業務を変えるkintoneユーザー事例 第85回
リアランはkintoneを使って全社で情報共有、処理スピードを大幅アップ
社員12人で1万人のグループ会社に対応しなきゃいけなくなった件
2020年07月29日 09時00分更新
全社で情報共有できるようになったうえ、テレワークにも即対応
さて越智氏らの工夫や努力の結果、リアランはどう変わったのか。kintone導入により得られた効果は、大きかったようだ。導入後すぐに感じた効果は、社長の出張中にも案件を進められることだった。
「社長は出張が多く、社長自身が提案資料を提出した案件に関する問い合わせには、すぐに対応できないことが多かったんです。しかし案件情報ややり取り履歴がkintoneにあるので、社長自身でなくても誰でも問い合わせに対応できるようになりました。最近では社長不在のまま完結する案件も出てきています」(越智氏)
もっとも出張が多いのが社長だというだけで、他の社員にも同じことが言える。データの保管場所を決め、わかりやすくアプリで整理した結果、探す、人に聞くという行為が激減した。全案件の情報をみんなが共有しているので、担当者がいなくても処理スピードを落とさずに済み、会社としての信頼度は高まった。
また、データが集まったことで新しい角度から業務を分析できるようになった。受注頻度と見積金額から売上見込みを立てたり、一覧表を条件で絞り込むだけで営業会議に役立つ資料を作れるようになった。さらに、提案した製品を見込みリストに登録してもらうことで、生産管理部は今後どの製品がどれくらい売れる可能性があるのか数字で把握できるようになった。勘を頼るのではなく、数字という根拠に基づいて、営業技術部と生産管理部が部署をこえて連携できるようになったのだ。
「導入当初には予想していなかった効果もありました。新型コロナウイルスの感染拡大にともなって緊急事態宣言が出された際、愛媛の本社では10人中4名を、東京営業所では2名全員をテレワークに切り替えました。元々会社で使っていたPCがノートPCだったこと、クラウドであるkintoneに業務に必要なデータが保存されていたことから、テレワークでも支障をきたすことなく業務を進めることができました」(越智氏)
社員の半数をテレワークにしたことで、どうしても出社しなければならない社員も十分な間隔をもって仕事ができる環境を確保できた。クラウドを業務の柱として使うことによる、大きな効果と言えるだろう。
多くの効果を感じているというリアランのkintone導入だが、もちろんこれで終わった訳ではない。販売管理システムとの連携など、これから取り組んでいきたい課題もすでに見えてきている。これまでリアランになかったものを生み出すヒントを、kintoneがくれたと話す越智さん。今後も社員と一丸となって、チャレンジを続けていくことを期待したい。
この連載の記事
-
第254回
デジタル
日本エアコミューターは“ホームラン事例”で保守派を動かし、成田デンタルは“共感×人を動かす”で社内文化を変えた -
第253回
デジタル
洗脳アプリで基幹システム移行の下地を作ったワイドループ、ワイガヤで職人気質の匠を巻き込んだ北斗型枠製作所 -
第252回
デジタル
kintone AWARD 2024開催! 入り口はひとつ作戦の桜和設備と現場と二人三脚で伴走したLILE THE STYLE -
第251回
デジタル
これからは“攻めの情シス”で行こう! 上司の一言でkintone伴走支援班は突っ走れた -
第250回
デジタル
誰にも求められてなかった「サイボウズ Officeからの引っ越し」 でも設定変更ひとつで評価は一変した -
第249回
デジタル
3000人規模の東電EPのkintone導入 現場主導を貫くためには「危機感」「勇気」「目的」 -
第248回
デジタル
入社1年目の壁を乗り越えろ!新卒社員が踏み出したkintoneマスターへの道 -
第247回
デジタル
Zoomを使わず「全国行脚」 振り返ればこれがkintone浸透の鍵だった -
第246回
デジタル
kintoneで営業報告を5.5倍に 秘訣は「共感を得る仕組み」と「人を動かす仕掛け」 -
第245回
デジタル
限界、自分たちで決めてない? 老舗海苔屋が挑んだkintoneの基幹システム -
第244回
デジタル
予算はないけど効率化はできる 山豊工建がkintoneアプリ作成で心掛けたこと - この連載の一覧へ