減量の厳しさを知る? 斎藤社長
学生時代にボクシングをしていた齋藤社長は、減量の厳しさを知っている。「従来モデルから、64gの減量は、重量にするとネクタイと同じくらい。ライフスタイルのトレンドにあわせて、LIFEBOOK UH-X/E3も脱ネクタイを果たしたといえる」としながら、「総重量の約1割近くの軽量化であり、ボクシングに例えると、1割減量しながら、世界チャンピオンを取るのと同じ。10%の減量は、非常に苦しいものがある」と語る。
そして、齋藤社長はエンジニア出身だ。1995年に発売したノートPCの初代BIBLOは斎藤社長がリーダーとして開発したものである。その経験から、開発陣に高い評価をする一方で、厳しい見方も忘れない。
「富士通は、過去にも世界一や世界初といった製品を数多く投入してきた。しかし、それらを振り返ってみると、そのときには話題を集めていたり、新たな方向性を打ち出したりしていても、その後の大きなトレンドになったものが、一体どれぐらいあるのかというと、反省すべき点がある。本質的なところを捉えると、それらが、ユーザーがほしいというものになっていたのだろうか」と、自問自答する。
FCCLは、ここ数年、「人に寄り添うパソコン」を開発することを命題に掲げてきた。 コロナ禍においては、その姿勢がさらに強くなったという。
齋藤社長は、「これまで、誰よりも、人を想うパソコンづくりに挑んできたという自負がある」と前置きしながら、「いま、人を取り囲む環境に変化が生まれてきている。新しい日常が始まり、多くの人にとって、パソコンは生活の中心に位置する存在へと変化してきた。新しい日常で人が求めているのは、新しい、自分らしい暮らしである。FMVはひとりひとりの新しい生活を快適に、ワクワクしてもらえる新時代のパソコンであるNew Normal PCを作ることにした。これは、お客様の声を反映し続けてきたFMVだからこそ、作ることができるパソコンである」と語る。
New Normal PCの開発で大切にしたのは、ひとつひとつのスペックや機能の強化ではないという。
「使う人の生活や、使い方に寄り添えたものになっているか。この点を徹底的に追求した。」と、斎藤社長は語る。
「スペックや機能だけで選んでもらうのではなく、自分がどんな風に暮らしたいか、どのように楽しもうかを想像してもらえるパソコンを提供したい。New Normal PCによって、誰もが自分にぴったりの1台と簡単に出会えるようになり、より自分らしい生き方を叶えていける未来を実現する。生き方で選べるのが、New FMV。ニューノーマライフを生きる人たちの想いに応えたい」

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