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“as-a-Service”戦略の中心を担うサービス、今後提供予定のソリューションも紹介

HPEが「GreenLake Cloud Services」の事業方針を説明

2021年03月22日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2021年3月17日、従量課金型サービス「HPE GreenLake Cloud Services」の事業方針を発表した。同社は2022年までに、すべてのポートフォリオを“as-a-Service”で提供する会社へと変革する計画を打ち出しており、その中心的役割をHPE GreenLake Cloud Servicesが担うことになる。

「HPE GreenLake Cloud Services」によりオンプレミスでも“クラウドエクスペリエンス”を提供

日本ヒューレット・パッカード 取締役常務執行役員 Pointnext事業統括兼ストラテジック・アライアンス統括本部長の小川光由氏、同 Pointnext事業統括GreenLakeビジネス開発本部長の酒井睦氏

世界50カ国以上で約1000社が利用、日本での新規ユーザー数は2桁成長

 HPE GreenLake Cloud Servicesは、昨年「HPE GreenLake」を改称したサービスとなる。同社 取締役常務執行役員 Pointnext事業統括兼ストラテジック・アライアンス統括本部長の小川光由氏は、「(従来のGreenLakeのような)オンプレミス向けのファイナンスモデルではなく、クラウドエクスペリエンスを提供することを目指した」ものだと説明する。

ハードウェア中心の月額課金サービスから使用量に基づく従量課金サービスへ、そして現在のGreenLake Cloud Servicesへと進化してきた

 「クラウドシフトが進んでいるが、データ保護やセキュリティという観点からオンプレミス環境はこれからも残る。GreenLake Cloud Servicesは、そこにクラウドエクスペリエンスを提供できる。顧客企業においては、ITをコンサンプション型サービスとして利用したいという要望が高まっており、オンプレミス環境でのas-a-Serviceビジネスはパブリッククラウドよりも早く成長している」(小川氏)

 米国では10年前から、日本でも7年前から、HPEは「HPE Flexible Capacity」の名称で、ハードウェア中心の月額課金サービスをスタートさせた。さらに、2017年にはこれを従量課金サービスへと進化させ、構築から運用までを含めたパッケージとして展開するHPE GreenLakeを提供開始。その後も、ハイブリッドクラウド環境の統合管理コンソール「HPE GreenLake Central」や、コンサンプションアナリティクスといった機能を追加してきた。

 こうした歴史を持つ同サービスの累計契約総額は45億ドルに達しており、世界50カ国以上で約1000社が利用、取り扱いパートナーも700社以上に達している。日本での新規ユーザー数は2桁成長しているという。最新サービスでは、サービストライアルや運用コンソール、Kubernetesベースの統合コンテナプラットフォーム「HPE Ezmeral」の提供に加えて、同社が「Tシャツモデル」と呼ぶ、S/M/Lのサイズ別メニューも用意された。

 GreenLake Cloud Servicesを採用した北米のある金融機関では、もともとSplunkをSIEMとして活用してセキュリティ分析を行ってきたが、性能の限界でデータの取り込みが十分に行えない問題が発生。解決策としてGreenLake Cloud Serviceを採用し、Ezmeralやマネージドサービス、スケーラブルオブジェクトストレージ、最適な処理性能を持つサーバーを使用量ベースの支払いで導入した。これにより、ホストあたり最大17倍のデータの取り込みでデータを活用し、サーチヘッドやインデクサー、ストレージの個別拡張にも対応。HPEが管理するPaaSソリューションにより、セキュリティリスクを排除しながら、組織はビジネスに注力できるようになったという。

 また日本でも、みずほフィナンシャルグループがプライベートクラウド基盤「みずほクラウド」のインフラ更新でGreenLake Cloud Servicesを採用した事例のほか、auカブコム証券におけるサーバー1000台規模のシステム基盤刷新、トヨタマップマスターにおけるシステム統合などで活用されてきたという。

北米の金融機関、および国内(みずほFG、auカブコム証券、トヨタマップマスター)における採用事例

 同社 Pointnext事業統括 GreenLakeビジネス開発本部長の酒井睦氏は、「GreenLake Cloud Servicesでは、エッジからクラウドまであらゆる場所でas-a-serviceのバリューを提供する」と語る。

 「特徴は、VMのデプロイなどを自ら行える『Self-service』、従量課金による『Pay-per-use』、バッファを含む柔軟性を持たせたリソースを用意できる『Scale up and down』、HPEの運用支援で顧客がビジネスにフォーカスできる『Managed for you』の4点だ」「今後は(対応する)ワークロードの拡充、事前定義による最適化や俊敏性の加速、GreenLake Centralによるセルフサービスや可視化、ハイブリッドクラウド管理の強化に力を注いでいく」(酒井氏)

VMware/コンテナ環境、VDI環境、Red Hat OpenShift環境などの提供予定

 GreenLake Cloud Servicesの構成要素や今後展開予定のソリューションについても紹介された。

 統合管理コンソールのHPE GreenLake Centralは、プロビジョニングをセルフサービス化する「Cloud Management Dashboard」、パブリッククラウドとプライベートクラウドの使用状況やリソースコストを可視化する「Consumption Analytics」、パブリッククラウド環境のコンプライアンス監査を実施する「Managed Compliance Control」で構成されている。

 同社 Pointnext事業統括 GreenLakeビジネス開発本部 シニアコンサルタントの寺倉貴浩氏は、「GreenLake CentralのドロップダウンメニューからVM環境を管理できる。事前定義されたイメージ、あるいは独自にカスタマイズしたVM構成を選択し、5回のクリックだけで、VMのプロビジョニングが完了する」と紹介した。なお、現在のGreenLake Centralは英語版で提供されているが、日本での需要増加に合わせて日本語化も検討していくという。

 今年5月から国内提供予定の「HPE GreenLake cloud services for private cloud/for containers」は、VMware環境やコンテナ環境に対応したもので、ユーザーは、コンピュート、ストレージ、ネットワークを定型構成したハードウェアを選択し、その上で、VMwareやHPE Ezmeralを活用。クラウド管理プラットフォームと組み合わせて、プライベートクラウドに最適化したソリューションとして利用できるという。

 VDIソリューションをas-a-Serviceで提供する「HPE GreenLake cloud services for VDI」は、HPEのHCIと各種VDIソリューション、コンサルティングや構築保守サポート、運用支援までを、利用量ベースの月額課金で提供。加えてエクイニクスとの提携により、データセンターや低遅延ネットワーク接続も組み合わせることができるという。

 「一般ユーザーからパワーユーザー、エンジニアリングユーザーまで、エンドユーザーのニーズにマッチしたVDIソリューションをas-a-Serviceで提供できる。メータリングによって、コスト管理やコスト予測も可能になる」(酒井氏)

「HPE GreenLake cloud services for private cloud/for containers」「同 for VDI」の概要

 レッドハットの「Red Hat OpenShift」に対応した「HPE GreenLake cloud services for RedHat OpenShift Container Platform」は日本独自の取り組みで、HPEが提供するインフラストラクチャーとRed Hat Openshiftに加え、コンサルティングサービスやマネージドサービスも提供。「クラウドネイティブなプラットフォームの構築、運用を支援し、お客様のDXを加速することができる」(酒井氏)とした。

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