東芝および東芝デジタルソリューションズは2月4日、組合せ最適化問題を解く東芝独自の「シミュレーテッド分岐マシン」の速度・精度・規模を大幅に向上できる新アルゴリズムを開発したと発表した。
東芝では、最適化問題を解くための一般的な手法であるシミュレーテッドアニーリングを高速化するアルゴリズム「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」を2019年4月に発表した。古典力学における断熱過程に基づく従来のアルゴリズムでは、大規模問題の最適解(厳密解)が得られない場合があった。
新たに疑似量子トンネル効果などによりアルゴリズムを発展させ、短時間で良解(高精度な近似解)を見つける高速アルゴリズムと、より高精度な解を見つける高精度アルゴリズムの2種類を開発した。
従来のアルゴリズムは発表当時世界最速を記録したが、新アルゴリズムではおよそ10倍の高速化を達成するとともに、大規模な問題の最適解獲得に成功したという。16台のGPUから成る世界最大規模の100万変数のマシンを実現し、通常の計算機ではおよそ1年2ヵ月かかる大規模な計算をおよそ30分で済ませることに成功したとしている。
今回の成果は、2月3日付(米国東海岸時間)の米国オンライン科学雑誌「Science Advances」に掲載された。