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ネットワークとUSBが強化された「B550 VISION D-P」は最強のクリエイター向けマザーだ

文●林 佑樹(@necamax) 編集●北村/ASCII

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バラック組みで負荷をかけてみる

 B550 VISION D-Pが想定する負荷は、ゲーミングにあるようなCPUに対して中負荷、GPUに対して高負荷といったものに加えて、ストレージやLANに対しても連続的な負荷がかかる状況を想定している。

 たとえば、M.2ストレージを一時ファイル置き場として扱う場合、Photoshopであれば頻繁に生成される一時ファイルがわかりやすい。メモリー容量をカジュアルに超えるデータを扱うのならば見慣れている光景になるが、200GBくらいの一時ファイルがポンポンできていく。

 DTMの場合は、音源を高速なストレージにインストールすることが多く、VSTプラグインはCPU負荷が高め、操作UIはプラグインによっては表示中のみなぜか猛烈にGPUを使用する。といったようにゲームとは異なる負荷傾向がよくあり、より全体的な安定性が求められがちだ。

GeForce RTX 3080にAORUS RGB Memory 16GBとAORUS Gen4 SSD 500GBを組み込んだテスト機。CPUはRyzen 7 5900Xだ

テスト環境
CPU AMD「Ryzen 9 5900X」(3.7~4.8GHz)
マザーボード GIGABYTE「B550 VISION D-P」(AMD B550、ATX)
メモリー GIGABYTE「GP-AR36C18S8K2HU416RD」(3600MHz 8GB×2 with Demo Kit)
ビデオカード GIGABYTE「GV-N3080GAMING OC-10GD」(GeForce RTX 3080)
SSD GIGABYTE「GP-AG4500G」(NVMe M.2、500GB)
電源ユニット Thermaltake「TOUGHPOWER GRAND RGB PLATINUM」(1050W)
OS Microsoft「Windows 10 Home」

 データの大半をNASから参照するケースでは、LAN側にシーケンシャルなデータ流量が発生する。この点はゲーム実況の際にも似た傾向にあるが、ローカルデータはだいたい巨大なので、そのときよりもヘビーな負荷になりがちだ。RAWデータをNASに設置し現像する場合は(使用中のカメラボディにもよるが)1ファイル50~100MBほどが100枚単位というケースが多い。

 というわけで、以下のような複合的な負荷をかけてみたが、とくにエラーは発生しなかった。基準としてはOCCT Powerプリセット2時間を完走するのであれば、CPUとGPU周りは問題ナシであることが多い。

 またLAN関連は取り扱うデータとローカル環境次第だが、巨大なデータを連続して送受信してみて、デバイスマネージャー上から消えることがなければ、ある程度の製作環境で問題ないだろうと判断した。

負荷テスト内容

OCCT Powerプリセット:2時間

OCCT 3D+ストリーミング配信(10Mbps、CPUエンコード):2時間

OCCT(データセット小、AVX2)+Blender Open Data(GPU):2時間

OCCT(データセット小、AVX2)+CrystalDiskMark 8.0.1(NVMe、ピーク性能Read&Write+Mix、64GiB):CrystalDiskMarkが9回の測定を終えるまでを10セット

SteamでCYBERPUNK2077をダウンロードしながら、ローカルネットワーク上の別のPCにRAWデータを転送(1ファイル120MB×200枚)

OCCTでCPU負荷を100%かけ続けても、挙動がおかしくなることはなかった

CPU温度も極端な温度変化がなくド安定。まさに理想的なで、クリエイター向けではこういう安定感が求められる

 温度を見ていくと、比較的上昇傾向はマイルドだった。VRMヒートシンクは独特の形状になるが、これはサイドフロークーラー、もしくはトップ/リアファンの設置でちゃんと熱を奪うようにしておけばいいだろう。

 チップセットは、ビデオカードによりヒートシンクの半分ほどが隠れており、またビデオカードの排気が直撃することになるが、シングルGPUの場合、ヒートシンクの残り半分は顔を出しており、ビデオカードの吸気時に冷却されていた。意外なところでは、Wi-Fiモジュールがわりと熱を持っており、気になるようであればヒートシンクを取り付けるといいだろう。

室温24度下において上記テスト時、VRMヒートシンクの表面温度は52度前後になった。またVRM MOSの温度は58~60度。ケースに組み込み、エアフローが確保されている場合、55度前後に着地しそうだ

B550チップセット自体が低発熱なものもあるが、ヒートシンクの温度はマイルド。どちらかというとIntel Wi-Fi 6 AX200の温度の高さが気になる

ビデオカードの吸気でチップセットが冷却されるため、内排気タイプのビデオカード×1であれば、排熱の直撃はあまり気にしなくていい

定格運用でOKならクリエイティブ作業だけでなく、ゲーミングもOK

 GIGABYTEのマザーボード「B550 VISION D-P」は定格でどっしりと安定した動作を狙うためのマザーボードになる。長時間の高負荷に耐えるための設計や、製作に必要な周辺機器への対応など、ゲーミングマザーボードとは異なった路線が明確となっている。

「B550 VISION D-P」の末尾PはPower Upを意味する。その名の通り「B550 VISION D」からネットワークとUSB周りが強化された。信頼性の高いパフォーマンスと優れた接続性が重視されており、クリエイターにとって必須な要素がそろっている

 見た目から気になっている読者もいるはずだが、定格であればゲームプレイも問題なく、ゲームの動画編集もするというのであれば本製品はとてもオススメ。2020年2月現在は、PCパーツの入手性が低下している状況下だが、そろそろ作業環境の更新を検討しているのであれば、いまのうちにGIGABYTE「B550 VISION D-P」を確保しておき、順次環境構築を進めていくといいだろう。

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