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独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第19回

プロユーザーのためのM1エントリーマシン「M1搭載MacBook Pro」レビュー

2021年02月27日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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インテル搭載4ポートモデルをもしのぐベンチマークテスト結果

 M1搭載MacBook Pro 13インチの旧モデルとの比較では、ディスプレーを閉じた際の形状はもちろん、ディスプレーを開くと見えるトラックパッド、キーボード、Touch Barも含めて何も変わっていない。重量も、スペック上はまったく同じ、1.4kgだ。

 中身も、スペック表を見る限り、CPUやGPUを除いた部分の仕様はかなり近い。標準メモリーは8GBで、オプションで16GBに拡張できる点も同じ。さらに最小構成のストレージが256GBで、オプション最大2TBまで搭載できる点も同じだ。

 ただし、細かい点を見ていくと、特に外部ディスプレーの扱いで、M1モデルはインテルCPU搭載の2ポートモデルに劣る点があるのに気付く。インテル搭載モデルでは、Thunderboltポートに最大2台の外部4Kディスプレーを接続できた。それがM1搭載モデルでは、サポートする外部ディスプレーは1台までとなっている。ただし、前者の最大解像度が5Kであったのに対して、後者では6Kとなっているため、一概に劣っているだけとは言えない。とはいえ、M1搭載MacBook Proの13インチモデルに2台の外部ディスプレーを接続して使うつもりのユーザーは、このM1搭載2ポートモデルでは目的を果たすことができない。

 一方、このような基本的なスペックでも、同じ13インチの2ポートモデルと4ポートモデルでは別物だ。後者は、標準搭載メモリーが16GBで、オプションで32GBに拡張できる。またストレージも512GB、または1TBが標準で、最大は4TBだ。すでに判明しているように、現在のM1チップは、メインメモリーを内蔵するユニファイドメモリーというアーキテクチャを採用しており、現状では16GBが最大となっている。現状のM1では、4ポートモデルと同等の仕様は実現できないことになる。

 もともとM1搭載MacBook Pro 13インチの2ポートモデルは、変な表現だが「M1搭載MacBook Proのエントリーモデル」といった位置付けと考えられる。もちろん、それなりの資質は備えているものの、どちらかというとMacBook Proの外観や、逆に目に見えにくい部分のMacBook Proならではの品質によってユーザーに満足を与えるタイプのマシンだった。4ポートモデルに比べると、搭載可能なCPUのランクでも差をつけられていたし、上で述べたようにメモリーやストレージの容量でも劣っていた。

 今回のM1チップの採用でCPUやGPUの性能は、ほぼMacBook Airと同じになった。この事実だけを見ると、今回の13インチモデルは、よりMacBook Airに近付いたとも考えられ、MacBook Proとしての性格は弱まったとさえ思えてくる。全体を見渡しても、実用上の違いは、上で述べたTouch Barの有無くらいではないかと言えなくもない。ただし、それはM1搭載MacBook ProがM1搭載MacBook Airに近付いてダウングレードしたのではなく、M1搭載MacBook AirがM1搭載MacBook Proに近づいてしまった結果なのだ。

 2020年の5月に発表されたMacBook Pro 13インチモデル(4ポート)と、今回の2020年11月に登場した同M1搭載モデルのベンチマークテスト結果を比較してみよう。前者は、第10世代のインテルCore i5(2GHz)を搭載している。実装メモリーは、前者が16GBで後者が8GB。数字としては前者が有利だが、このようなベンチマークテストプログラムの場合、メモリー容量はほとんど結果には影響していないと考えられる。OSのバージョンは前者が10.15.5、後者は11.0.1で異なるものの、その影響もさほど大きくはないはずだ。

●ベンチマーク比較(4ポートインテル対2ポートM1)

MacBook Pro 13インチ
2020 4コア/4ポート
(10.15.5)
M1搭載MacBook Pro
(Late 2020)
AS 8コア(11.0.1)
GeekBench CPU/Single Core 1253 1710
GeekBench CPU/Multi Core 4462 7578
GeekBench Compute/OpenCL 8325 19211
GeekBench Compute/Metal 10066 21579
CineBench CPU Multi 1874 7769

 結果を単純に比較すると、GeekBenchのCPUテストでは、インテル版4ポートMacBook Proに対してM1搭載MacBook Proは約1.7倍、同GPUテストでは約2.1〜2.3倍高速ということになる。CineBenchに至っては、約4.1倍も高速という結果が出た。これがそのまま一般の実用的なアプリの実行速度の差にも反映されるわけではないとしても、通常の操作でも体感的に十分高速なのは確かだ。

 つまり、少なくともベンチマークテストのような、メモリー容量に影響を受けにくいと思われるパフォーマンスについて言えば、新しいM1の2ポートモデルは、従来の13インチ4ポートモデルを十分に凌ぐCPU/GPU性能を発揮している。このテスト結果を見る限り、外観以外もMacBook Proの名にふさわしいと言える。

 ただし、今のところ当編集部でもM1搭載機ではメモリーが8GBのモデルしか、テストできていない。評価途上なので具体的な数字は示せないが、大きなデータを扱うアプリケーションでは、実装メモリー容量がネックになっているのではないかと思われる状況も見受けられる。これについては、M1の16GB搭載機を入手できしだい、評価してレポートする予定だ。

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