依然「日本ではまだ出ない新機能」も複数存在
これらの要素はアップルの新OS公開を待つ必要もなく、iOS 11以降の「マップ」を搭載したiPhoneやiPad、macOSでも使える。すなわち、「8月5日の朝から日本中で使える」状態にあるのだ。Look Aroudについては、東京の中心部と大阪、京都で利用可能で、その他の地域への拡大は今後となる。
Look Atround以外にも、海外ではすでに公開されているものの、日本では対応待ちの部分がある。
iOS 14やwatchOS 7では、「自転車対応のマップ検索」が可能になる。高低差や「自転車を降りて階段を移動」といった、自転車ならではの要素にちゃんと対応した機能だ。ただしこちらは、アメリカの一部都市と中国の一部都市などで公開されるが、日本を含む他の地域への展開は後日になる。
その土地のレストランや観光ガイドを表示する機能もあるが、これも日本語ではまだ対応していない。以前記事で解説したが、アップルは「実績のある出版社などと共同でガイドを提供」するポリシーを採っており、詳細なガイドコンテンツについても同じなのだが、日本ではまだパートナー名なども発表になっていない。
日本でも近々使えるようになるのが、「EV(電気自動車)を前提とした地図機能」だ。これはEVとiPhoneを連携して使うことを前提としているもの。EVから残りの電力と走れる距離を取得し、さらに標高差や経路による電力の消費まで加味して「どこで充電して移動すればいいのか」を、充電スポットの位置まで含めて提示してくれる。こちらは日本での展開に向けて準備が進んでいる。
EVとの連携が必須、という制約上、現状はBMWとフォードのEVにのみ対応している。日本ではBMW のEVだけが販売されているので、実質的に「iPhoneとBMWの組み合わせ」限定だ。
アップルの強化に他社はどう対抗するのか
グーグルにしろアップルにしろ、現在は、多角的な形で地図データを取得し、自分たちのテクノロジーで処理して最新の地図サービスとして提供する競争が行われている最中だ。アップルの地図サービス更新はその一環だ。
今回は機能としてまだ表に出てきていないが、土地の立体形状をスキャンして把握し、ARを使った地図サービスに活用する動きもある。
アップルのテコ入れに対し、「ディフェンディングチャンピオン」的な立場にいるグーグルはどのような手段に出るのか、これでさらに楽しみになってきた。日本ローカルの地図データ関連企業やヤフー、携帯電話事業者なども黙ってはいないだろう。