武闘派スバル女子が「WRX S4 STI」の2モデルを乗り比べ! 軍配はどちらに!?
2020年12月12日 12時00分更新
STIがチューニングした
STI Sportの完成形
続いてWRX S4 STI Sports#をチェック。STI Sports#は、STI SportsをベースにSUBARUの完全子会社で、レース参戦のほか一般車用のパーツ開発、そしてコンプリートカーの開発をメインとする組織である「スバルテクニカインターナショナル(STI)」が開発したコンプリートカー。従来、同社のコンプリートカーは「意のままに操る楽しさを徹底的に追及」というスタイルで、ベース車両と異なる味付けをする場合が多くありました。それゆえに「S209」といった名前が付けられることが通例となっています。
ですが、今回はSTI Sport本来のコンセプトを守りながら、STIのテクノロジーを投入し、より研ぎ澄ました「STI Sportの完成形」を目指したというもの。それゆえ音楽記号で半音を上げる意味の「#」が付けられたのだとか。
専用色として、セラミックホワイトが与えられた本機。WRX S4 STI Sport EyeSightと並べると、白さが際立ちます。外観を見回すと、フロントグリルはダークグレーシリカ塗装となったほか、艶ありブラックのSTI製大型フロントアンダースポイラーと搭載。サイドに目を向けると、アルミホイールが艶ありブラック塗装の専用品に。リアに目を向けると、リアバンパーにエアアウトレットが装備されています。
ボディーにもチューニングが。具体的には「フレキシブルタワーバーフロント」「フレキシブルドロースティフナーフロント」「フレキシブルドロースティフナーリヤ」という3点の補強パーツが搭載されています。似たパーツはWRX S4 STI Sport EyeSightのSTIスポーツパーツとして販売されていますが、フレキシブルタワーバーはWRX S4 STI Sport ♯専用開発品。フレキシブルドロースティフナーリヤは、STI国内コンプリートカー初採用なのだとか。
すべて「フレキシブル」というのがポイントで、モータースポーツの分野で得た知見の賜物なのだとか。車体の遊びを取り除き、車体全体に伝わる力の流れをスムーズにすることで、ステアリングを切ってから横Gが発生するまでの時間を10%低減、ロールスピードも4%低減に成功しているとのこと。
吸排気系のチューニングとして、通気抵抗を低減したエアクリーナーエレメントとマフラーを採用。加速中のエンジントルクを最大で約10%の向上をはたしたそうです。他にCVTオイルクーラーを搭載。サーキット走行など高負荷時はもちろんのこと、普段の走行でもミッションの保護に役立つはずです。
室内はハンドルをはじめとして、各所にブラックスエード素材を配しスポーツ度がアップ。ステアリングホイールにもスエード材が用いられています。スエード材は人によって好き嫌いが分かれますが、今泉さんは「握りやすくて好きです」と好感を抱いたようです。こうしたスポーツグレードの多くは、赤いパーツを配することが多いですが、WRX S4 STI Sport ♯は黒に統一。「ボルドーもいいですが、こちらもシックでいいですね」と今泉さん。
試乗後の感想を一言で「コレ欲しい!」と今泉さん。「全然違うんですよ。ステアリングや乗り味にシッカリ感が増した印象です。ノーマルモデルより硬質感は増しているのですが、直進安定性が増したほか、ステアリング応答が明らかによくなっていますね」
「それに加速感も異なります。ノーマルよりもパワフルで、重戦車が発進したというのでしょうか。グワッと来るんですね。だからとても楽しいんです。S#モードもいいですが、Sモードで走ると滑らかさと力強さのバランスがとてもイイですね」と、吸排気チューンの効果を体感した様子。
「それに室内がちょっと静かになったような気がします」とのこと。後日調べてみるとフロアーに採用している遮音材が増しているようで、STI Sportと比較して、ロードノイズ(200Hz)を前席-0.6dB、後席-0.5dBと低減しているようです。
【まとめ】限定車にハズレなし!
売り切れる前に即買うべし!
「ホント欲しいですね。買うなら絶対にSport ♯ですね」と今泉さん。でも、残念ながら500台限定で、先行予約の段階で完売。「WRX STI EJ20 Final Edition」もしかりですが、SUBARUの限定車は即完売する傾向があります。即完売の話を聞いて「世の中、お金を持っている人が多いなぁ」「500万円近い買い物を試乗せずに購入するのって、どこか信用取引みたいで怖いなぁ」と思うのが正直なところ。そして「こんなに人気なら受注台数を増やせばいいのに」とも思わずにはいられません。さらに申し上げるなら「こんなにイイのだから、最初からWRX S4 STI Sport ♯をレギュラーモデルとして出してほしい」とも。
そんな文句の1つも言いたくなるほど、WRX S4 STI Sport ♯はイイクルマ。返却がてら帰りの車内で編集のスピーディー末岡氏は「コレを買えた人は幸せだよね。こういうクルマが買える身になりたい」とボヤいていました。
今後も、定期的にSTI Sport #限定車が出てくるでしょう。絶対にハズさないクルマ、といえそうですので、希望される方は安心してディーラーへお尋ねください。私も機会があれば、尋ねたいと思います。
そして残念ながら手に入れられなくても、STIから似たようなパーツが出ている模様。これらを取り付ければ、走りの面では近づくことができそうですよ。
この連載の記事
-
第483回
自動車
【ミニバン売れ筋対決】ホンダ「フリード」とトヨタ「シエンタ」の良いところと微妙なところ -
第482回
自動車
これがBMWの未来! フラッグシップEVの「iX」は乗り心地良すぎで動くファーストクラス -
第481回
自動車
アルファ・ロメオのハイブリッドSUV「トナーレ」はキビキビ走って良い意味で「らしく」ない -
第480回
自動車
独特なデザインが目立つルノーのクーペSUV「アルカナ E-TECH エンジニアード」はアイドルも納得の走り -
第479回
自動車
レクサスのエントリーSUV「LBX」は細部の徹底作り込みで高級ブランドの世界観を体現した -
第478回
自動車
レクサスの高級オープン「LC500 コンバーチブル」は快適さのその先を教えてくれる -
第477回
自動車
BMWの都市型SUV「X4」は直6エンジンならではのパワフルな走りがキモチイイ! -
第476回
自動車
最新のマツダ「ロードスター」は乗った誰もが乗り換えを検討するレベルのデキの良さ -
第475回
自動車
EV=無個性ではない! BMWのEV「iX3」は剛性ボディーが魅力のミドルサイズSUV -
第474回
自動車
ルノーのコンパクトカー「ルーテシア E-TECH エンジニアード」は軽量でパワフルでスポーティー! -
第473回
自動車
ホンダの大人気ミニバン「FREED」に乗ってわかった5つの良くなったポイント - この連載の一覧へ