最新パーツ性能チェック 第333回
「Precision Boost OverDrive 2」でのOC方法を解説!Ryzen 5 5600Xの性能を引き出す設定は?
2021年03月15日 11時00分更新
PBO2を実際に使ってみる
では実際にPBO2のPer Core Curve Optimizerを使ったOCの手順を紹介しよう。まず前置きとして、PBO2を利用するには「Ryzen 5000シリーズ」「AMD 400/500シリーズチップセット」そして「AGESA 1.1.8.0以降のBIOS」の3点が必要だ。そこで今回は以下のような構成で検証している。
| 検証環境 | |
|---|---|
| CPU | AMD「Ryzen 5 5600X」 (6コア/12スレッド、3.7~4.6GHz) |
| CPUクーラー | Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」 (簡易水冷、280mmラジエーター) |
| マザーボード | GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」 (AMD X570、BIOS F33c) |
| メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」 (DDR4-3200、16GB×2)×2 |
| ビデオカード | AMD「Radeon RX 6800 XT」リファレンスカード |
| ストレージ | GIGABYTE「AORUS GP-ASM2NE6200TTTD」 (NVMe M.2 SSD、2TB)、 Western Digital「WDS100T2X0C」 (NVMe M.2 SSD、1TB) |
| 電源ユニット | Super Flower「LEADEX Platinum 2000W」 (80PLUS PLATINUM、2000W) |
| OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」 (October 2020 Update) |
とはいえ、いきなりPBO2を使えと言われても何から手を付けていいか分からないはずだ。だが、今回AMDはPBO2を使う際のスタートラインとして、以下のような資料を出している。まずはここからスタートし、徐々に詰めていこう。
実際にGIGABYTE製X570マザーボード「X570 AORUS MASTER」を利用して、PBO2の設定をしてみる。最後に解説するCurve Optimizerの設定値はCPUの個体や検証環境ごとに異なるので、自分で試行錯誤しつつ見つけ出すしかない。
また、言うまでもないがPBO2の利用はBIOS画面で警告が出るとおり、動作保証外の行為となるため、これが原因で故障しても保証は受けられない。全て自己責任の下で実施しよう。
1番上の「Precision Boost Overdrive」を“Disabled”から“Advanced”に変更しよう。「PBO Limits」→「Motherboard」、「Precision Boost OverDrive Scalar」→「Manual」「10X」、「Max CPU Boost Clock Override」→「200MHz」に設定する。ここまで設定したら「Curve Optimizer」を選択しよう
Curve Optimizerには3つの設定項目がある。1番上は適用範囲(All Coresか、Per Coreか)、2番目は電圧を上げるか下げるか、3番目はどの程度を目標にするかの目安になる。Positiveなら電圧上げ、Negativeなら電圧下げとなる
Curve Optimizerの設定はPBO2によるチューニングの核心部分であるが、CPUの個体差や冷却環境などの要素が入り込むため、この設定なら通ると断言できる情報はない。いきなりPer Core設定に挑むと心が折れるかもしれないので、まずはAll Cores設定で感覚を掴んでみるとよいだろう。Negativeの設定値を5あたりから小さくしていって、OSが起動しなくなる限界値を探ってみると良いかもしれない。
Curve OptimizerのキモはMagnitudeことカウント数の選択。1カウントあたりコア電圧を3mV~5mVの範囲で上げ/下げすることができ、最大30カウントまで設定できる。Negativeのカウントを増やして電圧を下げ、浮いた電力や熱の余裕を他のコアに回すのが設定の目的になる
Curve OptimizerのPer Core設定での勘所は、Ryzenの“優秀なコア”に対しNegativeで一番小さなカウント(0に近い値)を与え、逆に性能の良くないコアはNegative方向にカウントを増やすことにある。普通のコアに無駄な電力を費やして働かせるよりも、優秀なコアをキッチリ回す方がシングルスレッド性能が伸び、結果的に体感性能の向上に結びつきやすいからだ。
この優秀なコアは「Ryzen Master」や「HWiNFO」のようなユーティリティーを使えば一発で判別できる。ざっくりと全コア同じカウントからスタートし、OSの起動やベンチマークなどで不具合が出たら優秀なコアのNegativeカウントを減らす(0に近づける)ような感じで最適な設定を探すとよいだろう。「OCCT」のような高負荷をかけるツールを使って、高負荷をかけた時にエラーが出やすいコアをチェックするのも良い手だ。

この連載の記事
-
第473回
デジタル
Ryzen 7 9800X3Dと9700Xはどっちが良いの?! WQHDゲーミングに最適なRadeon RX 9060 XT搭載PCの最強CPUはこれだ! -
第472回
sponsored
触ってわかった! Radeon RX 9070 XT最新ドライバーでFPSゲームが爆速&高画質に進化、ストレスフリーな快適体験へ -
第471回
デジタル
8TBの大容量に爆速性能! Samsung「9100 PRO 8TB」で圧倒的なデータ処理能力を体感 -
第470回
デジタル
HEDTの王者Ryzen Threadripper 9980X/9970X、ついにゲーミング性能も大幅進化 -
第469回
デジタル
ワットパフォーマンスの大幅改善でHEDTの王者が完全体に、Zen 5世代CPU「Ryzen Threadripper 9000」シリーズをレビュー -
第467回
デジタル
Radeon RX 9060 XT 16GB、コスパの一点突破でRTX 5060 Tiに勝つ -
第466回
デジタル
Radeon RX 9060 XTは6.5万円でVRAM 16GBのお値打ちGPUになれたか? -
第465回
デジタル
遅れてやってきたPCIe5.0 SSDの大本命、リード14GB/秒超えのSamsung「9100 PRO」を実機レビュー -
第464回
デジタル
Radeon RX 9070シリーズの仕上がりは想像以上だったことがゲームベンチでわかった -
第463回
デジタル
Ryzen 9 9950X3Dは順当進化。3D V-Cache搭載Ryzenの最強モデルだがクセありな部分はそのまま -
第462回
デジタル
RTX 5070の足を止めた「Radeon RX 9070 XT/ 9070」レビュー - この連載の一覧へ







