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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第693回

2020年前半を今年発売のカメラで撮影した猫たちで振り返る

2020年12月21日 10時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家 編集●ASCII

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新緑に浸食されつつある狭い通路の真ん中にちょこんと座ってたハチワレ。このうっそうの奥には何があるのか、猫に聞いてみないとわからない。2020年5月 富士フイルム X-T4

2020年もまもなく終わり!
今年印象に残ったカメラはどれ?

 さて2020年も終わりってことで、恒例の新作デジタル一眼で撮った猫で一年を振り返るの巻。

 今年は春先に新型コロナ禍で新作カメラが一堂に会する大型カメライベント「cp+」が中止になり、緊急事態宣言も出て、有力なカメラが続々登場したのは夏から秋となったのだった。

 そこで前編は1月から8月に登場したカメラだ。最初に出たのがニコンの「D780」。1月発売だ。今年出た数少ない「一眼レフ」の一つ。フルサイズセンサー搭載一眼レフでは唯一の存在となった。

東京都北区のとある神社でフッサフサの長毛猫と出会う。もふもふして暖かそうなのだけど警戒されたのでちょっと遠くから。2020年1月 Nikon D780

 2月に登場したのがオリンパスの「E-M1 Mark III」。主力モデルの3代目でグッとレベルアップしてきたが、夏以降に続々出てきたフルサイズミラーレス一眼の影に隠れた感があって残念。これはとある取材で群馬県へ行ったときに出会った猫。道路より一段高い土地のコンクリートの蓋の上にちょこんと座ってて、いい感じに見下ろされてたのだった。

冬に似合う長毛の黒猫。黄色い目がカッコいい、というか黄色い目のおかげでキリッとした写真になった。サクサクと気持ちよく撮れるカメラであった。2020年2月 オリンパス OM-D E-M1 MarkIII

 緊急事態宣言真っ只中に発売されたのが富士フイルムの「X-T4」。とうとうボディー内手ぶれ補正を搭載した。これは個人的にも気に入って買っちゃったので、3枚ほど引っ張り出してみた。2月に続いて4月も黒猫。緊急事態宣言の中、御近所散歩でも極めるかと歩いてて出会った猫。人懐こくて、何度か遊んでもらった。でも夏以降、出会えてない。元気でいるといいなあと思う。

道路より一段低い土地で鳴いていた黒猫。近所でも有名なのか、カメラを構えていると「クロちゃんがいるの?」と話かけられたりした。鳴いたタイミングを見計らって。2020年4月 富士フイルム X-T4

 5月は冒頭写真のハチワレ。うっそうと茂った緑の中にちょこんと座ってて、この奥深い森の奥に古びた洋館があり、そこの主人の愛猫でこうしていつも帰りを待っているのであった……、って物語でも作れそうなんだけど、生憎そんな奥深い森なんてない住宅地なのだ。でもこの奥に家がありそうでちょっと不思議な空間だった。

 6月は路上のチャトラハチワレ。X-T4で搭載された「クラシックネガ」という、ちょっとレトロなネガフィルムのような風合いのフィルムシミュレーションがお気に入りで、それで撮ったカット。車が来ないのをいいことに、こちらも道路の真ん中でしゃがんで狙わせてもらった。

早朝ならではの爽やかな光が道路のわずかな日向部分を渡ってくれたおかげで、いい感じのコントラストに。クラシックネガのちょっと渋い色合いがまた似合うのだった。2020年6月。富士フイルム X-T4

 7月には2020年最大の大物が登場した。キヤノンの「EOS R5」である。2020年の各賞総なめ(たぶん)な名機で、特に強力なボディー内手ぶれ補正(キヤノンでは初のボディー内手ぶれ補正なのにあの強力さ)に、強力な猫AFを搭載してきたのだ。

車の屋根の上で昼寝してた茶トラ。気持ちよさそうだったのでそっと撮影。猫AFが賢くて撮ってて楽しかった記憶がある。2020年7月。キヤノン EOS R5

 これはびっくり。とにかくAFが賢いのが印象的だった。

 8月には1ヵ月遅れてEOS R5の弟分になる「EOS R6」が発売される。弟分ではあるのだけど、特に高画素が必要じゃないのなら、こっちの方が価格も(いくらか)手頃で良いと思う。どちらかが欲しいかと言われたら、わたしはR6の方かも。ただ、R5もR6も生産が追いつかなくて年末まで品不足なのだった。

背中を向けていたキジシロがふと何かを目で追って顔を少しこちらに向けてくれた瞬間。猫AFが優秀なのでタイミングを逃さないのがうれしい。2020年8月 キヤノン EOS R6

 8月編としてもう1台取り上げて前編は終わりにしたい。

 パナソニックの「LUMIX G100」。動画ユーザーを念頭においたマイクロフォーサーズ機。ボディー内手振れ補正がないのが残念だけど、小さくて軽くて可愛いのだ。

暑い夏、駐車場の片隅でくつろいでたのを遠くから望遠で狙ってみた。軽い望遠ズームと組み合わせるとこういうカットもさっと撮れて良い。2020年8月 パナソニック LUMIX DC-G100

 高性能で高画質だけどちょいと大きい(特にレンズがデカくなっちゃう)フルサイズ一眼に対し、いつでも気軽に持ち出せてさっと撮れる機動力とコストパフォーマンスのマイクロフォーサーズって感じで、小さくて軽いG100は魅力的。軽い散歩でもさっと持っていけるのがいいのだ。

 というわけで、市場が小さくなったところに新型コロナ禍で「カメラを持って出かける」機会が奪われたこともあり、カメラ的にはツラい1年であったなあと嘆きつつ、次回は後編をお届けします。

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筆者紹介─荻窪圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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