熱は対策を練る必要がある
比較的小型なケース、および気になる空冷CPUクーラーなどへの熱の影響を見ていく。TUF-RTX3080/3090シリーズは、数少ない小型ケースにも実装しやすく、この手の情報はあったほうがいいと判断して計測した。
計測はソフト読みとサーミスタを採用。使用アプリケーションはHWiNFO64。また本体側の設定はPerformance Mode/OC Mode。後述の通り、デフォルト設定を採用した。電源プランは高パフォーマンス。もっぱらバランスでの運用が多いと思われるが、限界値がわかった方がいいだろうということで、高パフォーマンスにした。
結論としては、高温になってしまうのだが、ケース内の吸排気がしっかりしていれば解決は可能で、25mm厚の排気ファンが望ましい。バックプレートからも激しく放熱する関係上、マザーボードのレイアウトによっては、M.2ストレージの温度上昇が気になる可能性があり、簡易水冷の場合でもケース内エアフローがしっかりしていないと、システム全体の温度上昇に至るのは、RTX20時代と変わらない。
素直にミドルタワー以上のPCケースで、簡易水冷にしておけばいいのだが、小型ケース派の皆さまにおかれましては、CPUのTDPを下げてみたり、GPUのクロックを許せる範囲で下げてみたりなどなど、楽しめる要素が増えることと思う。
以下が温度傾向の図とグラフだ。OCCT 3Dプリセットを30分間実行してみたときの各部温度だ。CPU使用率は5%ほどであり、温度上昇の要素はビデオカードのみに近い状況にできている。
GPUを重点的に使う処理の場合、CPU側への影響はそれほど気にならないレベルで、どちらかといえば、M.2ストレージの温度上昇がやや高め。ROG Crosshair VIII Impactはドーターカードの上下にM.2ストレージを接続する仕様であり、ビデオカードに近いKIOXIA EXCERIA PLUS SSDの温度上昇が目立つ形だ。
またATX規格のマザーボードではビデオカード付近にNVMeスロットがあるため、似た傾向になる可能性がある。
このとき、TUF-RTX3080-O10G-GAMINGのGPU温度は71~73度。処理としては、ヒートシンクと背面プレートでバランスよく熱を逃がしている。ベントも機能していると思われるが、背面プレート全体からの放熱のほうが気になるレベルだ。
4Kでのゲームを想定した場合はどうだろう? FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク ver1.3を30分間ループさせてみた。設定は以下スクリーンショットの通りだ。
グラフのようにCPUとGPUともに70度台に入る。念のため2時間ほど継続してみたが、グラフ後半の状況が続いていたため、騒音は別として小型PCケースの場合でもOKだ。
計測したTUF-RTX3080-O10G-GAMINGはオーバークロックモデルだが、TUF-RTX3080-10G-GAMINGのほうは定格クロックであるぶん、もう少し平和な温度上昇と思われる。
電源容量は850Wからが妥当
ほどよくNVIDA推奨電源容量750Wの電源Seasonic「FOCUS PX-750」を使用中であるため、消費電力もチェックした。
Seasonic FOCUS PX-750がちゃんと耐えるのか、OCCT v6.2.0 Powerプリセット8時間を実行したが、システム全体で540~570W間を推移し、シャットダウンすることなく完走している。またHWiNFO64で見ると、TUF-RTX3080-O10G-GAMINGの消費電力は353Wがピークだった。
念のため記しておくが、電源についてはある程度の余力があるほうがハードウェア的にも精神的にもいいため、850W~1000Wの電源がベターだ。また電源によっては750Wと容量記載があっても12Vラインが太くないケースもあれば、表記が時限ピーク性能のことであったりするので、いまいちど使用中の電源スペックを見直しておきたい。
Seasonic FOCUS PX-750の出力 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
電圧 | +3.3V | +5V | +12V | -12V | +5Vsb | |
電流 | 20A | 20A | 62A | 0.3A | 3A | |
電力 | 100W | 100W | 744W | 3.6W | 15W | |
定格電力 | 750W |
上記がSeasonic FOCUS PX-750のスペック。+12Vは744Wとなっている。負荷を考えると、やはり850~1000Wの電源にして余裕を持たせたくなる。