標準装備のヒートシンクは冷えるのか?
さて。AMD X570やIntel Z590マザーボードの多くには、M.2用ヒートシンクが用意されている。Z590はデザインの一部にもなっており、わざわざそれを外してAORUS Gen4 7000s SSDを取り付ける理由があるのかと気になるハズだ。たとえば、AORUS NVMe Gen4 SSD。これは銅製ヒートシンクが目立っていたが、あまり冷えないヒートシンクだった。
というわけで、CrystalDiskMark 8.0.1実行中の温度を計測してみた。マザーボードはGIGABYTE「Z590 AORUS TACHYON」で、写真を見てもわかるように長いヒートシンクが用意されている。CrystalDiskMark 8.0.1のNVMe SSDプリセットを選択し、ALL 64GiBを9回連続で実行した際の温度変化が以下のグラフだ。デフォルトの状態、Z590 AORUS TACHYONのヒートシンクに変更した状態、ヒートシンクレスの状態の3パターンをまとめたものになる。室温22度でバラック組みだ。
ヒートシンクレスの状態はさておき、Z590 AORUS TACHYONのヒートシンクよりも、SSD標準装備のヒートシンクのほうが若干温度が高くなった。ヒートシンクレスの状態では72度以上になるとサーマルスロットリングが発生したが、ヒートシンクを取り付けていればそこまで温度が上昇しないため、温度的な心配はあまりなく、マザーボードのヒートシンクとの違いは放熱の早さといった結果になった(マザーのヒートシンクのほうが放熱が早い)。
ただ検証はバラック組みであるためエアフローがない状態だ。実装先のPCケース内はある程度空気が動いているため、もう少し冷えるハズである。そこで以下写真のように離れた場所にファンを置いて、800rpmで回転させてみた。
すると、マザーボードのヒートシンクと似た動きを見せた。ケース内にある場合は、吸排気により空気が動き続けるため、バラック組みのときよりも温度は下がりやすく、それほどコントローラーの温度を気にしなくてもいい環境が多いだろう。とくにエアフローを重点的にしているのであれば、なおさらだ。
以上のように、インケースの環境であれば冷却性能に問題はなく、サーマルスロットリングを気にせず運用しやすい。性能についても申し分なく、システムややたらとデータの読み書きを要求するアプリケーション用として活躍してくれるだろう。
またビデオカードなどとの干渉の心配もなく、M.2用ヒートシンクが付属していないマザーボードを使用しているのであれば、ちょうどいい製品といえる。マザーボードにヒートシンクが付属している場合は見た目との相談になるが、両面実装であることを考えると、SSDのヒートシンクをそのまま使用するのがベターだろう。
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