農林中央金庫と全国森林組合連合会が展開する「林業安全教育360VR」
VR活用した林業向け教材視聴レポート、11K映像で撮影した倒れる木の恐ろしさ
2020年10月20日 15時00分更新
実際に視聴もさせてもらったが、人の大きさ、木の大きさ、作業の様子もリアルに収録されており、木が倒れてくるシーンでは、「これが直撃したら、ただでは済まないな」と視聴者に思わせるに、十分なものだった。
さらに、現場の様子や、どこに事故の原因があったのか、どこに気をつけるべきだったのかを音声アナウンスで伝えてくれる。これまで、林業での事故に関する研修は座学が中心だったそうだが、VRを用いることで、従事者の危機管理意識が一層高まりそうだ。
今後はコンテンツ拡充も
2020年の8月に提供を開始した林業安全教育360VRだが、すでに全国の森林組合や、大学、専門学校、地方自治体など28の団体から申し込みがあり、好評を得ているそうだ。行政機関や学校教育機関にも貸出可能で、幅広い業種、団体で利用可能。この間口の広さも本サービスの特徴となっている。
1週間で2万8000円(税抜き、管理費/送料込み)、1日の追加につき2000円と、業務用のツールとしてはリーズナブルな価格も、多くの組合や団体に受け入れられている一因だろう。中には「継続して使いたいので販売してほしい」という要望もあったそうだ(レンタルのみの展開)。
また、現時点では他人伐倒のプログラムのみを提供しているが、今後は、メニューを拡充し、ほかのプログラムを追加することも検討しているという。現在提供されているプログラムの主目的は「安全教育」だが、視聴型のコンテンツは、短時間に視覚と聴覚で情報量を詰め込めるという特性があるため、さらにプログラムを増やせば、短時間で効率的な学習をするのにも役立ちそうだ。
「林業という第一次産業と、VRの組み合わせは、遠い世界に思われるかもしれませんが、今回実際にこのプログラムを開始してみて、すんなりとフィットすることがわかりました。今後も、若い世代の人たちや、将来、林業を担う世代の人たちの意見を取り入れながら、こうした取り組みを継続させていきたいと思っています」(農林中央金庫 森 太一さん)