消費電力に現れたOC設定の差
ROG-STRIX-RTX 3060のようなOC設定強めのカードは人気を集めやすい反面、クロックを引き上げるために消費電力も増えてしまう。
そこで、ラトックシステム製のワットチェッカー「RS-WFWATTCH1」を利用し、システム全体の消費電力を比較してみた。“アイドル時”とはシステム起動10分後の安定値を、“高負荷時”とは「3DMark」の“Time Spy”デモ実行時におけるピーク値を示している。
ブーストクロックを1882MHzまで引き上げた割には、ROG-STRIX-RTX 3060の消費電力はRTX 3060 Twin Edge OCと大差ない。ROG-STRIX-RTX 3060の補助電源コネクターが8ピン1系統で収まっていることを考えると、この差は妥当といえるのではないだろうか。
ただ、これではビデオカードのみの消費電力が掴めないので、NVIDIAの「PCAT」を利用してカード単体の消費電力も計測してみた。
以下のグラフは、「Cyberpunk 2077」(解像度は4K、画質設定条件は先の検証時と同じ)をプレイ状態で放置し、その時のTBP(Total Board Power:カード全体の消費電力)の推移を追跡したものだ。生データをそのままプロットすると非常に見辛いので、1秒ごとの移動平均でプロットしている。
まず一番TBPが大きかったのがRTX 3060 Ti FEで、一番小さかったのがRTX 2060 FE。ゲーム検証でもパフォーマンスのトップと最下位なので、これは当然の結果といえるだろう。
その中間、170W前後のところに残りの3つが集中しているが、ここではRTX 3060 Twin Edge OCがわずかに高く、次いでRTX 2060 SUPER FEと続き、OC設定の強いROG-STRIX-RTX 3060が3番手(全体では4番手)につけている。このグラフ区間のTBPに対し、最大と平均値を算出したのが次のグラフだ。
Cyberpunk 2077+PCATを使った計測では、同じRTX 3060でもROG-STRIX-RTX 3060の方が微妙にRTX 3060 Twin Edge OCより消費電力が少ないことが判明した。最大で2W、平均で5W差というのは両者のOC設定の違いを考えると非常に興味深い。
GPUやVRAM搭載量が同じなら、消費電力はクロックの設定と回路設計で決まるが、ROG-STRIX-RTX 3060は強めのOC設定を帳消しにするほど電源回路設計が優秀であることを示唆している。
ただ、RTX 3060 Twin Edge OCの設計がダメという訳ではない。ROG-STRIX-RTX 3060の方が基板も大きく、その分効率の良い回路が組みやすいからだと考えられる。

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