社内変革、事業継続性、従業員体験、コロナウイルス対応にどう貢献するのか
「G Suiteがなかったらと思うと、ゾッとする」 YKK AP、リクルートが事例を披露
2020年09月07日 10時00分更新
ツールの選定はコンセプトを比較すれば答えが出る
一方、リクルートホールディングスは、社内変革のためのツールとして、G Suiteを導入した事例について紹介した。
G Suiteを選定した背景として、リクルートホールディングス RHC ICT推進部 UX Expertの田中ライカ氏は、「優秀なエンジニアのパワーは、顧客向けの製品やサービスに使用されることが多く、社内の業務には使われない。その結果、社内業務は進化せず、外部サービスと格差が目立つようになっている。そこに課題があると感じている」と前置きし、「だが、G Suiteでは、アンケートのデータ集計などの定型業務から、AIを活用したデータ分析まで、エンジニアが不要で、本社スタッフでも利用できる機能が組み込まれている点を評価した」とする。
また、「ツールを選定する際には、単純な機能比較ではなく、ツールのコンセプトを比較すれば答えが出る。これがツールを社内に根づかせるためにも重要になる」として、コンセプトの観点からG Suiteを選択したことにも触れた。
さらに、導入においては、従業員体験を重視した取り組みを行ってきたことを説明。施策の背景やプロセスをユーザーに対してオープンにする「施策の透明性」、現状の仕様では不具合が発生していたり、新たなことに挑戦している人が壁にぶつかっていることをきちんとサポートする「困っている人およびポテンシャルのある人への対応」、ナレッジなどを何度も繰り返し伝えることで、情報の浸透を図る「有益な情報を何度も何度も伝える」、導入担当チームが実際の変化を見せたり、従業員に体感してもらうための「変わった先になにが待っているのかを見せる」という4点にこだわったという。
これらを実現するために、ITのロードマップを提示するとともに、新たなツールを導入する際には、希望者などを中心に少人数で利用しているα、強制力はないが社員全体で使ってみるβ、そして、会社で本格的に利用するGAという3段階を経て、導入を促したり、各部門に対して、よくある問い合わせに対しては、社内FAQチャットボットの設置を提案したり、毎週ITブログを配信したり、一日1Tipによる有効な使い方提案なども行なっているという。
「DXのような変化は、自分の仕事に対する脅威と捉えられることも少なくない。その理由や背景を知らされていなければさらに抵抗は激しくなる。G Suiteの導入においては、従業員一人ひとりに納得してもらうことで、抵抗を生まない変革を実現できた。使いこなして、効果を感じるように導入を図った」とする。
同社が、従業員を対象としたNPS(顧客ロイヤリティ指数)を集計したところ、G Suiteが根づく前の2019年には、マイナス39ポイントと評価されていなかった社内業務システムが、G Suiteが定着した2020年には、一転して、30.2%という高い評価が得られたという。
また、G Suiteの利用率を見ると、Gmailが82.9%、カレンダーが100%となっているほか、ドライブが81.7%、ドキュメントが70.9%、スプレッドシートが80%、スライドが74.9%とすべてが高い比率となった。
田中氏は、「ツールがすべてを解決してくれるわけではない。従業員が持つ課題感を解決する要件を整理し、それにあったツールを導入し、使いこなせるようになるまで支援することで、業務変革が実現できる。人と向き合う作業であるため、地道な取り組みになるが、強制的なツールの切り替えでは、従業員はついてこない。従業員に寄り添った施策を実施したことで、DXを根づかせることができた」と述べた。