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IT環境の複雑化で“スパゲッティ・モンスター”が誕生? 包括的なIT運用管理ソフト製品群を紹介

ソーラーウインズ、日本企業に「ITOM」の重要性をアピール

2020年09月03日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 IT運用管理ソフトウェア大手のソーラーウインズ(SolarWinds)が2020年9月1日、事業説明会を開催した。グローバルの技術担当で“Head Geek”を務めるサシャ・ギース氏と日本担当カントリーマネージャーの河村浩明氏が出席し、コロナ禍がIT運用管理業務に与えた影響を指摘するとともに、それに対応して日本企業の成長に貢献する製品戦略を語った。

ソーラーウインズは包括的なITOM(IT運用管理)ソフトウェア製品をラインアップしている

SolarWindwsの“Head Geek”であるサシャ・ギース(Sascha Giese)氏、日本担当カントリーマネージャーの河村浩明氏

現場のIT担当者が創業し、現場のITプロに寄り添って製品を開発する

 ソーラーウインズは、1999年創業のIT運用管理ソフトウェアベンダーだ。もともとは、大手小売チェーンのウォルマート(Walmart)でネットワーク監視を担当していた担当者らが中心となって立ち上げたという。「現場のITプロフェッショナルに寄り添い、サポートする製品を提供する」という企業姿勢は、創業時から変わらないと河村氏は説明する。

 「当時、ウォルマート社内で使っていたアプリケーションの動きが遅くなると、決まってネットワークのせいにされていた。それを不満に思ったネットワーク担当者は、ネットワークの状況がどうなっているのかを可視化し、本当の問題がどこにあるのかをわかるようにした」(河村氏)

 それがきっかけで生まれたのが、同社の主力製品のひとつである「Network Performance Monitor(NPM)」だ。ほかにも幅広い製品をそろえ、ネットワーク管理ソフトウェア領域では現在22%の市場シェアを持つ最大手となっている。その後、さらにシステム管理、ITセキュリティ、データベース管理、アプリケーション管理、ITヘルプデスクといった領域にも段階的に拡大しており、全体では55以上の製品をラインアップしている。ITシステム管理市場全体の市場シェアは3位だという。

 現在では「Fortune 500」企業の499社がソーラーウインズ製品を導入、また米国国防省の標準装備になるなど、顧客数はグローバルで34万社以上に及ぶ。「日本でも2000社以上に利用いただいている」と河村氏は語る。また、15万人のITプロが参加するユーザーコミュニティ「THWACK」があり、ユーザーからの率直なフィードバックを製品改善や新製品開発に生かしているのも自慢だ。

ソーラーウインズの企業概要。現在は世界に30拠点を展開し3400人の従業員を抱える。その製品は大企業から中堅中小企業まで幅広く利用されている

IT予算の削減とDX推進、ハイブリッド環境の複雑化――IT管理者の抱える課題

 新型コロナウイルスの感染拡大と経済状況の悪化、他方では“ニューノーマル”に対応するビジネスのデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進と、IT担当者のプレッシャーは大きなものになっている。各種市場調査によると、コロナ禍を受けて日本企業でも5~6%のIT予算減少が見込まれているが、その一方でDX推進のためのハイブリッドクラウド採用は進んでいる。ギース氏は、こうした矛盾した現状を次のように説明する。

 「イノベーションのための予算は確保しにくいが、コロナ禍においてはデジタル化を進めなければ業務を継続できない。また、サイバー攻撃は増えているが、セキュリティは依然としてきちんとした計画がなく“後回し”だ」(ギース氏)

国内IT市場の最新動向。コロナ禍と経済活動の停滞を受けてIT予算は減額傾向にあるが、他方でDXに向けた取り組みは急務とされている

 さらに、企業が利用する業務アプリケーションの数が年々増え、その問題解決が複雑化していることも、IT担当者の悩みの種だ。ギース氏が示したデータによると、IT担当部門では業務時間の29%をアプリケーションパフォーマンス関連の問題対応に費やしており、その問題解決コストは平均で年額250万ドル(2億6500万円)にもなるという。「この数字は『平均』なので、大規模な企業になればさらに多くのコストがかかっている」(ギース氏)。

 しかしアプリケーションのパフォーマンス劣化は、アプリケーションコードそのものの問題だけでなく、データベース、OS、ミドルウェア、サーバー、ストレージ、ネットワークといった幅広い要素が関係して発生する。複雑で、場合によっては担当者が分かれていることもあり、問題解決どころか原因の所在を突き止めることすら容易ではない。

 この状況をさらに難しくしているのが、IaaSやSaaSといったクラウドサービス利用の浸透だ。複数のIaaS、複数のSaaSを利用するマルチクラウド環境の企業も増えており、それらを相互に(さらにはオンプレミス環境とも)連携させて利用している環境下では、相互の関係が複雑にからみあった“スパゲッティ・モンスター”が誕生することになる、とギース氏は述べる。

ハイブリッド/マルチクラウド環境の連携が複雑化して“スパゲッティ・モンスター”が誕生する

6つのカテゴリで包括的なITOMを提供、Orionプラットフォームで連携

 こうした状況下では、包括的なIT運用管理=ITOM(IT Operation Management)のための技術と製品が必要になる。ソーラーウインズ製品は、アプリケーションパフォーマンス管理、データベース、ITシステム、ネットワーク、ITセキュリティ、ITサービス管理と、大きく6つのカテゴリを網羅している。

ネットワーク管理だけでなく、包括的なIT運用管理(ITOM)製品ポートフォリオを持つ

6カテゴリそれぞれで複数の製品をラインアップしており、一部SaaSも提供している

 たとえばアプリケーションパフォーマンス管理(APM)カテゴリで提供する「Server & Application Monitor(SAM)」では、あらかじめ用意されたテンプレートベースで幅広いアプリケーションのモニタリングが可能だ。「1200種類以上のテンプレートをすぐに利用でき、あらゆるアプリケーションに対応するカスタムテンプレートも構築できる。システム管理者は深い知識なしに、アプリケーションとサーバーの性能を監視できる」(ギース氏)。

 同じAPMカテゴリでは、SaaSとして「AppOptics」も提供する。150以上の統合機能やプラグインを利用して、AWSやAzureなどのパブリッククラウド、およびハイブリッドクラウド環境におけるアプリケーションパフォーマンスを管理し、問題があればすぐに根本原因の特定ができるという。

 データベース領域では、SQLクエリの性能監視機能を備える「Database Performance Analyzer」、NoSQLデータベース向けの「Database Performance Monitor」をラインアップする。

 ITシステム管理(コンピューティング/ストレージ/ログ管理)領域では、インフラの複雑化、次々と登場する技術、相互運用性、成長に伴う拡張性と容量管理など、課題は年々増加している。ここでは、仮想マシン監視、パフォーマンス管理などの機能を持つ「Virtualization Manager」を紹介した。これまでVMware、Hyper-Vのみに対応していたが、Azure、AWSなどのハイブリッド環境にも対応するという。

 ネットワーク管理では、フラッグシップ製品であるNetwork Performance Monitorのツールとして「NetPath」を紹介した。これはアプリケーションへのアクセス経路(パス)を、社内ネットワークだけでなくインターネットを含めてエンドツーエンドで可視化できる機能で、経路上のどこで大きな遅延や障害が発生しているのかが一目でわかる。これとネットワーク設定・構成管理自動化の「Network Configuration Manager」を組み合わせることで、ネットワーク問題の対応自動化を進めることもできると語る。

「NetPath」機能のデモ画面。「Office 365」にアクセスするネットワークパスを表示している。画面下にはタイムラインが表示されており、障害発生時(赤く表示される)にさかのぼって原因箇所を確認することも可能

 ITセキュリティ領域では、ITインフラ全体のアクセス権限を一括管理する「Access Rights Manager」などを提供する。「ファイアウォール、パケットインスペクションなどのソリューションよりも、ユーザー(アカウント)に起因するリスクの方が高い」とギース氏。誰が何にアクセスできるのか、権限を明確にすることが重要だと述べた。

 ITサービス領域では、「SolarWinds Service Desk」などのサービス管理、それに「Dameware Remote Control」などのリモートサポートと2種類のソリューションを提供する。「人事など、企業のバックグラウンドすべてをサポートしなければならないのがIT。プロセスの自動化により作業負荷を軽減できる」(ギース氏)。

 こうしたソーラーウインズ製品群の多くは、同社の「Orion(オライオン)」プラットフォームを利用して統合が可能だ。これにより、企業は自社で必要な製品だけを導入し、それらの“モジュール”をOrionで組み合わせて利用することができる。

 日本市場を統括する河村氏は、日本企業でリモートワークの体制が整っているところは2割に過ぎないというCNNの報道を指摘し、「コロナ禍で日本のITが遅れていることが露呈した」と述べる。「IT運用管理(ITOM)でも日本企業はまだまだやることが残っている」とし、コロナ禍が続く中で「運用管理の可視化や自動化ソリューションを通じて日本企業の進歩に貢献したい」と語った。

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