車載カーナビの代わりに、スマホナビを使って運転するドライバーが増えているのはご存じのとおり。だが使ってみると、スマホの画面の小ささゆえに不満を覚えることも……。だったら画面サイズの大きなタブレットを取り付けようと思うと、アームの剛性が足りない、取り付け場所がしっくり来ないなど。そんなスマホやタブレットの不満に応える商品「タブレットAVシステム」がパイオニア・カロッツェリアブランドから登場したので、早速レビューする。
新しいナビの形「タブレットAVシステム」
タブレットAVシステムは、8型のAndroidタブレット「SDA-7000TAB」(実売価格3万2000円前後)と、車載用の2DINメインユニット「FH-7600SC」(実売価格3万2000円前後)で構成される。タブレット部は着脱できるので、自宅や外出先でGoogleマップで場所を検索。そのまま車内に持ち込めば、カーナビとして活用できるという商品だ。
それでは商品の詳細を説明しよう。8型のAndroidタブレット・SDA-7000TABは、タブレット本体とカバー部で構成されており、購入後はユーザーがタブレットを専用ケースにネジ止めして使用する。カバーを取り付けた状態での重量は約490gと大柄で、実際に持つと無骨な印象。気になる質感は残念ながらチープと言わざるを得ない。とはいえ、車載してしまえばわからない。
タッチパネルはIPS液晶で、解像度は1280×800ドット。SNSや地図を見るには十分だし、動画の残像も少ない。プロセッサーはARMのCortex-A7で、最新のスマホゲームは若干厳しいスペックだが、動画再生と地図表示なら十分に使える。メモリーは2GB、内蔵ストレージは16GBだが、付属のmicroSDカードを活用できる。バッテリー時における利用可能時間は非公開だが、容量は約4000mAhなので取り外して外出先で少し使う分には問題なさそうだ。
ちなみにカメラはフロントが30万画素、リア200万画素と、1億画素まで出ている最新スマホにくらべると圧倒的に物足りない。オマケと考えるのがいいだろう。
一方、パイオニアといえばオーディオ。ネイティブではないものの、96KHz/24 bitまでのハイレゾ音源再生も可能だ。
このように、タブレットとしては、かなり割り切った設計となっている。
注意しなければならないのは、LTEモデルはなくWi-Fiモデルのみという点。つまり、車載して利用する際は別途スマートフォンのデザリングかモバイルルーターを使用しなければならない。これは「ナビのために携帯キャリアと契約をして月額基本料を支払うより、元々使っているスマホのデザリングなどを利用するユーザーの方が多い」との判断だろう。
普通のタブレットに比べて動作保証温度が幅広い
タフな日本の車中でも耐えられる
注目すべきは動作温度。一般的なタブレットは40度以上の環境で使うと、画面が表示されなくなるような不具合が発生する。しかし、本機はマイナス10度~60度まで広範囲の動作保証温度となっている。これは特に夏場の車内など過酷な環境においてうれしい点だ。
ラジオ、音楽再生、動画再生、そして後述する2Dメインユニット接続といったパイオニア謹製アプリがあらかじめインストールされている。ナビに関しては、「Googleマップ」や「Yahoo!カーナビ」などを利用することになる。個人的にはパイオニアのノウハウを詰め込んだ専用地図アプリを期待していたので、少し残念だ。
対となる2Dメインユニット・FH-7600SCは、2DINスペースに取り付けて使用する。タブレット端末への給電は勿論のこと、ステアリングリモコンからの操作受付、さらにバックカメラの映像をタブレットに表示することができるようになる。
タブレットの音声は本体からではなく、2DINユニットのFH-7600SCとBluetoothでペアリングして車載スピーカーから流れる。なので、取り外した状態でも車載スピーカーから音楽を流すこともできる。また、タブレットを複数端末用意すれば、1台はナビとして、もう一台はマルチメディア再生端末とし活用もできる(ただし音声はペアリングした端末のみ)。退屈しがちな後席にはうれしい機能だ。