折りたたみスマートフォンはサムスン電子、モトローラ、Royoleが2020年に新型モデルを投入しました。シャオミやOPPOも開発中とされており、2021年はさらに数が増えるかもしれません。しかし、無名なメーカーから突如折りたたみスマートフォンが登場したのです。もちろんそれは中国から。高級スマートフォンを手掛けるKretaから「V11V」が発表されています。
Kretaは2017年から高級スマートフォンを中国で販売しています。イギリスブランドとアピールしていますが、実際のところは中国のみで製品を展開、中国で製品が作られています。とはいえ、本体は本革を貼り付けた本物・高級志向の製品であり、本気で作られた高品質なスマートフォンを出してきました。2020年10月に発売された「M7」は7.2型ディスプレーにチップセットはMediaTekのHelio P70を搭載、カメラは3600万画素+600万画素+30万画素という構成ながら、子牛の本革仕上げで価格は9999元(約16万円)もします。
V11Vもただの折りたたみスマートフォンではなく、やはり背面は本革仕上げ。さらに畳んだ時に端に並ぶ4つのカメラの下には24金のロゴプレートも貼り付けられています。
V11Vの価格は19999元(約32万円)。高級仕上げのスマートフォンならではの価格でしょうか。しかし、高級仕上げの折りたたみスマートフォンの価格としてはそれほど高いものではないかもしれません。サムスンのブランドコラボモデル、Galaxy Z Fold2のThom Browneバージョンは3299ドル、約34万円ですからそれと変わらないのです。
ほとんど海外では知られていないKretaが、いきなり折りたたみスマートフォンを出すとは不思議ですよね。Kretaはこれまで数モデルしかスマートフォンを出していません。折りたたみディスプレーの扱いに長けているとは思えません。
V11Vの主なスペックはチップセットがSnapdragon 865、ディスプレーは7.8型(1920x1440ドット)、たたんだ時は5.5型+5.4型となります。カメラは6400万画素+3200万画素+1600万画素+800万画素、バッテリーは4450mAh。本体サイズは約133.8×186.2×6.3mmです。そしてディスプレーは山折り式です。
このスタイルのスマートフォンを出しているのはファーウェイとRoyoleのみ。よく見ると、カメラの並びなどはRoyoleが9月に発表した「FlexPai 2」によく似ています。では同じアングルから見てみましょう。
両者、まったく同じですね。つまり、V11VはFlexPai 2をベースに本体に革を貼り付けたモデルということなのでしょう。なお、FlexPai 2はカメラの下にタッチパネルセンサーが搭載されていますが、V11Vはその部分が革に覆われ隠されています。もしかするとタッチセンサーの感度があまりよくなく、V11Vは機能をなくしているのかもしれません。
Royoleは初代の折りたたみスマートフォン「FlexPai」の販売が好調だったとは言えず、1年後に後継機としてFlexPai 2を出したものの、まだまだ知られていないメーカーだけに販売先の拡大には苦労していると考えられます。折りたたみスマートフォンは価格に敏感な層はターゲットではなく、むしろ高価格でも買ってくれるユーザーが大半でしょう。そこであえて高級スマートフォンを展開するKretaとコラボして革張りモデルを出したと考えられます。
今のところRoyoleもKretaもスマートフォンの販売は中国国内に限定されているようです。新型コロナウィルスの影響でまだしばらく中国へ渡航できないだけに、KretaのV11Vを実際に見ることは難しいでしょう。情報が自由に入手できる今の時代にもかかわらず、V11Vは「幻のスマートフォン」なのです。実機に触れたことのある人は、世界中探してもわずかしか存在しない製品になりそうです。
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