OneFS搭載で小規模な環境から利用できる新モデルも投入、スケールアウトNAS新ファミリー
“Isilon”NASがリブランド、「Dell EMC PowerScale」発表
2020年06月25日 07時00分更新
デルとEMCジャパン(デル・テクノロジーズ)は2020年6月24日、スケールアウトNASの新ファミリー「Dell EMC PowerScale」および、1Uサイズの新たなエントリーモデル「PowerScale F200」「PowerScale F600」を発表、提供開始した。「Dell EMC Isilon」が搭載してきたストレージOS「OneFS」と「Dell EMC PowerEdge」サーバーをベースに開発される新ファミリーで、F200/F600はNVMe/SAS SSDを搭載したエントリークラスのオールフラッシュノード。これまでよりも小規模な環境から利用をスタートできる点も特徴。
なお、既存のIsilonファミリーはこのPowerScaleファミリーにリブランドされる。記者発表会ではPowerScaleファミリーの特徴やターゲットなどが説明された。
1Uサイズのエントリーモデル2機種を新規投入、ターゲット幅を拡大
PowerScaleストレージは、ドキュメントファイルや画像、動画、SNSコンテンツなどの非構造化データ向けのスケールアウトNAS製品。Isilonが採用してきたストレージOS(PowerScale OneFS)を基盤に設計されており、最小クラスタ構成の3台(3ノード)から、容量の必要に応じてノードを追加し、ダウンタイムなしで最大60PB(ペタバイト)まで柔軟に容量を拡張していくことができる。最大1580万IOPSという高いパフォーマンスも特徴。
今回新モデルとして追加されたPowerScale F200/F600は、いずれもオールフラッシュ構成のノードで、従来モデル比で最大5倍の処理速度を実現する。また、標準搭載されているインラインデータ削減機能(IDR)が強化されたことで、最大6倍の効率アップも図られるとしている。
小規模環境向けのPowerScale F200は、SAS SSDを1ノードあたり4ドライブ搭載し、最小物理容量が11TBのモデル。ネットワークインタフェースは10/25Gbに対応。一方、パフォーマンス要求の厳しい環境向けのPowerScale F600は、NVMe SSDを1ノードあたり8ドライブ搭載し、最小物理容量は46TB。ネットワークインタフェースは40/100Gb対応だ。
なお、これまでIsilonファミリーで提供していた各モデルは、そのままPowerScaleファミリーへと引き継がれる。ただし、従来モデルは最小でも72TBの物理容量だったため、最小11TBからという今回の新モデルでより幅広いユースケース/顧客層をカバーすることになる。
また、今回はエントリーモデルながらもオールフラッシュ構成である点については「顧客企業の大容量、ハイパフォーマンスニーズが高いため」(倉橋氏)とし、今後もSSDとHDDを混載したハイブリッド構成モデルの提供予定はないと述べている。
S3プロトコルによるオブジェクトストレージアクセスもサポート
発表会では、PowerScale OneFS 9.0の新機能についても紹介された。これらは従来モデルでもOSアップグレードにより利用できるようになる。
たとえば今回は新たに、Amazon S3プロトコルによるオブジェクトストレージアクセスに対応している。これにより、クラウドアプリケーションをオンプレミス環境で開発する際などのストレージ環境構築が容易にできるようになる。
また、サーバー構成を自動化する「Ansible」やコンテナオーケストレーターの「Kubernetes」による管理にも新たに対応し、ストレージインフラの運用管理をコード化/自動化して効率化することがより容易になった。
なお、PowerScaleには「Dell EMC CloudIQ」「Dell EMC DataIQ」のライセンスも無償バンドルされている。CloudIQはストレージインフラの稼働状況をモニタリング、分析するクラウドサービス、DataIQは非構造化データのタグ付けや追跡、分析を一元的に行うソフトウェアだ。特にDataIQは、大量の非構造化データ/ファイル/オブジェクトを保有するメディア&エンタテインメント企業などでのデータ管理に有用だとしている。
なおPowerScale各モデルの価格については個別見積もりとなっている。倉橋氏は、特に今回の新モデルは日本国内のボリュームゾーンがターゲットとなっており、幅広い顧客へのリーチが可能になるとコメント。PowerScaleファミリー全体の販売目標として「今後3年間で1000システム」という数字を掲げた。