昨年までのポートフォリオ拡充とパートナー協業強化で「準備ができた」と町田社長が語る
Nutanixの2021年事業方針は「HCIからハイブリッドクラウド基盤へ」
2021年01月15日 07時00分更新
ニュータニックス・ジャパン(Nutanix)は2021年1月14日、2021年の事業方針説明会を開催した。
同社 コーポレートVP 兼 社長の町田栄作氏は、“One OS、One Click、Any Cloud”というビジョンは変わらないものの、DX推進やITモダナイズ、ITaaSといった顧客ニーズの変化をふまえて、従来のハイパーコンバージドインフラ(HCI)から「ハイブリッドクラウド化を牽引するプラットフォーム」の方向性へと進化していくと説明。そのために、ポートフォリオ変革(PX:Portfolio Transformation)やパートナー連携の強化などに取り組む姿勢を強調した。
2020年は新CEOも就任、ビジョンは維持しつつ「新しいNutanix」へ向かう
説明会で町田氏はまず、昨年(2020年)のビジネスを振り返った。
ニュータニックスは現在、グローバルで1万8000社の顧客企業を持ち、従業員数は6000名超の規模にまで成長している。設立から15年目となるが、この間、HCIアプライアンスの販売からHCI基盤ソフトウェア/クラウドOSの販売へ、さらにはコストのOPEX化を可能にするサブスクリプション販売へと、ビジネスモデルも進化させてきた。
「最新四半期決算では、グローバルの顧客請求額の88%がサブスクリプションになっている。サブスクリプション型への移行状況は、日本でも変わらない」(町田氏)
また昨年(2020年)12月には、新たなプレジデント 兼 CEOにラジーブ・ラーマスワミ(Rajiv Ramaswami)氏が着任している。町田氏は「ラジーブの下で“新しいNutanix”としてさらなる成長を目指す」と語る。
Nutanixが創業以来掲げてきたのが、単一のソフトウェア基盤であらゆるクラウドに、ワンクリックで簡単にワークロードを展開可能にする“One OS、One Click、Any Cloud”のビジョンである。町田氏は、このビジョンは変わらないものの、経済環境や顧客課題/ニーズの変化に応じて戦略を進化させていく方針だと語る。
その具体的な戦略として挙げたのが、従来のHCIからハイブリッドクラウドプラットフォームへの進化だ。すでにソリューションポートフォリオやパートナーエコシステムの拡充を進めており、昨年は「そのための準備ができたと言ってよいのでは」と町田氏は語る。
顧客DX推進を支援するためのプラットフォームやソリューションの提供
町田氏は今年、2021年における顧客企業の課題を「ITのモダナイゼーション」「企業成長と競争力アップ」「俊敏性とコスト最適化」という3つにまとめた。そして、それぞれに対応するNutanixソリューションが「HCI」「IT as a Service」「ハイブリッドクラウド」だと説明する。
さらに、DXという大きな流れも見逃せない。同社 マーケティング本部 本部長の河南敏氏は、海外におけるDXのためのHCI導入事例を紹介した。たとえばカフェテリアチェーンにおける画像認識技術を採用した非接触型セルフレジ、GPU対応のDaaSソリューション「Xi Frame」を利用したバーチャル店舗内の陳列テストマーケティング、オーストラリアの国勢調査における「Nutanix Clusters on AWS」を活用した一時期だけのキャパシティバースト、M&A時のシステム統合とクラウドDR「Xi Leap」導入などだ。
町田氏は、DXに向けた顧客企業の課題について「利用と所有の可変的なバランス」が最も重要であり、オンプレミスとパブリッククラウドのバランスだけでなく、IT/デジタル人材も内部/外部のバランスが必要であると指摘。従来のやり方を大きく変える「ニューノーマル」への移行が不可欠だと述べた。さらにポートフォリオの拡充だけでなく、具体的な顧客課題に対する解決策として提案していくことも強調している。
「Nutanixはさまざまな製品ポートフォリオを揃えてきたが、プロダクトアウトだけではパートナーも顧客も(採用判断が)難しい。潜在的、顕在的ニーズにきちんと即したものであり、現実の問題解決につながることが見えるような提案をしていきたい。そのためには、さまざまなユーザー事例の紹介も進めたい」(町田氏)
今年の事業戦略のまとめとして、町田氏は「ハイブリッドクラウドの世界で『リーダー』であると見ていただけるような活動」「DX、PX、そしてCX(カスタマー体験)を中心に据えた取り組み」「アンリプレーサブル(リプレースされない)基盤環境の構築、提供」を進め、「創造的破壊(Disruption)と新しい当たり前」の実現と同時に、顧客からの安心感、信頼感を得られるベンダーとして事業を進めると語った。