独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第21回
【M1搭載Mac miniレビュー】小型デスクトップの新パフォーマンススタンダード
2021年03月22日 12時00分更新
CPUの演算能力はやはり高い
すでに、M1搭載モデルのCPU/GPU性能の高さは、さまざまなモデルとの比較によって明らかにしてきた。ただし、特にGPU性能については、これまでのインテル製CPUに内蔵のGPUと比べれば高性能だと言えるが、独立したGPUを搭載したモデルに比べれば、まだ及ばないのは事実だ。
ここでは、M1搭載Mac miniのデスクトップ機としてのパフォーマンスの位置付けを明らかにするため、iMac 27インチ(3.6GHz 10コア 第10世代 Core i9 2020)、Mac mini(3.0GHz 6コア Core i5 2018)と、一般的なベンチマークテストプログラムによって性能を比較した結果を示す。
●ベンチマーク比較
iMac 27" 2020 10コア(10.15.6) | Mac mini (Late 2018) 6コア(10.15.7) | Mac mini(Late 2020) AS 8コア(11.0.1) | |
---|---|---|---|
GeekBench CPU/Single Core | 1340 | 1131 | 1751 |
GeekBench CPU/Multi Core | 9510 | 5313 | 7707 |
GeekBench Compute/OpenCL | 54647 | 5120 | 19701 |
GeekBench Compute/Metal | 56105 | 4785 | 22072 |
CineBench CPU Multi | 5404 (R20) | 5695 (R23) | 7795 (R23) |
このテストは時期を隔てて実施しているため、条件が必ずしも統一されていない。macOSのバージョンは、iMacが10.15.6、インテルMac miniが10.15.7、M1搭載Mac miniは、11.0.1となってる。OSのバージョンの違いが結果に与える影響はそれほど大きくはないと考えられるものの、OSによって異なるMetalのバージョンの違いがGeekBenchのComputeの結果に及ぼす影響は、ほかのテストよりも大きい可能性がある。またCineBenchのバージョンは、iMacがR20、両miniがR23となっている。R20とR23では、スコアの算出方法が異なるので、直接比較できない。CineBenchの結果は、インテルMac miniとM1搭載Mac miniの比較用とお考えいただきたい。厳密には、GeekBenchのバージョンも異なるが、こちらはバージョンが異なってもスコアの算出基準が同じであり、直接比較可能と考えている。
まずGeekBenchのCPUテストでは、M1搭載Mac miniは、シングルコア、マルチコアともインテルMac miniを上回っており、M1チップの優位性を雄弁に示している。iMacと比べても、シングルコアではM1搭載Mac miniの方が速いが、マルチコアでは10コアのiMacにかなわない。シングルコアのスコアに各CPUのコア数を単純に掛ければ、8コアでもM1の方が上回るはずだが、実際にはそうなっていない。これは、M1チップの8コアが、高性能のもの4つと、低消費電力のもの4つを組み合わせた構成になっていることが大きいと考えられる。
同じGeekBenchでも、GPUを使ったComputeテストでは、CPUテストとはかなり異なった傾向が見られる。インテルMac miniとM1搭載Mac miniの比較では、GPUを数値演算に利用するAPIがOpenCLかMetalかで異なるものの、M1はインテルに対してだいたい3.8〜4.6倍という圧倒的な速さを示している。M1のGPUはCPUチップに内蔵のGPUとしては、世界トップクラスの性能と言っていい。ところが、そのM1のGPU性能もiMacが実装する独立チップのGPUに比べると、まだまだ及ばない。実はこのiMacは、CTOオプションで選択可能な最高のCPUとGPUを装備したものであり、GPUは16GBのGDDR6メモリーを搭載するRadeon Pro 5700 XTとなっている。いくらM1でも、それと比較するのは無理がある。それでも、Radeonの36〜39%ほどの性能を示していることは、プライスパフォーマンス的に考えれば、むしろ驚異的と言えるだろう。
一方、CineBenchによるCPUテストでは、M1搭載Mac miniはインテルMac miniの約1.37倍という性能を示した。これは、CineBenchのCPUマルチコアの約1.45倍という数字よりは控えめながら、より実用的なアプリに近いテストとしては、かなり健闘していると言える。上で述べたように、マシンのクラスとしては、今のところインテルMac miniの方がM1搭載Mac miniよりも上位にあるのだから。
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