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独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第19回

プロユーザーのためのM1エントリーマシン「M1搭載MacBook Pro」レビュー

2021年02月27日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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M1搭載の13インチMacBook Pro

 待望のApple Siliconを搭載して同時に登場した3種類の新Macの中で、中核的な位置を占めるのがこのM1搭載の13インチMacBook Pro(以下、M1搭載MacBook Pro)だ。MacBook Proシリーズには大別して13インチと16インチの2タイプがあり、13インチモデルには、さらにThunderboltのポート数の違いで2ポートと4ポートモデルがある。

 今回M1チップを搭載して登場したのは13インチの2ポートモデルのみ。今回アップグレードが保留された13インチ4ポートや16インチモデルは、さらに高性能を発揮する第2世代以降のMac用Apple Siliconチップを搭載して、2021年あたりには登場するものと期待される。13インチ2ポートモデルは、同時に登場したM1搭載MacBook Air同様、従来モデルとまったく変わらない外観をまとっている。実はCPU以外の中身の構成の変化はMacBook Airよりもさらに少ない。MacBook Proと名の付くマシンとしてふさわしいもに仕上がっているか、旧モデルや同時発売のMacBook Airと比較しながら細かくチェックしていこう。

MacBook Airとのサイズの違いは厚さのみ

 まず外観から見ていこう。先のM1搭載MacBook AirのレビューでMacBook Airも、旧モデルと外観はほとんど変わらないことを述べた。新旧MacBook Airでは、空冷ファンの有無という内部構造の大きな変化があったにもかかわらずだ。しかし、このM1搭載MacBook Proは、前任機と同様、空冷ファンを内蔵している。CPUは変更されても、外観に影響を与えるような変更は何も施されていない。というわけで、M1搭載MacBook Proも、従来のインテルCPU搭載モデルと比べて外観に違いは見られない。

 最初に述べたように、元来MacBook Proの13インチモデルには、Thunderboltポートを2つ備えるモデルと、4つ備えるモデルがあった。今回M1チップを搭載してリニューアルされたのは、前者の2ポートモデルの方であり、4ポートの方は相変わらずインテルCPUを搭載したモデルとして、現行ラインナップに残っている。同じ13インチでも、2ポートモデルと4ポートモデルでは、かなり性格も異なり、違う領域のユーザーを対象としたものと考えられる。今回の2ポートモデルは、そのまま従来の2ポートモデルの性格を引き継ぐものと言える。従来の4ポートモデルは、インテルCPUを搭載したまま残っているという点を認識しておかないと、今回のモデルの評価を誤ることにもなりかねない。これについては、少し後で中身の話の中で、もう一度触れる。

 いまさらながら、MacBook AirとMacBook Proの性格の違いを改めて確認するため、まず外観の違いを見ておこう。M1搭載MacBook AirとM1搭載MacBook Proを重ねて横方向から見た場合が、形状の違いが最もはっきりする。MacBook Airは基本的にくさび形を標榜し、前端部と後端部で厚みを変えているのに対し、M1搭載MacBook Proは周辺部分を除いてどこでも厚みが同じ直方体に近い形状となっている。

 ただし、M1搭載MacBook Airが本当にくさび形になっているのは側面部分だけであり、もっとも薄い前端に近い部分でもゴム足が付いているあたりの厚みは後端部分と大きくは違わない。しかも後端に近いもっとも厚い部分は、実はM1搭載MacBook Proよりも厚いのだ。公式スペックで確認すると、M1搭載MacBook Airの厚み(高さ)は、0.41〜1.61cmと記されてるのに対して、M1搭載MacBook Proは1.56cmとなっている。最も厚い部分を比べるとM1搭載MacBook Airの方が5mmほど厚いことになる。

●スペック比較

MacBook Pro 13インチ(インテル 2020) M1搭載
MacBook Air
M1搭載 MacBook Pro
13インチ
プロセッサー 1.4GHzクアッドコア第8世代Intel Core i5 1.7GHzクアッドコア第8世代Intel Core i7 Apple 8コアM1チップ 7コア/8コアGPU 16コアNeural Engine Apple 8コアM1チップ 8コアGPU 16コアNeural Engine"
グラフィック Intel Iris Plus Graphics 645
ディスプレー Retina:2560×1600ピクセル 500ニトの輝度 広色域(P3) True Tone Retina:2560×1600ピクセル 400ニトの輝度 広色域(P3) True Tone Retina:2560×1600ピクセル 500ニトの輝度 広色域(P3) True Tone"
外部ビデオ 1台の外部5Kディスプレー 最大2台の外部4Kディスプレー USB-C経由でDisplayPort出力 アダプター(別売り)を使用したVGA、HDMI、DVI" 1台の外部ディスプレーで最大6K解像度 USB-C経由でDisplayPort出力 アダプター(別売り)を使用したVGA、HDMI、DVI" 1台の外部ディスプレーで最大6K解像度 USB-C経由でDisplayPort出力 アダプター(別売り)を使用したVGA、HDMI、DVI
メモリー "8GB 2,133MHz LPDDR3オンボードメモリー オプションで16GBに変更可能 8GBユニファイドメモリー オプションで16GBに変更可能 8GBユニファイドメモリー オプションで16GBに変更可能
ストレージ 256GB SSD 512GB SSD オプションで、1TB、2TBに変更可能 256GB SSD オプションで512GB、1TB、2TBに変更可能 256GB SSD オプションで512GB、1TB、2TBに変更可能
バッテリーと電源 最大10時間のワイヤレスインターネット 最大10時間のApple TVアプリのムービー再生 最大30日のスタンバイ 58.2Whリチウムポリマーバッテリー内蔵 61W USB-C電源アダプター 最大15時間のワイヤレスインターネット 最大18時間のApple TVアプリのムービー再生 49.9Whリチウムポリマーバッテリー内蔵 30W USB-C電源アダプター 最大17時間のワイヤレスインターネット 最大20時間のApple TVアプリのムービー再生 最大30日のスタンバイ 58.2Whリチウムポリマーバッテリー内蔵 61W USB-C電源アダプター
サイズと重量 高さ:1.56 cm 幅:30.41 cm 奥行き:21.24 cm 重量:1.4 kg 高さ:0.41~1.61 cm 幅:30.41 cm 奥行き:21.24 cm 重量:1.29 kg 高さ:1.56 cm 幅:30.41 cm 奥行き:21.24 cm 重量:1.4 kg
カメラ 720p FaceTime HDカメラ 720p FaceTime HDカメラ 720p FaceTime HDカメラ
拡張性 2つのThunderbolt 3(USB-C)ポート 2つのThunderbolt/USB 4ポート 2つのThunderbolt/USB 4ポート
ワイヤレス 802.11ac Wi-Fi(IEEE 802.11a/b/g/nに対応) Bluetooth 5.0 802.11ax Wi-Fi 6(IEEE 802.11a/b/g/n/acに対応) Bluetooth 5.0 802.11ax Wi-Fi 6(IEEE 802.11a/b/g/n/acに対応) Bluetooth 5.0
オーディオ ハイダイナミックレンジステレオスピーカー ワイドなステレオサウンド Dolby Atmos再生に対応 指向性ビームフォーミングを持つ3マイクアレイ 3.5mmヘッドフォンジャック ステレオスピーカー ワイドなステレオサウンド Dolby Atmos再生に対応 指向性ビームフォーミングを持つ3マイクアレイ 3.5mmヘッドフォンジャック ハイダイナミックレンジステレオスピーカー ワイドなステレオサウンド Dolby Atmos再生に対応 指向性ビームフォーミングを持つ、 スタジオ品質の3マイクアレイ 3.5mmヘッドフォンジャック
キーボード/トラックパッド バックライト付きMagic Keyboard Touch Bar 環境光センサー 感圧タッチトラックパッド バックライト付きMagic Keyboard 環境光センサー 感圧タッチトラックパッド バックライト付きMagic Keyboard Touch Bar 環境光センサー 感圧タッチトラックパッド

 それでも、重量はM1搭載MacBook Airの1.29kgに対して、M1搭載MacBook Proは1.4kgで110gほど重い。実はM1搭載MacBook Airに付属する30Wの小型電源アダプターの重量が実測で105gほどなので、M1搭載MacBook Airと電源アダプターを合わせた重量と、M1搭載MacBook Proの重量はほぼ等しい。言うまでもなく「MacBook Air」は空気という意味であって、軽さを象徴するネーミングだ。この語は薄さについては何も言っていない。つまりM1搭載MacBook Proより部分的に厚くても、直ちに看板に偽りありとはならない。

 いずれにしても、新しい2ポートのM1搭載MacBook Proの重量がM1搭載MacBook Airより重い主な要因は、バッテリーの容量が大きいことと、空冷ファンを内蔵していることの2点だと考えられる。それ以外に、特に重量に影響を与えるようなM1搭載MacBook AirとM1搭載MacBook Proの違いは見受けられない。違いがあるとすれば、ファンクションキーとTouch Barだが、全体の重量にそれほど大きく影響するほどの差はないだろう。

 バッテリー容量は、M1搭載MacBook Airの49.9Whに対して、M1搭載MacBook Proでは58.2Whと、17%ほど多くなっている。この春に登場したインテルCPU搭載モデルでは、それでもバッテリー持続時間はMacBook Airの方がわずかながら長かった。M1搭載MacBook Proが搭載するCPUの方が消費電力が、それだけ大きかったからだ。それがM1搭載モデルでは、M1チップの消費電力がほぼ同じになったために、バッテリー持続時間では逆にM1搭載MacBook Proの方が長くなったというわけだ。

 残念ながら、同じ条件で旧13インチモデルとの比較はできていないが、M1搭載モデルの登場を機に実施したバッテリーテストでは、旧MacBook Air(インテル)、M1搭載MacBook Air、M1搭載MacBook Pro 13インチを比較して、フルHD、フル画面表示の連続ビデオ再生時間は、以下のようになっていた。

MacBook Air
(インテル)
M1搭載
MacBook Air
M1搭載
MacBook Pro
13インチ
フルHD、フル画面表示の連続ビデオ再生時間 8時間12分 19時間40分 21時間37分

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