独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第20回
8GB/16GB、どっちを選ぶ? M1搭載MacBook Proのメモリーの違いによるベンチ結果
2021年03月14日 12時00分更新
Apple Siliconの初のM1チップを搭載した3機種のMacは、エントリーモデルでありながら、それには不似合いなほどの高性能を発揮するという評価もすっかり定着した。また、構成によって微妙な違いもあるが、タイプや用途の異なる3機種は、基本となるCPU/GPUが同一なだけに、ほとんど同じ性能を発揮することも明らかになっている。
しかし、これまでのテストでは、現行M1チップとしての最大のバリエーション、内蔵ユニファイドメモリーの容量の差による性能の違いにメスを入れることができなかった。前回までのテストでは、同じモデルで搭載メモリー容量の違うマシンを用意できなかったからだ。
今回、ようやくM1搭載MacBook Proの8GBと16GBを同時にテストできる機会を得たので、各種テストを実行してメモリー容量が性能に与える影響を確認した。
専用ベンチマークアプリによるベンチ
最初に、今回のテストに使用したマシンの仕様を明らかにしておこう。用意できたのは、言うまでもなくM1チップ搭載のMacBook Pro 13インチの2モデルで、1台は、8GBのメモリーと512GBのストレージを搭載する。もう1台は、メモリーが16GBでストレージは1TBとなっている。ストレージの容量が揃っていないが、今回のテストには、ストレージの空き容量をいっぱいまで使い切るようなものは含まれていないので、この違いが問題となることはないと考える。
まずは、一般的なベンチマークテスト専用のアプリを使ったテスト結果を示す。アプリは2種類使用した。1つは、CPUとGPUについて、様々なプログラムを走らせて、パフォーマンスのスコアを算出するGeekbench(5.3.1)。もう1つは、CPU上で動作するレイトレーシングによる3Dグラッフィクのレンダリング性能を、やはりスコアで評価するCinebench(R23)だ。
このようなアプリの場合、そもそもプログラムのメモリー使用量も少なく、むしろメモリー容量の違いによる性能差が出ないように考慮されていると言うべきかもしれない。そのため、ユニファイドメモリーの容量によって結果に違いは出にくいと予想されるが、果たしてその通りとなった。すべてのテスト結果が、ほぼ誤差範囲に入っていて、メモリー容量の違いによる有意な差は見受けられなかった。実際のアプリでも、数値計算などを主体としたものの実行速度は、メモリー容量の違いの影響は受けにくいと考えていいだろう。
一般的なアプリによるベンチ
次に、ベンチマークテスト用のアプリではなく、日常的なMacの使い方で遭遇するような課題や、通常のアプリによる処理時間を測定した結果を示す。
ここで計測したのは、①中身のサイズが2.77GBあるフォルダー(実際にはiMovieのアプリケーションパッケージ)のFinder上でのコピー、②サイズが11.43GBある圧縮ファイル(実際にはXcodeインストール用のXIPファイル)のアーカイブユーティリティによる解凍、③Xcodeによるアプリケーション(iPhone用のサンプルプロジェクト「SwiftShot」)のビルド、④iOSアプリ開発用のiPhoneシミュレーター(iPhone 12 Pro Max)の起動、の各処理に要する時間と、⑤Safari上でブラウザーベンチマークテスト「JetStream」を動かした場合のスコア、という5つの数値だ。①〜④は、時間が短いほど高速、⑤は数字が大きいほど高速となる。
結果は、いずれもほとんど変わらないが、誤差範囲と言い切るにはやや大きな差が出ているのは、①のフォルダーコピー、③のXcodeビルド、⑤のSafari上のJetStreamだ。
①のフォルダーコピーでは、CPU以外に、ストレージの読み書き性能が結果に影響する。このようなテストの場合、単純なハードウェア性能だけでなく、ディスクの空きエリアの状態も影響することもある。ただし、言うまでもなくMacBook ProのストレージはSSDであり、空き容量も十分にあるので、このテストの場合、単純なストレージの性能の差が結果に表れている可能性が高い。とすると、8GBモデルに搭載の512GBのストレージの方が、16GBモデルが装備する1TBのストレージよりも、このような処理では、わずかながら速いと考えられる。
③のXcodeによるアプリのビルドと、⑤のJetStreamによるブラウザー上のJavaScriptの実行速度は、逆に8GBモデルよりも16GBモデルの方がやや速い。これには、やはり実装メモリーの容量が影響していると考えられる。差は大きくないが、メモリー容量の大きさが優位に働いていることは確かだろう。
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