今回は、膝猫特集である。
先日、いつものようにカメラを持って「保護猫シェルター QUEUE」へ遊びに行ったのはいいが、床にあぐらをかいて座ったら、「みことちゃん」がとことことやってきて、ちょこんと座ってくださいやがりまして。
まったく動かないのである。店長さんいわく、「たまにそういう気分のときがあるんですよ」。この日は、たまたま誰かの膝に乗りたかったらしい。普段はつれないのだけどね。
まあしょうがない、気が済むまで乗せといてやるかと思ったのだが、動く気配がないので膝猫を撮って遊ぶことにしたのだ。手にしたソニー「α7C II」のモニタを開き、背面側からぐわしっとつかんでレンズを猫に向ける。
このときのコツは「親指」。α7C IIのような上面がフラットでコンパクトなカメラは、このように親指をシャッターに乗せるようにつかむと猫自撮りしやすいのである。こういうとき、軽いレンズはありがたい。
フォーカスは「猫AFさんよろしく」である。優秀な視力をお持ちの方なら、画面を見ながらどこにピントを合わせてるか確認できるけど、私の視力だとちょっと無理なのでカメラ任せ。視力に自信がなければ、文明に頼れ、である。
そして、あぐらをかいた足の中にいい感じで埋もれて気持ちよさそうにしてる写真を撮れたのであった。
冒頭写真は、左手で撮ったもの。こんなふうに無理やり持って親指シャッターである。
ただまあ、手持ちのスマホのインカメラが優秀なら、それで撮るのが一番簡単だ。画面見ながら撮れるしね。シャッターも側面の音量ボタンなりなんなりを押すようにすれば、ぎゅっと握って撮れる(そこは機種によっていろいろだ)。
「iPhone 15 Pro Max」のインカメラを使い、「ポートレートモード」で撮ったら背景もいい感じにぼけてくれた。
結局、30分以上、私の足が痺れるまで寝ておりました。
と、これだけでは締まらないので、昔撮った膝猫写真を引っ張り出してみた。
古いところでは2018年、広島・鞆の浦での膝猫写真。なんと猫が2匹も乗ってしまったので膝が見えないという……。膝が見えないから膝に乗ってるかどうかわからないけど、乗ってるのである。
回転させたモニタを見ながら、真上から撮影。
もうちょっと膝猫っぽい写真が欲しいよねってことで、少し後ろ側から。下半身を動かさないように気をつけつつ、体を捻りつつ後ろに倒して、アクロバティックな体勢での撮影に挑戦だ。
カメラの正しい構え方、というものはちゃんと存在するのだが、相手が猫のときは「正しさ」なんてどうでもよくなるのだ。
次の写真は、うちのかふか。晩年はよく膝に乗ってきてくれたのだが、このときはたまたま、キヤノン「EOS R6」と「RF16mm F2.8 STM」という超広角レンズが近くにあったのだ。超広角レンズがあると、膝猫ならではの「近さ」を表現できて面白い。
そしてまあ、最終的に強いのがスマホ。
次の膝猫は、スマホのアウトカメラで撮ったもの。モニタを見ないで撮ることになるので「勘と経験」が大事だけど、そこは角度をちょっとずつ変えながら何枚も撮るべし。
そして、今回の原稿のために古い膝猫写真を探してて気づいた。みことちゃんが膝に乗っかって寝ちゃうのって、今回が初めてじゃなかったわ。すっかり忘れてた。
3年前、足を伸ばして座ってたらいきなり乗ってきて、両足の間で寝ちゃったのである。写真を見返したら、同じ猫だったのだ。
いやはや、あのときと同じ猫だったとは。
ともあれ、猫は膝に乗せるものではなく、猫が勝手に膝に乗ってくる、というのが正しい。無理に乗せようと思わず、乗ってきたら感謝しつつ撫でてやったり、そのまま人間猫ベッドとして付き合ってあげたりしつつ、それに飽きたらあれこれ工夫して猫自撮りに挑戦するというものである。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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