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石川温のPCスマホニュース解説 第83回

携帯料金値下げには「新しい指標」必要 坂井元総務副大臣ら

2020年07月23日 09時00分更新

文● 石川温 編集● ASCII

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■「通信の世界は難しい」

 なぜ、国会議員がわざわざ勉強会を設定し、提言をまとめようと思ったのか。坂井議員はそのきっかけについて、「菅官房長官の料金引き下げに対する関心がとても高い。我々としてももっとできることがあるのではないか、と掘り下げていくことにした。端末と通信料金を分離したことで一定の引き下げ効果はあった。しかし、まだ高止まりしているのが現状。これまでとは違う視点での提言ができるのではないかと考えた」という。

坂井学衆院議員

 ただ、通信業界は複雑な構図となっている。キャリアは4社しかないが、キャリアショップを経営しているのは販売代理店がほとんどだ。日本のみならず、アメリカ、中国、韓国など、様々なメーカーが参入している。さらにMVNOは1000近い数、存在している。これまでの商慣習の歴史や法制度など、長年、この業界に携わっている人間でもすべてを理解するのは難しい。

 坂井議員は「本当に通信の世界は難しいの一言に尽きる。キャリアやメーカー、ショップ、総務省もそれぞれの立場で努力を続けてきた。単にあれがいい、これがいいといっても、そこには理由や背景、バックグラウンドが存在する。なかなか解決策が見えてこない」と語る。

 大串議員も「単にMNOとMVNOというグループ分けだけでは語れない。トヨタのようなMVNOも出てくるなど、MVNOも一括りにできなくなってきた。これまでは音声とデータだったが、これからはIoTや5Gなどが普及していくことで、データにも種類が出てくる。さらに一括りで話をしようとしても実情に追いつかなくなるのではないか。表面で見ている以上に複雑な世界だと実感した」という。

大串正樹衆院議員

 そんな2人がまとめた提言が以下の5つになる。

1.効果的な競争環境構築に資するMVNOやMNOサブブランドの参入促進

2.MVNOへのユーザーの移行を促す講習会等への支援の実施

3.データ通信が主流になる 5G を見据えた、MNOからMVNO への卸役務に市場メカニズムが機能する仕組みの導入

4.新しい客観的な競争評価指標の創設及びその指標を用いた第三者による競争分析・評価

5.音声通信、データ通信双方でのeSIM 普及の推進

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