ルーターを買い替えてもそのまま利用できて末永く使える
手軽にWi-Fi 6対応メッシュWi-Fi化できるネットギアの「EAX80」で全方位カバーだ
2021年01月19日 09時00分更新
一都三県で緊急事態宣言が再び発令され、巣ごもり生活がまだまだ続きそうな今日このごろ。自宅でテレワークをする機会が増える人も多そうだが、ここでいま一度家庭内の通信環境を見直しておきたい。
近年は、無線LANを利用する機器が格段に増えてきている。従来のノートPCやスマホ、タブレットだけでなく、テレビやレコーダー、家庭用ゲーム機、スマートスピーカーなどなど、あらゆる機器で利用されている。また、家の一部だけで利用できればよかった環境も、家中隅々まで安定した通信が求められる時代となり、この巣ごもり生活を利用して改善していきたいところだ。
Wi-Fi 6(802.11ax)が発表されて約2年。準拠した製品が登場してから1年ほどになるが、実はまだ策定はされておらず、今年の2月に策定される予定だ。今後、各メーカーからハイエンドからローエンドまで幅広い製品展開が予想される。ルーターがまだ古い規格であれば、買い替えを検討するのもいいだろう。
ただ、ルーターを買い替えても戸建ての場合は、すべての部屋をカバーするのは難しい。最近流行りのメッシュWi-Fiを導入すれば、広い範囲をカバーでき、効率よく無線LANを活用できるが、意外と初期投資が大変だったりする。
そこで提案したいのが、ネットギアのWi-Fi 6対応無線LAN中継器「AX6000 WiFi 6 メッシュエクステンダーEAX80」の導入だ。この製品を導入することで、既存の環境をメッシュWi-Fi化する優れもの。今回は本製品の特徴や使い方をレビューしていきたい。
4804+1147MbpsのWi-Fi 6デュアルバンド
メッシュWi-Fiは、その名の通り網目状にルーターと無線LAN中継機を設置することで、電波を家中に届くよう改善するためのシステム。SSIDを変更しなくても、強い電波のルーターや中継機に自動で接続するため、スマホを手にしながら部屋を移動しても最適なWi-Fi接続の設定で利用でき、変更する手間も不要となる。
「EAX80」も、このメッシュWi-Fiを構築できる無線LAN中継機だが、メッシュWi-Fi対応製品にありがちな同一メーカーの機器でした利用できないというわけではなく、ルーターにどんなメーカーの製品を使っていても、本製品を導入するだけでメッシュWi-Fi化できるところが優れている点だ。つまり、既存の環境にチョイ足しするだけで、メッシュWi-Fiの恩恵がすぐに受けられるわけである。
これなら、すべてを差し替えずに電波の届く範囲を広げることが可能だ。さらに、ルーターから離れた場所であっても、通信速度の低下を極力抑えられる。テレワークをリビング以外の部屋で行なうために、電波強度が低くてオンラインミーティングが快適にできないという事態もなくなるはずだ。
本製品はWi-Fi 6に対応し、通信速度は5GHz帯が最大4804Mbps、2.4GHz帯が最大1147Mbps。1.8GHzのクアッドコアCPUを搭載し、Wi-Fi 6によりデータ転送の効率化が図られ、最大8台の機器に同時転送が可能。ストリーミング時でも滞ることなく、従来のWi-Fi 5より最大4倍のパフォーマンスを発揮する。無線LAN中継機としては、かなりのハイスペックな部類だ。
外観はほぼルーターで、サイズは279 × 197 × 106 mmと中継機としては大きめ。ただ、外部アンテナはなく4×4アンテナが内蔵されているので、ハイエンドルーター製品のようなアンテナが何本もそそり立つという威圧感はない。
また一般的なルーターと同様、有線LANポートが4つ備わっており、テレビなどで4Kストリーミング動画を見るときは有線LANポートを活用すると、より安定して視聴できるだろう。
接続するルーターがWi-Fi 6対応なら、こうした高速化された恩恵を享受できるが、もちろんWi-Fi 5の機器であっても利用できる。そのため、とりあえず本製品を導入して電波の届く範囲を広げつつ、新製品などの様子をみて改めてルーターを導入するという選択肢も可能だ。本製品がルーターを選ばないという利点がここで活かされるのだ。
ルーターから離れた部屋は果たして改善されるか
さっそく、筆者宅の環境で本製品を設置してみて使い勝手を検証してみた。今回は、他社製のルーターでも利用可能ということで、あえて違うメーカーのWi-Fi 6対応ルーターを設置して、本製品を接続している。
筆者宅は2階建ての軽量鉄骨二世帯住宅。柱はもちろん壁内にも金属が使われており、木造住宅よりは電波を通しにくい構造となっている。ルーターは2階の納戸に設置。中継機となる本製品は、1階のキッチンに設置した。
本製品をルーターへ接続するには、3つの方法がある。1つ目はルーターと本製品のWPSボタンを押して、自動的に5GHz帯のSSIDと2.4GHz帯のSSIDを認識して設定する方法。2つ目が、PCやスマホのブラウザーでアクセスしてSSIDを指定する方法。そして3つ目が「Nighthawk」アプリを利用してセットアップする方法だ。
1つ目の方法は、本体のWPSボタンを押したあと、ルーター側のWPSボタンを押すだけで設定が完了するため、非常に簡単だ。注意点としては、同様の操作を2度行なうところ。最初が2.4GHz帯、2回目が5GHz帯の接続設定となるためだ。本体にそれぞれの周波数帯のLEDランプが点灯していれば、ちゃんと認識されたことになるので実行後に確認しよう。
2つ目の方法は、ブラウザーで指定されたURLを入力して中継機へアクセスして設定するため、ボタンを押すだけに比べれば少々面倒ではあるが、こちらのほうが、個々にSSIDを指定できるので、たとえば複数のSSIDで運用している場合はこちらがオススメ。
そしてスマホで設定するなら3つ目の「Nighthawk」アプリをインストールして行なうほうが断然ラク。今回はこの方法で設定した。
「Nighthawk」アプリは、中継機の設定のほか、接続されている機器の状態、複数中継機を利用していれば、それぞれの状態などが確認できる。最初のうちは、接続している機器がどういう状態なのか確認するのに利用するといいだろう。
中継機の設置場所は、先述のとおり1階のキッチンにしたが、これはちょうどルーターの斜め下に位置していて電波強度の落ちも少ない場所であり、ルーターから一番遠い奥の部屋に十分な強度の電波を届けられるためだ。
本体には、中継機として設置場所が適しているか否かを示す「ルーターリンクLED」が用意されていて、白色なら良好、オレンジ色なら普通、赤色だと悪い、と目で確認できるようになっている。こうした機能は、ほかのメッシュWi-Fi製品だとアプリで確認するものが多いため、設置する際は意外と面倒だったりする。本体だけで設置場所を認識できるので非常に便利だ。
ちなみに、筆者宅の場合は白色に表示され良好な場所であった。
本製品がありとなしで、どの程度の違いが出るのか、ルーターから一番離れた1階の奥の部屋で検証してみた。検証に利用したのはiPhone 12 Pro。「Speedtest」アプリを利用して上り下りの速度差を調べている。また、Netflixが提供するfast.comを使っての速度もあわせて検証している。利用している回線はフレッツ光ネクスト(1Gbps)だ。
なお、通信環境、時間帯やサーバーの混み具合によって速度が変わることをあらかじめ承知しておいてほしい。
結果としては、上りも下りもしっかり改善されている。通信回線はルーターの有線LAN接続で計測すると、だいたい下りが400Mbps、上りが600Mbps出るが、いちばん離れている部屋でも上りで90Mbbpsが出るのは素晴らしい。もともとのルーターがハイスペック仕様で、電波強度も高かったため、あまり効果はないかと思っていたが、上りも下りも概ね30Mbps近く引き上げている結果には大満足だ。やはり、戸建てや広いマンションでは、中継機を導入することで、より広い範囲で通信速度の向上が図れるため、メッシュWi-Fi化したほうがベターと言えるだろう。
末永く使えて簡単にメッシュWi-Fi化できるアイテム
「EAX80」は、直販価格で2万5667円。決してお安いとはいい難いが、性能的には最新ハイスペックルータークラスだし、ルーターから離れた部屋の通信環境を確実に改善させ今後も末永く利用できる製品だと考えれば即購入していいレベル。現在の環境でルーターを買い換えるよりもまず本製品を導入して、離れた部屋の通信環境を改善させるほうが先決。そのうえで、ルーターも最新のものに買い換えれば、本製品がより活かされるはずだ。
最近都心では10Gbpsの通信回線が利用できるようになり、高性能のWi-Fi環境が必要なはず。本製品ならそういった需要にもしっかり応えてくれ、メーカー縛りのメッシュWi-Fi化からも開放してくれるので、メッシュWi-Fi化を検討しているなら本製品を第一候補に検討してほしい。
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