最新パーツ性能チェック 第335回
Rocket Lake-Sこと、第11世代インテルCoreプロセッサーの実力は?
Core i9-11900K、Core i7-11700K、Core i5-11600K速攻検証!Ryzenからシングルスレッド最速を奪還
2021年03月30日 22時00分更新
第10世代Coreや第4世代Ryzenと比較
検証編に入る前に、今回のテスト環境を紹介しておこう。今回は第11世代CoreのCore i9-11900K(7万7800円前後)、Core i7-11700K(5万8800円前後)、Core i5-11600K(3万7800円前後)の性能を見るために、第10世代Coreの同格モデル3つ(Core i9-10900K、Core i7-10700K、Core i5-10600K)を用意。そして、競合である第4世代RyzenのRyzen 9 5900X(7万1500円前後)、Ryzen 7 5800X(5万8900円前後)、Ryzen 5 5600X(3万9400円前後)を準備した。
8コア/16スレッドのCore i9-11900Kに12コア/24スレッドのRyzen 9 5900Xをぶつけるのは少々気が引けるが、インテル自身がRyzen 9 5900Xに対する部分的な優位性をアピールしているので検証しないわけにはいかない。ただし、Ryzenの最上位、Ryzen 9 5950X(16コア/32スレッド)になると勝負にならないのは明らかなので検証には含めていない。もちろん、価格も初値で10万6500円前後とだいぶ上なのでという理由もある。
また、ビデオカードはGeForce RTX 3080 FE、ストレージもPCI Express Gen4接続にするなど、新CPUのポテンシャルを活かせるデバイスを準備した。第10/11世代Core用の検証マザーボードのBIOSは、レビュー開始直前に提供されたβBIOS(0610)を使用している。
なお、メモリークロックはすべてDDR4-3200に統一した。第10世代CoreのメモリークロックはDDR4-2666ないしDDR4-2933が定格だが、今回使用したβBIOSでは定格に合わせようとすると起動すらしないトラブルに遭遇したためだ。第10世代Core勢にとっては微妙に性能が上がる形になるが、メモリークロックがすべて共通なのでCPUのパフォーマンスを比較するにはちょうど良いだろう。
検証環境:インテル | |
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CPU | インテル「Core i9-11900K」(8C/16T、最大5.3GHz)、インテル「Core i7-11700K」(8C/16T、最大5GHz)、インテル「Core i5-11600K」(6C/12T、最大4.9GHz)、「Core i9-10900K」(10C/20T、最大5.3GHz)、インテル「Core i7-10700K」(8C/16T、最大5.1GHz)、インテル「Core i5-10600K」(6C/12T、最大4.8GHz) |
CPUクーラー | Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」(簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | ASUS「MAXIMUS XIII HERO」(インテル Z590、BIOS 0610) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」(DDR4-3200、16GB×2)×2 |
グラフィックス | NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」 |
ストレージ | Corsair「Force Series MP600 CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB)、ウエスタンデジタル「WD Black NVMe WDS100T2X0C」(NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX Platinum 2000W」(80PLUS PLATINUM、2000W) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2020 Update) |
検証環境:AMD | |
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CPU | AMD「Ryzen 9 5900X」(12C/24T、最大4.8GHz)、AMD「Ryzen 7 5800X」(8C/16T、最大4.7GHz)、AMD「Ryzen 5 5600X」(6C/12T、最大4.6GHz) |
CPUクーラー | Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」(簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」(AMD X570、BIOS F33c) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」(DDR4-3200、16GB×2)×2 |
グラフィックス | NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」 |
ストレージ | Corsair「Force Series MP600 CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB)、ウエスタンデジタル「WD Black NVMe WDS100T2X0C」(NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX Platinum 2000W」(80PLUS PLATINUM、2000W) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2020 Update) |
インテル製CPUを検証する際に重要なPower Limit(PL)設定に関しても解説しておこう。TB2.0が実装されてからのインテル製CPUのパワー制御には「PL1」と「PL2」、「Tau」という3つのパラメーターが用いられている。端的に言えば、熱的・電力的に余裕がある状態でクロックを引き上げ、ごく短時間ならばより高いブーストも許容することで性能を稼ぐ、というものだ。このうちPL1がCPUのスペック表におけるTDP(=Thermal Design Power)となる。第10世代Coreのデータシートにあるこの図を見れば、PL1/PL2/Tauの関係がわかるだろう。
ちなみに、上図で示したインテルの資料ではPL3とPL4というさらに上のPower Limitも書かれているが、こちらはノートPC向けCPUの機能であるため、従来のインテル製デスクトップPC向けCPUではこれまでは無視されていたパラメーターだ。しかし、第11世代Coreでは、このPL3とPL4も活かされており、超短時間のブーストとして利用される。ただし、PL2を超えてPL3/PL4にいられる時間は10msと極めて短いため、効果を観測することやPL1/PL2の効果と切り分けることは非常に難しいだろう。
上図に示したインテル推奨のパワー制御(Package Power Control)では、CPUのクロック(褐色線)は一時的にPL1の制限を突破することはあっても、平均ではPL1より下になることが推奨されている。ただし、このPL1=TDP設定は第10世代Coreが出るまでは完全に形骸化し、PL1は無制限設定にされるのが習慣化していた。しかし、第10世代Coreで消費電力が激増してから、PL1/PL2の設定をインテル推奨値にするマザーボードも出現した。
今回使用したASUS製マザーボードの場合、CPUを交換すると最初のPOST画面で下のようなメッセージが表示される。つまり、デフォルト状態ではPower Limitは無制限設定だが、インテル推奨設定にしたければMCE(MultiCore Enhancement)を無効にせよ、という意味だ。1世代前のインテルZ490チップセット搭載マザーボードの場合はインテル推奨値かPower Limit無制限かの2択だったことを考えると、今回はPower Limit無制限寄りの設定になっている。
今回の検証においては、 第10世代Coreレビュー時の考えを継承し、インテル推奨のPower Limit設定で検証を進めることにする。ブーストが効きまくった状態ではCypress Coveアーキテクチャーの実力や温度、そして消費電力のデータの見極めが難しいからだ。とはいえ、後日投入予定のレビューではPower Limitのインテル推奨設定と無制限設定、さらにABTの効果も検証するつもりだ。
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