ネジ締めがメインだけど穴開けもオーケー
ネジを電動で締めるツールである電動ドライバーには大きく分けて2種類あります。ひとつは穴開けがメインのドリルドライバー、もうひとつはある程度ネジが締まると自動的にダダダダッと打撃を与え、より強固にネジを締めることができるインパクトドライバー。
ワタシが買ったマキタのインパクトドライバー「TD171D」は、18Vのバッテリーで駆動されるパワフルなモデルです。
インパクトドライバーの主な用途はネジ締めやボルト締め。ただ、ドリルドライバーほど得意ではないものの穴開けも可能です。
ビットの交換はワンタッチ
インパクトドライバーとドリルドライバーの大きな違いは、先端部分の差し込み口の形状。ドリルドライバーはチャックという3本の爪で丸い軸のドリル刃や六角軸の先端工具(ビット)をギュギュッと挟んでガッチリ固定するようになっています。
それに対してインパクトドライバーは差し込み口が六角形になっていて、六角軸のビットを差し込むだけ。抜け落ち防止のロックがかかりますが固定はされず、少し遊びがあってカタカタと動きます。主な用途はネジ締めであり、六角軸のドリル刃を使えば穴を開けることもできますが、穴開けの精密さはドリルドライバーのほうがすぐれています。
一番左は付属の+ネジ用ビット。そのほかは別途購入したものでマキタ製ではありません。左から2つ目のビットは+とーのネジ用、その隣はMacなどでよく使われている六角星型のトルクスネジ用。次は六角軸ドリル刃で、その次はボルトを回す六角ソケット用のアダプター。一番右は丸軸のドリル刃を使うためのドリルチャックです。
自動変速や自動停止をする「楽らくモード」
インパクトドライバーは回転に打撃を加えるため、ネジを締める時にうっかりすると締め込みすぎて材料を破壊してしまうことがあります。小さいネジの場合はネジの方がねじ切れてしまうなんてことも。そのため、TD171Dでは打撃の強さを4段階で調節できるようになっています。
たとえば下地材に長いネジを締めこむ時など、見た目よりパワー&スピード重視な場合は「最速」モードに。そこまでの打撃力はいらないかなという一般的な作業は「強」、仕上げ材や石工ボードのネジ留めなど仕上がりが大事な物は「中」、M6以下の小ネジは捻じ切ってしまわないように「弱」、という感じで使い分けます。なんでもほどほどがいいってことですね。
また、トリガーの引き具合で回転数を0〜各モードの最大まで調整できるんですが、TD171Dは材料に応じて変速や停止を自動で実行する機能をそなえています。
「楽らくモード」というもので、用意されているパターンは4種類。ボタンを押すたびに、木材、ボルト、テクス用(薄板)、テクス用(厚板)が切り替わります。使い方は簡単で、モードを選んだらトリガーを目一杯引くだけ。細かいトリガーコントロールは不要で、まさに“楽らく”です。
「木材」は木材に長めのネジを締め込む時に使います。長いネジを電動ツールで締めたことがある方は経験があると思いますが、締め始めにネジが倒れちゃうことがあるんですよね。それを防ぐため最初は低速で回転し、打撃が始まると自動で最速になるように設定されています。
「ボルト」は木材とは逆に、一気に最速になるモード。ボルトは穴に差し込んでから回すためネジと違って倒れたりしないので、最初から全力で回します。トリガーを少し引くだけで回転数が最高に達するので、作業効率が格段にアップ。たくさんボルト留めしたい時にはかなり重宝します。
また、逆回転時が秀逸で、ボルトやナットの緩みを検知して自動的に回転を止めてくれます。ボルトやナットを緩める時、最後に抜けて落っことしてしまうことがよくありますが、それを防げるのです。
「テクス用(薄板)」はテクスネジを使う時のモードです。テクスネジは先端がドリルのようになっているネジで、鋼板(鉄板)に自分で下穴を開け、鉄板にネジの溝を作り、最後に締め付けるという一石三鳥のスグレモノ。このモードでは合計の暑さが1.6〜2.0mmの比較的薄い鉄板どうしの締め付けが対象になります。
テクスネジを使う時、特に注意が必要なのが締め付けのコントロール。締め付けすぎるとネジの溝を壊してしまい、空回りして「ああっ!」となったりしがちです。
そのため「テクス用(薄板)」モードでは打撃をキャンセル。打撃開始までは高速回転しますが、打撃が始まると停止します。音でいうとギューゥゥン、ピタッ! みたいな。締めすぎ防止のためテクスネジはクラッチ付き電動ドリルドライバーを使うのが基本みたいですが、このモードがあれば全然大丈夫です。
「テクス用(厚板)」は比較的厚い鋼板に対してテクスネジを締め付ける時のモード。薄板用と同じく打撃開始時までは高速回転しますが、薄板用と違うのはそこで止まるのではなく回転が遅くなり、少し打撃を与える点。そのぶんガッチリと固定することが可能です。締め付けが終わったら自分でオフにします。
厚い鋼板の場合、薄板のようにネジ溝を壊してしまう可能性は低いんですが、代わりにネジの方が負けて頭の部分が千切れてしまう頭飛びや、ビットの先端がネジから浮いて頭の溝を壊してしまうカムアウトという現象が起こったりします。最後に回転がゆっくりになることでそれを低減してくれるのがこのモードです。
どのモードも、自分でトリガーをコントロールしてやろうと思ったら結構大変ですよね。特にテクス用は絶妙なタイミングが必要なので自分にはほぼ無理。ナットも落っことしますし。
モード切り替えは片手でもできます
打撃の強さはグリップ下のコントロールパネルで行ないますが、トリガーのすぐ上にある手元ボタンでも切り替え可能です。
また、打撃4種と楽らく4種の合計8つのモードのうち、ひとつをメモリーに登録することができ、その場合は手元ボタンはメモリー設定を呼び出すボタンになります。
いちいちコントロールパネルを操作しなくてもグリップを握ったまま2つのモードを入れ替えることができるので、特定の作業を繰り返す時は超便利。ほんのちょっとしたことですが、片手でできるのはストレスがかなり低減するはずです。
「はず」と書いたのはメモリー機能を使ったことがないからで、楽らくモードもボルトしか使ったことがありません。もともとクルマのボルト&ナットと穴開けのために買ったので、切り替えとかほかのモードとには用がなかったんですよね。でもこれを書いてて長い木ネジやテクスネジを締めてみたくなりました。手段のためには目的を選ばず!
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