プロファイル設定
Windows Terminalではコンソールアプリケーションであれば、なんでもプロファイルとして登録でき、同じシェルでも設定を変えたものを登録することも可能だ。
Windows 10には、標準でcmd.exeとpowershell.exeという2つのシェルがあり、さらにWSLがあれば、Linuxディストリビューション(のbash)がシェルとして動作する。このほかにも組み込み版Powershellの後継となるPowershell coreなどがある。また、開発用にVisual Studioをインストールしていれば、開発用コンソール(環境変数や開発用コマンドラインプログラム用のパスなどを設定したcmd.exeやpowershell.exe)も登録が可能だ。
Windows Terminalには、「ダイナミックプロファイル」という機能があり、インストール後最初に起動するときに、システム状態を見て、利用可能なシェルを自動で登録する機能がある。対象になるのは、
・組み込みのPowershell.exe
・cmd.exe
・Azure Cloud Shell
・Powershell core
・WSLのディストリビューション(のシェル)
の5種類だが、Powershell coreとWSLに関しては、イントールされているときのみ検出されてプロファイル登録がされる。このダイナミックプロファイルによるプロファイル登録を抑制するのがグローバル設定の「disabledProfileSources」プロパティだ。これにより利用しないプロファイルが勝手に登録されるのを抑制できる。
プロファイル設定には、「プロファイルデフォルト設定」と個別の「プロファイル設定」がある。前者は、すべてのプロファイルで共通となるプロパティを設定したものだが、個別のプロファイル設定で上書きすることができる。
たとえば、コマンドラインで日本語を使う場合、プロファイルデフォルト設定で、表示フォント(FontFace)を「MS 明朝」と設定おく。しかし、WSLのbashではあまり日本語を使わないということであれば、WSLのプロファイルで別のフォントを指定することができる。筆者は、以下のような設定をプロファイルデフォルト設定でしている。
"fontFace": "MS 明朝",
"fontSize": 20,
"antialiasingMode": "grayscale",
"startingDirectory": "C:\\",
"colorScheme": "Campbell",
"cursorShape":"filledBox"
しかし、WSLのUbuntu-18.04のプロファイルでは、以下のようにいくつかのプロパティを上書きして変更している。
"name": "Ubuntu-18.04",
"fontFace": "Cascadia Code",
"suppressApplicationTitle": true,
"tabTitle": "Ubuntu-18.04",
"startingDirectory": "\\\\wsl$\\Ubuntu-18.04\\home\\shio",
WSL側ではソースコードをvimなどで扱う関係からfontFaceをCascadia Codeとしてプログラミングリガチャーが使えるようにし、startingDirectoryをLinuxのホームディレクトリにしている(Windows Terminal側からはWindowsのパスしか扱えない)。
WSLのUbuntuは、VTエスケープシーケンスでタイトルバーを書き換えているのだが、Windows Terminalのタブ表示とは相性がよくない(長くなるので途中で切れてしまう)のでsuppressApplicationTitleaを使い、タイトルバー(タブタイトル)のWSL側からの変更を抑制し、tabTitleを指定している。ただし、カラースキーマ設定やカーソル形状は、プロファイルデフォルト設定のものを使うようになっている。このようにプロファイル設定を使うことで、起動するシェルごとに細かく設定を指定できる。
また、同じcmd.exeでも/kオプションでバッチファイルを指定すると、環境設定したcmd.exeを利用できるようになる。/kオプションは、指定されたコマンドを実行したのち終了しないでそのままコマンド入力待ちになるもの。記事冒頭の写真はこれで撮影したものだ。
"name": "PC-9800",
"colorScheme": "Campbell",
"experimental.retroTerminalEffect": true,
"commandline": "cmd.exe /k c:\\cmd\\98dos.bat"
とりあえずは、日本語フォントやカーソル形状などを自分好みに設定しておこう。背景に画像を置いたり、半透明にすることも可能だが、あまりやりすぎると、かえって背景がうるさくなって集中しにくい。やはり、昔からのユーザーは黒字に白や緑といった単色の組み合わせのほうが落ち着いて作業できるようだ。

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