従量課金/サブスクリプション型、「クラウドライクな利用体験」を全ポートフォリオに展開
すべてを“as-a-Service”で提供、Dell Technologies「Project APEX」発表
2020年10月26日 07時00分更新
Dell Technologiesは2020年10月21日、データセンターからエッジ、PCまで、同社のあらゆる製品/ソリューションポートフォリオを「as-a-Service」モデルで提供する新たな取り組み「Project APEX(プロジェクト エイペックス)」を発表した。従量課金/サブスクリプション型の支払いに加え、フルマネージドの導入/運用、単一コンソールからのシンプルな使い勝手といったクラウドライクな利用体験を、オンプレミスのソリューションにももたらすもの。
まずは来年(2021年)前半に管理コンソール「Dell Technologies Cloud Console」と“Storage-as-a-Service”の提供からスタートし、その後“Compute-as-a-Service”“PC-as-a-Service”“VDI-as-a-Service”“SAP-as-a-Service”などにも展開を拡大していく予定だ。
as-a-Serviceモデルへの強い顧客デマンドに対応、「一貫性のある体験」目指す
昨年(2019年)11月に開催された「Dell Technologies Summit」において、同社は従量課金型の調達モデル「Dell Technologies on Demand」を発表していた。今回発表されたPeoject APEXは、この柔軟な消費モデルを継承しつつ、フルマネージドのITインフラとターンキーソリューションの提供、セルフサービスプロビジョニングといった要素も追加することで、一貫性のある“クラウドライクな顧客体験”の実現を目指すものと位置づけられる。
同社副会長兼COOのジェフ・クラーク氏は、同日の「Dell Technologies World」基調講演において、すでに「2000社がDell Technologies on Demandを利用し、前年比30%増となる13億ドルの売上がある」と説明。as-a-Serviceモデルに対する顧客ニーズの高さを強調した。
「ただし、これは驚くことではない。IDCの予測では、2024年までに75%のエッジインフラ、50%以上のデータセンターインフラが、as-a-Serviceモデルで消費されることになる。われわれの将来はこうした方向に進むのだ」(クラーク氏)
統合コンソールや“Storage-as-a-Service”など、4つの新発表
Project APEXに関して、今回は4つの発表が行われた。いずれも2021年前半に一般提供開始となる。
まずは顧客企業がITリソース/ソリューションの調達や管理を行うWebコンソール「Dell Technologies Cloud Console」だ。同日よりパブリックプレビューを開始している。
このコンソールは、顧客企業のas-a-Service全体、クラウド全体を統合管理するものと位置づけられている。具体的には、数クリックで調達が可能な「マーケットプレイス」「オーダー」の機能、「モニタリング」「システムヘルス」といった監視機能、利用部門ごとなどの詳細分析も可能な「コストマネジメント」機能、ユーザー/ID管理機能などを備える。さらに、オンプレミスの「Dell Technologies Cloud」と各社パブリッククラウドによるハイブリッド/マルチクラウドの一元管理機能、「VMware Tanzu」によるKubernetesクラスタのプロビジョニング機能などもある。
Project APEXによるas-a-Service提供の第一弾としては、Storage-as-a-Serviceが予定されている。これは、顧客データセンター内にDell Technologiesが所有するかたちでストレージ機器を設置し、Dell Technologiesが管理するフルマネージドサービスとしてストレージを提供するもの。これにより、ストレージコストがすべてOPEX化される。
同サービスについて、記者説明会では「まさに“シンプルさ”が鍵」だと説明された。顧客側では、必要とするストレージの要件(ファイルかブロックか、容量、期間など)をコンソールから指定するだけで済む。それに応じて、Dell Technologies側で構成設計、展開、管理などをすべて行うかたちだ。顧客は利用したぶんだけを支払えばよく、需要に応じてスケールアップ/ダウンすることもできる。
「VMware Cloud Foundation(VCF)」を搭載したHCIを、マネージド型でオンプレミス導入できるDell Technologies Cloud Platformにおいては、新たに「インスタンス単位での購入」を可能にすることで、パブリッククラウドライクな利用モデルを実現する。オンプレミスへの初期導入は最短14日間、リソース追加は最短5日で可能。
こちらも顧客側では使い勝手がシンプル化されており、コンソールから必要なインスタンスタイプ(汎用、コンピュート強化型、メモリ強化型など)、インスタンス数、必要な期間(1年間/3年間)を選択するだけでよいという。なお、月額47ドルからのインスタンス利用料金には、ハードウェア、ソフトウェア、導入/管理サービスコストがすべて含まれる。
従来から提供してきた従量課金モデル「Flex on Demand」においては、新たに事前承認済み(事前構成済み)料金体系を設定した。標準的な構成のハードウェア/ソフトウェア/主要サービスについて、従量課金での価格を明示している。なお、これをベースに顧客要件に応じたカスタマイズを加えることも可能。
なおProject APEXでは、今後も同じ仕組みでさまざまな領域のターンキーソリューションをラインアップしていく方針だ。コンピューティングリソース(サーバー)やクライアントPCをはじめ、たとえばSAPソリューション環境(ハードウェア+ソフトウェア)をオンプレミスに提供するSAP-a-a-Sなどの計画があるという。