヘッドホン出力からでも十分音量を取れる。明るく軽快で楽器音の明瞭感が高い傾向の音で、普通に音楽用としても楽しめるサウンドだ。面白いところでは、いつものオーディオテクニカの音よりも、少しフラットでモニター的な感じがする点に気がついた。楽器向けにチューニングされているとメーカーでは発表しているが、素の音はジャズトリオやクラシックに向いたスタジオモニター的な感じと言える。
トランスミッターを間に入れ、ワイヤレスで聞くと、もう少し低音の強さが上がって、リスニング向けに近い音のバランスになった。トランスミッター内蔵のD/A回路を通すせいだと思うけれども、音のメリハリや明瞭感が上がり、リスニング用途では、ワイヤレス接続の方がずっと高音質だと感じられた。このくらいの音質があれば、楽器演奏だけでなく、音楽再生用としても十分価格分の価値があると感じた。
この連載の記事
-
第275回
AV
ソリッドなステンレス筐体とK2HDサウンド、iFi audioの「Go bar 剣聖」 -
第274回
AV
いよいよSpotifyもロスレス配信か、Redditに解析情報 -
第273回
AV
ソニーが米国で展開し始めた、重低音新シリーズ「ULT POWER SOUND」とは? -
第272回
AV
自然な文章でプレイスリスト作成をうながせる、Spotifyの新機能 -
第271回
AV
音楽生成AIの進化速度に舌をまく、無料でも試せるStable Audio 2.0を使う -
第270回
AV
耳をふさがないイヤホンで高音質を追究したい人に、Cleer Audioがいいぞ!! -
第269回
AV
期待が高まる「Fokus Triumph」の音、NobleのMEMSスピーカー搭載イヤホン第3弾 -
第268回
AV
XPAN技術やWi-Fi 7、UWBなどをAIで統合した、クアルコムのFastConnect 7900 -
第267回
AV
K2HDに対応、個性的な機能備えたiFi audioのスティック型USB DAC「GO bar剣聖」 -
第266回
AV
日本とは異なる趣を持つ、ドイツのヘッドホンイベント“The World of Headphones” -
第265回
AV
Apple MusicとSpotifyの争いが飛び火? 欧州委員会がアップルに制裁金 - この連載の一覧へ