広く高い室内とリアスライドドアが特徴の軽スーパーハイトワゴン。わが国でもっとも人気のジャンルで、各社力を入れた車種を投入しているのは誰もが知るところだ。そのレッドオーシャンに日産は今春、強力な1台「ルークス」(ROOX)を投入した。新型コロナの影響により取材するチャンスに恵まれなかったものの、外出自粛要請も開けて、ようやく触れる機会を得た。日産の軽自動車に対する本気、そしてその実力に触れてみたいと思う。
日産ルークス(写真・試乗はハイウェイスターX プロパイロットエディション2WD/車両本体価格184万3600円税込)。別途、メーカーオプション(8万8000円税込)、ディーラーオプション(31万2457円税込)搭載車
ファミリー使いだけでは勿体ない!
その昔、「デイズルークス」という名だった日産の軽スーパーハイトワゴン。今回は、デイズの名を取りルークスのみとなった。とはいえ、昨年デビューを飾った軽ワゴン「デイズ」をベースとしているのは想像に難くない。ラインアップはシンプルな「標準車」と、高機能で迫力ある外装を施した「カスタム」という、軽ワゴンの「お約束」とも言える2種類。ルークスの場合、カスタム仕様車は「ハイウェイスター」と名付けている。
軽スーパーハイトワゴンが人気なのは、軽自動車を「ファーストカー」としての所有率が増加しているところにある。購入するユーザーは「子育て世代」と子供が独立しミニバンのような大型車が不要となったダウンサイザーがメイン。「使い勝手のよいファミリーカーを突き詰めた結果、軽スーパーハイトワゴンがもっとも適している」のだろう。
室内を見ると「使い勝手の良さ」が随所に光る。特にリアのオートスライドドアを開けると、床がフルフラットな上に、サイドシルがほとんどないことに驚く。これはファミリーでこのクルマの乗る場合、後席に乗車するのは子供と老夫婦であることを想定した作りだから。要は「あまり脚を上げなくてもよい」「車内でスムースな移動ができる」という2点を突き詰めた結果だ。
スムースな乗降を助けるという意味では、スライドドアの開口部も650mmとクラス最大級の長さを確保している。これなら赤ちゃんをチャイルドシートに座らせる作業も容易だろう。そして天井も高いことから、小学生位の子供なら、立ったまま着替えることもできそうだ。
後席は広く高くフルフラットだけではない。なんと運転席および助手席の後ろに折りたたみ式のテーブルが設けられ、簡単な飲食やPC作業ができるほか、USBコネクターも用意。その上、両サイドにもドリンクホルダーを設けるという徹底ぶり。天井にはプラズマクラスター搭載シーリングファンまで用意されている。この後席、リモートワークにも活用できそうだ。
荷室は兄弟車であるデイズ同様、使い勝手がよい。後席背もたれを倒せば、フルフラットにはならないものの、自転車がラクに積載できるほどの容量は確保できる。ただ、この手のクルマの常として、リアゲートはかなり大型であるため、開く際は自車後方に結構なスペースが必要だ。同社セレナのような「デュアルバックドア」ならいいのに、と感じた。

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